スペースワンは、2025年を代表するマルチな顔を持つブランドと言っていいだろう。ハイパーフューチャリスティックでありながら手の届く価格帯を実現し、アヴァンギャルドな魅力を放つ同ブランドは、起業家ギヨーム・ライデ(Guillaume Laidet)氏が率いている。デザインはオリヴィエ・ガミエット(Olivier Gamiette)氏、製造は若き独立時計師テオ・オフレ(Theo Auffret)氏の確かな技術力によって支えられている。そんなブランドから3作目となる新作スペースワン ワールドタイマーが登場した。
SpaceOne WorldTimer
これまで私たちは、スペースワンのテリリウムや初代ジャンピングアワーも取り上げてきたが、個人的にこのブランドには注目している。確かに一部のデザインには、たとえばジャンピングアワーのケースにはドゥ・ベトゥーンのドリームウォッチ 5の影響を感じ、ケースに使われるブルーの色調もドゥ・ベトゥーンのシグネチャーカラーを思い起こさせる。しかしそれでもなお、これらの時計に搭載されている独自モジュールを手ごろな価格で実現しているという点において、このブランドのウォッチメイキングにおける技術は見逃せないものがある。
SpaceOne WorldTimer
スペースワン ワールドタイマーは、ひとつのケースに3種のディスプレイを組み込むという大胆なデザインで限界に挑む。3時位置には分と秒の表示、6時位置には独立した時表示、そして9時位置にはワールドタイム表示用の大きな円形ディスプレイが配されている。このワールドタイム機能は現在のタイムゾーンを都市ディスクと合わせることで、世界中のほかのタイムゾーン(15分や30分単位の例外を除く)をひと目で確認できる仕組みだ。これらすべての操作は3段階のリューズで行う。第1ポジションでは手巻き操作、第2ポジションではテオ・オフレ氏が開発したモジュールによって都市ディスクのクイックセットが可能。そして第3ポジションでは12時間と24時間表示のディスクを同時に調整できるようになっている。
SpaceOne WorldTimer
この時計は全体として、ソプロード社製P024ムーブメントをベースに、テオ・オフレ氏が設計し、パリで組み立てられたワールドタイム機構を組み合わせたものだ。パワーリザーブは38時間と比較的短めだが、ムーブメントは自動巻きである。ケースにはグレード5チタンを採用しており、ポリッシュ、ヘアライン、サンドブラストといった異なる仕上げがあしらわれている。カラーはシルバー、ブルー仕上げ、ブラックコーティングの3種類で展開。ケースサイズはラグ・トゥ・ラグは41.9mm、最長部分で52.7mm、厚さは15.88mmとなっている。
スペースワン ワールドタイマーは、6月26日のフランス時間16時より、スペースワン公式ウェブサイトにて予約受付が開始される。価格は税抜きで2700ユーロ(日本円で約45万円)。初回生産分は600本を予定しており、2025年末までに順次納品される見込みだ。
我々の考え
端的に言うと、これはかなりイケてると思う。スペースワンのこれまでのリリースはどれも好みだし、もし予算に制限がなければ各モデルのバリエーションを何本かそろえていたかもしれない。スペースワンのチームから聞いたところによると、今後も新しいデザインをどんどん展開していく予定とのこと。だからこそ、気になるモデルがあるなら見逃さないほうがいい。私のように、気づいたときには欲しかったバリエーションが市場から消えてしまっていて、二次流通市場に望みをかける羽目にならないように。自分なら今回は見た目のインパクトで黒か青を選ぶと思う。
SpaceOne WorldTimer
スペースワン ワールドタイマーの夜光ショット。
確かにこの時計のサイズ感は、人によってはちょっと大きすぎるかもと警戒されるかもしれない。しかし実機を見たうえで言わせてもらうと、実際には自分の手首にもよくフィットしていた。もちろん実寸より小さくつけられるとか、私たち時計ライターが手放せない決まり文句を並べようと思えばいくらでも言える。事実としてそう感じるのも無理はなくて、ある意味ちゃんと理屈もとおっている。
手首にはあまり曲がらない長く平らな面がある。そして本作は22mm幅(18mmまでテーパード)のストラップがケース右寄りに取り付けられていることで、ワールドタイム表示がその平らな部分にきれいに収まる。15.8mmという厚さはさすがにドレスシャツの袖口に収まるとは言いがたいが、スウェットの袖なら難なく隠れる。そしてちょうど、時・分といった使用頻度の高い表示だけが袖口からうまく顔をのぞかせてくれる、絶妙なバランスとなっているのだ。
SpaceOne WorldTimer
基本情報
ブランド: スペースワン(SpaceOne)
モデル名: ワールドタイマー(WorldTimer)
直径: 52.7mm×41.9mm
厚み: 15.88mm
ケース素材: ポリッシュ、ヘアライン、サンドブラスト仕上げのグレード5 チタン、風防はドーム型のサファイアクリスタル
文字盤色: ブラック
インデックス: 夜光付きプリントインデックス
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: テキスタイルまたはラバーストラップ
SpaceOne WorldTimer
ムーブメント情報
キャリバー: ソプロード社製P024ムーブメント(テオ・オフレ氏設計によるワールドタイムモジュール搭載)
機能: 時・分・秒表示、ワールドタイム表示
パワーリザーブ: 38時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/ 時
クロノメーター認定: なし
追加情報: グレード5チタン製バックル