カルト的な人気を誇るモデルが新たに”クラシック”な装いで再登場した。

クリストファー・ウォードは2022年にリリースされてカルト的な人気を獲得したC1 ベル カントシリーズに、4つの新たなモデルを投入した。これらのモデルはMB&Fのレガシー・マシンのようにケースの上半分が盛り上がったような立体的なドームデザインを備えており、時針が正時を指すときにソヌリ オー パッセージという機構で1時間ごとにチャイを鳴らす。今回は新たにクラシックな雰囲気を添えらダイヤルプレートが採用され、レーザーエッチングによるバーリーコーンのようなギヨシェ模様が施されている。

価格はストラップ付きで4225ドル(日本円で約64万5000円)、ブレスレット付きで4540ドル(日本円で約70万円)であることを考えれば、この時計に高級時計にまつわるフランス語の製造用語がこれだけ盛り込まれていることも納得がいくだろう(ちなみに、ギヨシェは真の手彫りではなく機械彫りであるため、ギヨシェ加工にどれだけの時間がかかるかといった長い議論は必要ない)。それでもゴールド、グリーン、シルバー、ブルーそれぞれのダイヤルに見られる美しい放射模様は12時位置にある時刻表示用のインダイヤルを中心に広がり、クラシックの名にふさわしい仕上がりとなっている。このインダイヤルにはローマ数字が採用され、クラシックな要素がさらに強調されている。

この時計は従来どおり41mmのケース径に厚さ13mm、48mmのラグトゥラグ、ラグ幅は22mmで、チタンケースが採用されている。正時にはクリアなD音(ドレミでいうところのレ)でチャイムが鳴り響き、これは手巻きのCal.FS01(セリタSW-200をベースとしたもの)によって駆動し、38時間のパワーリザーブを備えている。開発の詳細については過去の記事を参照するといいだろう。これらの時計は限定ではなく新たにC1のコアラインアップに加わるものである。現在注文が可能で、納品は2カ月後を予定している。価格はデプロワイヤント式のベイダークラスプ(ブランドが特許取得)付きストラップが4225ドル(日本円で約64万5000円)、チタンブレスレットが4540ドル(日本円で約70万円)だ。

我々の考え
かつて2023年1月にオリジナルのベル カントを紹介し、それまで数万から数十万ドルの価格帯でしか手に入らなかったチャイミングウォッチを手ごろな価格で提供するという点で非常に価値のある時計だと評価した。確かにこれはミニッツリピーターではなくチャイム音は少し小さめ(手元のサンプルではわずかにフラットなD6音)で、1時間に1回しか鳴らないが、それでもクリストファー・ウォードに多くのファンをもたらした時計であることに変わりはない。

手ごろな価格で手に入る機械式のチャイミングウォッチには、特筆すべき魅力がある。同モデルはリリースと同年のジュネーブ・ウォッチ・グランプリ(GPHG)の小さい針賞(Petite Aiguille)賞(8000スイスフラン以下のベストウォッチが該当する)も受賞した。しかし販売においては少し問題があった。予約金を支払った人々が生産上の問題で遅延に見舞われ続けたほか、長い待機期間の末に間違った色が届くこともあった。クリストファー・ウォードの担当者は、事態がもっとスムーズに進むことを望んでいたと話していた。そのこともあり、今回はダイヤルの変更以上の改善を行っている。

クリストファー・ウォードの担当者によれば、なじみの顧客には発売からわずか2カ月で時計が届く見込みで、2025年2月末までに安定的な在庫状態を維持することを目標にしているという。すべての顧客が納得するかは不明で、実現するかは今後次第だが、同社が信頼を取り戻すためのハードルを認識しているのは確かだ。

時計自体に関していえば、実は2023年のブランドとの初インタビューでこのギヨシェ模様を目にしており、当時それが検討中の一案であると伝えられていた。その後別の担当者からはこのデザインは不可能で、ブリッジやチャイム機構と組み合わせるとごちゃごちゃしすぎてしまうと言われた。私が見たものについて深く追及されないようにしていたのかもしれないが、この瞬間が来るのをずっと黙って待っていた。

Blue bel canto
ブルーのモデルが青すぎる? もう少し様子を見て欲しい。Photo: courtesy Christopher Ward

実物を見ると、この時計の視覚的な印象はまさに“しっくりくる”。発売前に画像で見たときには、ブルーとグリーンのダイヤルが少し派手すぎて、ギヨシェ模様と喧嘩するのではないかと思っていた。ところが、少なくともグリーンの場合はダイヤルパターンにトカゲのウロコのような虹色の質感が加わり、実際に目にすると色合いが柔らかく感じられる。真っ直ぐな角度から撮影された正対写真から予想していたような均一で鮮やかな印象とは異なり、ずっと落ち着いた仕上がりだ。ほかの色も同様だろうと想像するが、ブランドから提供されたライフスタイルショットではやはりブルーはもう少し落ち着かせてもいいかもしれないと感じている。

またローマ数字がこのデザインに適しているか、あるいは必要かどうかも疑問に思っている。ローマ数字はMB&Fのレガシー・マシンシリーズへのあからさまなオマージュととらえらえる可能性が高く(時計全体についても同様のことがいえるが)、来年以降はこの路線でさらに多くの試みが見られるのではないかと思っている。いずれにせよこの新モデルは、ここ数年でクリストファー・ウォードが生み出したなかでも最も成功した革新的な製品にぴったりな新たな選択肢である。

基本情報
ブランド: クリストファー・ウォード(Christopher Ward)
モデル名: C1 ベル カント クラシック(C1 Bel Canto Classic)

直径: 41mm
厚さ: 13mm
全長: 48mm
ケース素材: グレード5チタン
文字盤色: レーザーエッチングによるギヨシェパターンが施されたゴールド、グリーン、シルバー、ブルーダイヤル
インデックス: 時刻表示用のインダイヤルにローマンインデックス
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: セタレザー製のストラップにはデプロワイヤント式ベイダークラスプが搭載され、22mmから16mmへとテーパーしている。またグレード2のチタン製ベイダーブレスレットも選択可能

Christopher Ward Bel Canto Classic
ムーブメント情報
キャリバー: FS01 (セリタSW200-1ベース)
機能: 時・分表示、チャイム(オン/オフ、プッシュボタン付き)
パワーリザーブ: 38時間
巻き上げ方式: 手巻き
石数: 29
クロノメーター認定: なし
追加情報: D調のチャイム(D6音)

IWC インヂュニアが辿るデザインと技術の革新。

昨年の発表から熱い注目を集めていたインヂュニア・オートマティック40。エンジニアのために生まれた時計が時を経て、いまあらためて人気を呼ぶ理由を探る。

1970年代を代表するドイツのインダストリアルデザインが展示されていた。もちろんその主役がインヂュニアの新作だったのはいうまでもない。1950年代に誕生した初代に新たな息吹を与えたのはジェラルド・ジェンタであり、手がけたインヂュニア SLはブルーノ・サッコやディーター・ラムズによる当時の名作デザインに比肩する。発表されたインヂュニア・オートマティック40は、これをモチーフに現代にリバイバルした。そこに息付くのは、単なるデザイン復刻ではなく、まさに形と技術の融合を追求するIWCの哲学なのである。

初代インヂュニアは1955年に誕生した。自社開発による初のペラトン式自動巻きムーブメントと磁場から守る軟鉄製インナーケースを備え、その革新性はドイツ語とフランス語で「エンジニア」を意味する「インヂュニア」という名前にも込められている。

登場から約20年を経て、1976年に登場したインヂュニア SLはまさにその名にふさわしいデザインを纏ったといえるだろう。シンプルなカレンダー付き3針だった初代に対し、5個の凹みのあるねじ込み式ベゼルとグリッドパターンの文字盤、H型リンクを組み込んだ一体型ブレスレットは、宇宙開発も進む70年代という時代を反映し、未来への前進を象徴した。そしてそれは以降のインヂュニアのデザインを形付けたのである。だがそれだけではインヂュニアの本質を語るには充分ではない。そこに宿るのはやはり形と技術の融合であり、耐磁性能への挑戦にほかならないのだ。

IWCにおける耐磁技術はパイロットウォッチを源流にする。磁気を発生する航空計器に囲まれたコックピットでも時計の精度への影響を防ぐため、ムーブメントを軟鉄製のインナーケースで包んだ。この技術転用によって初代インヂュニアは8万A/mの耐磁性を備え、研究開発や医療、製造部門といった強力な磁場にさらされる環境にも対応したのだった。

こうした耐磁機能はそのままに、インヂュニア SLはその革新性にふさわしい新たなデザインを採用した。大きく厚い武骨なケースも、むしろ目に見えない磁気から守る先進性を可視化し、洗練に磨きをかけたのはジェンタの手腕だろう。存在感あるケースから連なるブレスレットの力強いスタイルは、これまでの控えめな実用時計からアクティブなモダンスポーツへとイメージを一転したのだ。

耐磁技術への挑戦は以降も続く。1989年に発表したインヂュニア500,000A/mは調速脱進機に非鉄素材を用い、耐磁性は50万A/mまで飛躍的に向上した。さらに軟鉄製のインナーケースを省くことで軽量化とケース厚を抑え、心地よい装着感をもたらしたのだ。だが採用した非鉄素材は耐久性に劣ったことで、この画期的モデルは4年の短命で終わり、再びインナーケースを装備することになる。

2005年に登場したインヂュニア・オートマティックは、当時発表されたばかりの自社キャリバー80110を搭載し、ショックに強い緩急針やサスペンションを加えたローターなどIWCらしい頑強かつ高い信頼性を誇った。一方、耐磁性も8万A/mを備えていたが、インナーケースを内蔵したケースの厚さと重さは増した。はたして2013年にフルモデルチェンジしたインヂュニアでは、薄型のキャリバー30110を搭載し、4万A/mの耐磁性を備えたオートマティック以外はインナーケースが省かれたのだった。耐磁性は依然、二律背反のハードルとしてあり続けたのである。

インヂュニア・オートマティック40は、インヂュニア SLにインスピレーションを得ながら、人間工学に基づいたプロポーションとより現代的なスタイルを両立する。

インナーケースの採用により4万A/mの耐磁性を備え、ケース径はジャンボと呼ばれたSLからわずか0.5㎜アップに抑える一方、厚さは12㎜から10.8㎜に薄くしている。さらにラグ トゥ ラグの長さを45.7㎜に短くするとともに、ノーズ型だったラグもミドルリンクの新設で手首のフィット感を向上している。ブレスレットもわずかにテーパーをつけることでこれに貢献し、見た目の高級感も増している。

SLではベゼルはねじ込み式だったため、凹みの位置には個体差があったが、これを多角形のネジ留めに変更し、定位置にネジを配する。また2013年に初採用したリューズガードはより滑らかにケースに沿うフォルムになった。文字盤にはSLのシンボルだったグリッドパターンが復活。互いに90度ずつずらした水平ストライプと台形のパターンで構成され、エンボス加工で仕上げたベースに亜鉛メッキを施す。オリジナルに比べると、面形状がよりシャープに際立つ。

ケースとブレスレットにはエンジニアリングスティールを採用し、これは複雑な精製工程を経て、高い純度と硬度を実現するとともに、リサイクル率は85%を誇る。自社のケース製造施設で培ってきた金属加工の技術とノウハウを存分に注ぎこんだ先進素材となっている。またチタンバージョンではグレード5のチタンに製造、研磨、サテン仕上げ、サンドブラストなどの加工技術を駆使した精巧な仕上げを施す。これも1982年にケースとブレスレットにチタンを採用したオーシャン2000を発表したこのブランドの、チタンのパイオニアとしても名高い本領発揮だ。

インヂュニアは、その名が示す通り、技術者、科学者、パイロット、医師といった強い磁場で従事する職種のために専用開発された時計だ。しかし誕生から約70年を経て、デジタル機器に囲まれた現代の日常に磁気は特別なものではなくなった。たとえばスマートフォンやタブレット、ワイヤレスイヤホンやそのケース、バッグのマグネット式留め具も磁気を発生し、オーディオのターンテーブルやエレキギターのピックアップといった思いもよらないものにもその危険性が潜んでいる。

一般的な生活環境での磁気なら発生源から5〜10cm離れれば、その影響はほとんどなくなるといわれる。とはいえ、時計の精度に影響を与える原因のトップであることに変わりはない。だからこそ現代のライフスタイルにおけるインヂュニアの存在がより際立つ。そしてそれは形と技術が高次元で融合した、極めてIWCらしさが結実した1本なのである。

アルビスホルン×マッセナLAB、ある時計が発表された。

アルビスホルン×マッセナLAB(Albishorn×Massena Lab) マキシグラフこそ、その時計である。最初のリリースを単体ではなくコラボレーションとしたのは大胆な戦略的選択だが、アルビスホルンはすぐに航空にインスパイアされたタイプ 10を単体で発表した。セリタ社のセバスチャン・ショルモンテ(Sébastien Chaulmontet)氏が設立したアルビスホルンがHODINKEEに登場するのは今回が初めてではない。

しかもこのマキシグラフは昨年夏のGeneva Watch Daysにおける我々のお気に入りリスト入りを果たしている。多くの人が、業界にとって低調な年と評したなかで、この時計は私には一服の涼と映った。当然、私は数日間この時計と一緒に過ごし、実物がどのようなものかを確かめたいと思った。

アルビスホルンを初めて耳にする人のために言うと、ウブロスーパーコピー時計n級品 代引きこのブランドはヴィンテージに触発された時計を製作している。ただしヴィンテージの復刻にありがちなアイコンの再現でもなく、インスパイアされたものでもない。“イマジナリーヴィンテージ”というアルビスホルンのトレードマークがそれをよく表している。ヴィンテージウォッチのデザイン原則を活用して、ほかにはない個性を感じさせるモダンウォッチをつくるというコンセプトだ。まだ2モデルしか発表されていないため、このコンセプトが支持されるかどうかを判断するにはほかのリリースを待たねばならないとは思うが、私はすでにとても興味をそそられ、傾倒してしまっている。

マキシグラフは、本質的にはモノプッシャーのレガッタクロノグラフである。ブランドの語るストーリーを少し紹介すると、これは1939年に初めて開催されたボルドール・デュ・レマンのためにブランドがデザインしたであろう航海用クロノグラフだという。

文字盤にはヴィンテージの特徴が容易に見て取れる。鮮やかな色でプリントされたミニッツトラックとアワートラックがセクター文字盤を埋め尽くしている。すべてのトラックは、微妙に異なる太さやスタイルで表現され、中央のメタリックなトラックが味わい深いアクセントだ。これらのリングからは、この時代のマルチスケールダイヤルによく見られる賑やかなヴィンテージクロノグラフのような印象を受けるが、このモデルではより現代的ですっきりとした美しさも感じられる。スーパールミノバが文字盤上に描く2本のアーチは非常に繊細で、見逃しやすいディテールであろう。これらはすべてボックス状のサファイア風防の下に配されている。

アルビスホルンによる夜光塗料の描写。

文字盤内側のスケールには、10分間のカウントダウンスケールとランニングインジケーターという、おそらく一番興味深いパーツが配置されている。マキシグラフでは、スモールセコンドを省略し、カウントダウンスケールの横に小さな窓を設けた。この窓にはディスクが収められ、青、赤、緑に順に回転することで、クロノグラフを作動させなくても時計が正しく動いていることがわかるようになっている。この種のインジケーターは新しいコンセプトではないが、マキシグラフのものは非常によくできており、時間を確認するたびに色が変化するのを待つのはとても魅力的だと感じた。

マキシグラフの最大にして最もユニークな特徴は、緑色のトラックと赤い針を備えた10分間のレガッタカウントダウントラックである。そしてこれは、アルビスホルンが新しい時計をつくり続ける限りもたらしてくれるであろうものの、いい“インジケーター(指標)”(ダジャレではない)でもある。典型的なレガッタクロノグラフは、カウントダウンが終わってもその表示を繰り返すが、マキシグラフの場合、10分が経過するとレガッタタイマーは停止してカウントダウン針は“0”の位置で静止し、メインのクロノグラフ秒針は動き続ける。クロノグラフがリセットされると、分表示もクロノグラフ秒針も元の位置に戻る。

ステンレススティール製ケースは直径39mm、厚さ13mmと非常に現代的で、それよりも大きな41mmの両方向回転式SSベゼルを備えている。凹型のベゼルは操作しやすく、十分な抵抗感でスムーズに回転し、黒と赤で着色されたアワートラックとミニッツトラックが刻印されている。10時位置に配されたリューズには、美しいコントラストのビーズブラスト仕上げでアルビスホルンのロゴが大きく刻まれている。鮮やかな赤のアルミニウム製クロノグラフプッシャー(この素材を選んだのは、この彩度の高いアルマイト処理を実現するためだったのだろう)はアグレッシブな稜線を持つ9時位置にあり、操作感は抜群だ。

アルビスホルンによると、マキシグラフは約64時間のパワーリザーブを備えた独自の自動巻きキャリバーを搭載している。ショルモンテ氏のムーブメント開発経歴は非常に豊かで、とくにクロノCOS(クラウンオペレーションシステム)でリチャード・ハブリング(Richard Habring)氏と共同特許を取得したバルジュー7750には定評があり、最も大きな功績のひとつでもある。ラ・ジュー・ペレ社や現在のセリタ社での経験も言うにおよばない。彼の専門性は、この新しいキャリバーが部分的には7750の構造に依拠しているものの、それとは大きく異なり、セリタ社の既存カタログには含まれていない完全オリジナルのものだ。標準的なバルジュー7750ムーブメントの厚さが7.9mmであるのに対し、マキシグラフのキャリバーは延長された約64時間のパワーリザーブ、モノプッシャーの改良、特許取得のレトログラードレガッタカウントダウンを備えながら、6.6mmに抑えられている。実際に手にしてみると、クロノグラフの動作は7750よりもかなり滑らかに感じられた。そのため最初は7750との関連性にまったく気付かず、感心させられた。

時計を裏返すと、ケースバックにはアルビスホルンとマッセナLABのロゴ、そして1939年に第1回ル・ボルドールを受賞した6メートルヨット、イリアムIV号の製図風アートワークが刻印されている。赤いトロピックスタイルのラバーストラップと白いカーフレザーストラップの両方が付属するが、私は100m防水の時計にはラバーストラップが間違いなく適していると感じた。左右非対称のロゴ入りピンバックルもいい味だ。

マッセナLABのコラボレーションのほとんどが完全限定生産であるのに対し、マキシグラフは1バッチごとに25本程度の“限定生産”として発表された。確かにマキシグラフは4995ドル(日本円で約80万円)と、安価な時計ではない。しかしともに時間を過ごしてみて、とくに製造の背景を考慮すると、決して高い価格設定だとは思わない。この希少性は意図的につくり出されたものでもない。このキャリバーに要求される調整と精密さは、手作業の少量生産によってのみ達成可能なのだと、ショルモンテ氏は教えてくれた。快適に着用できるサイズでユニークなムーブメントを搭載した、斬新なレガッタタイマーが5000ドル以下というのは、このセグメントにあって非常にフェアな試みだと思う。市場でこれに似たものを見つけるのは難しいだろう。

ウィリアム・マッセナ(William Massena)氏に、この時計がいつまで生産されるのか聞いてみたところ、おそらく今年いっぱいは生産されないだろうとのことだった。マッセナ氏は、「私は、生産中にほとんどの人に見過ごされがちな、少量生産の個性的な時計が大好きなのです」と語った。アルビスホルンとマキシグラフの両方を初期から支えてくれるサポーターに、のちのち隠れた名作として報いる限定生産のアイデアの源泉として、ホイヤーのマレオグラフやジン EZM 1のような、コレクターに愛される時計について言及した。これは確かに興味深い戦略であり、この非常に魅力的な時計は目指した目的をしっかりと果たしており、戦略がうまくいく可能性は十分にある。

アルビスホルン×マッセナLAB マキシグラフ。ケース径39mm(ベゼル41mm)、厚さ13mmのステンレススティール製。100m防水で、モノプッシャークロノグラフと特許取得の10分カウントダウンレガッタタイマーを備えた独自の自動巻きキャリバーを搭載。数量限定生産で、マッセナLABの公式ウェブサイトで販売。

ディオール(DIOR)2025年秋の新作ベースメイク「プレステージ マイクロ フルイド タン」が新登場。

“ローズ生まれ”のプレミアム美容液ファンデーション
ディオール「プレステージ マイクロ フルイド タン」SPF30/PA+++ 全5色<ブラシ付き>各18,480円
ディオールスーパーコピー「プレステージ マイクロ フルイド タン」SPF30/PA+++ 全5色<ブラシ付き>各18,480円
“ご褒美スキンケア”として愛される「ディオール プレステージ」シリーズから、新しいリクイドファンデーションが誕生。ベースメイクでありながら“スキンケアのために生まれた”薔薇「グランヴィル ローズ」の恵みたっぷりで、美容液のように、いきいきと輝きあふれる肌へと導いてくれる。

“お疲れ肌”のくすみをケア
ディオール「プレステージ マイクロ フルイド タン」SPF30/PA+++ 全5色<ブラシ付き>各18,480円
ディオール「プレステージ マイクロ フルイド タン」SPF30/PA+++ 全5色<ブラシ付き>各18,480円
「プレステージ マイクロ フルイド タン」の鍵を握るのは、肌のくすみに関するディオール独自の科学的発見。赤みや乾燥感など、疲れた印象を与える肌のサインは“カリウムの不足”が由来していることを新たに見出した。

ディオール2025年ベースメイク、肌くすみケアの“ご褒美”美容液ファンデーション|写真5
このカリウム不足にアプローチするのが「グランヴィル ローズ」。このローズには微量栄養素がぎゅっと詰まっていて、カリウムを豊富に含んでいるという。グランヴィル ローズ生まれの「ニュートリ ローズ ペプチド」を配合したファンデーションは、メイクしながら、疲労サインやストレスから肌を回復させ、健やかな肌状態へと整えてくれる。

肌色問わず溶け込んで均一肌へ
中央) ディオール「プレステージ マイクロ フルイド タン」SPF30/PA+++ 全5色<ブラシ付き>各18,480円
中央) ディオール「プレステージ マイクロ フルイド タン」SPF30/PA+++ 全5色<ブラシ付き>各18,480円
また、ファンデーションには「イルミネーティング マイクロ パール」と呼ばれる、2層構造のパールを起用。ヌードカラーを血色感のあるロージーカラーでコーティングしたパールを使用することで、肌への溶け込み感がぐんとアップ。イエベ、ブルべなどのパーソナルカラーやアンダートーン問わず均一になじんで、肌色を補正。シルクのような仕上がりを叶えてくれる。

右) ディオール「プレステージ マイクロ フルイド タン」SPF30/PA+++ 全5色<ブラシ付き>各18,480円
右) ディオール「プレステージ マイクロ フルイド タン」SPF30/PA+++ 全5色<ブラシ付き>各18,480円
テクスチャーは軽く、なめらかに広がるので、テクニックレスで毛穴などの肌悩みをカバー。肌のうるおい感は長く続き、高温多湿の環境下でも長時間ツヤ肌をキープしてくれる。SPF30 PA+++で紫外線などからも肌を守ってくれるのもいいところだ。

【詳細】
ディオール「プレステージ マイクロ フルイド タン」SPF30/PA+++ 全5色<ブラシ付き>各18,480円
発売日:2025年9月5日(金)予定

【問い合わせ先】
パルファン・クリスチャン・ディオール
TEL:03-3239-0618

ウブロからビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック グリーン SAXEMが新登場

大胆で複雑、そしてカラフルな時計を発表するタイミングだということだ。2025年にマキシマリズムを推している者として、これは褒め言葉として言っている。ビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック グリーン SAXEMは、この記事とこの記事で紹介している、ウブロ独自のサファイアに似た素材SAXEM(サクセム)がさらに進化したモデルだ。この素材はサファイアと同様の硬さと透明度を持ちながら、その組成により強烈な色をより簡単に引き出せる。またウブロによれば、“希少な宝石のように鮮やかに”輝くのが特徴だ。

ひとつの記事にSAXEMという言葉を何回使えるのか。それを知る方法はひとつしかない。

hublot saxem green
SAXEMケースとサファイアクリスタルケースを直接比較する機会はなかったが、昨年、イエローネオンSAXEMのビッグ・バンを試着するチャンスがあった。その鮮やかさは、注意書きが必要なくらいだったかもしれない。実際に試着したのは、ウブロのコラボレーターであるアーティスト、ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)氏のビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック イエロー ネオン SAXEMで、ウブロ推奨のモノクロームイエローのストラップではなく彼は黒いストラップを合わせていた。これがヒントになり、ブランドはブラックストラップ付きのグリーン SAXEMを発売したのだろう。

ビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック グリーン SAXEMは、私のなかの架空のパントーンチャートで“Goblin(ゴブリン)”と“Perrier(ペリエ)”の中間に位置する。この色について、ウブロはかなり控えめにエメラルドグリーンと名付けている(ミュージカル『ウィキッド』×ウブロのコラボがあれば絶好の機会だっただろう)。真の色味を知るにはWatches & Wondersまで待つ必要があるかもしれないが、ひとつだけ確かなのは地味な色ではないということだ。

Hublot SAXEM green Big Bang
44mm(前回のビッグ・バン ウニコ グリーンSAXEMより2mm大きい)のポリッシュ仕上げのグリーン SAXEMケースには、ウブロの自社製オートマティックトゥールビヨンムーブメント、MHUB6035が搭載されている。このキャリバーの特徴は文字盤側の12時位置に配置された22Kゴールド製のマイクロローターで、約72時間のパワーリザーブを提供することだ。ムーブメントの現代的な設計では、香箱受け、自動巻き機構のブリッジ、トゥールビヨンバレッタという3つの機能的なサファイア製要素がアクセントとなっている。さらに、ワンミニッツトゥールビヨンキャリッジが6時位置に配置されているのも特徴的だ。価格は3164万7000円(税込)で、18本限定だ。

我々の考え
2025年はビッグ・バンの20周年にあたる。この1年を通じて、さまざまなモデルが次々と発表されることはほぼ間違いないだろう。2000年代初頭の個性的で大きな時計のファンであり、その時代らしい大胆な精神性に心を奪われた私としてはこれ以上ないほどワクワクする話だ。ただし、ほかの人にとってはそこまで魅力的ではないかもしれない。それでもウブロのよいところは、その仲間にならなくてもこのお祭りを楽しめる点にある。

Hublot Big Bang SAXEM Green details
傍観者としてウブロを楽しむのも十分アリだ。仮にあなたがエクストラプラットな時刻表示のみのドレスウォッチや、QP(永久カレンダー)を好むタイプの人だったとしても、この異端的なスイスウォッチブランドが放つ陽気で大げさな魅力に引かれても問題ない。グリーンの気配をまとった穏やかな好奇心に身を任せ、その仰々しさを受け入れよう。凝り固まった外見から解放されよう。世間の目なんて気にしない。ウブロを見習って、逆境に負けない楽観主義を手にしよう!

カラフルで存在感あるデザインと、それに見合う価格の時計を生み出すことにかけて、ウブロには怖いものがない。誰もが小振りなSAXEMを夢見るかもしれないが、心の奥ではそれがSAXEMの本質を失ってしまうことをわかっている。SAXEMは派手なXLサイズでこそ、真価を発揮する時計なのだ。

hublot saxem green
基本情報
ブランド: ウブロ(Hublot)
モデル名: ビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック グリーン SAXEM(Big Bang Tourbillon Automatic Green SAXEM)
型番: 429.JG.0110.RT

直径: 44mm
厚さ: 14.4mm
ケース素材: ポリッシュグリーンSAXEM
夜光: あり
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ライン入りブラックラバーストラップ(ブラックセラミック&ブラック加工のチタン製フォールディングバックル)、グリーンの透明裏地付きラバー&ブラックベルクロ付属(マイクロブラスト加工のブラックセラミックスポーツバックル)

ムーブメント情報
キャリバー: MHUB6035
機能: 時・分表示、トゥールビヨン
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 26
追加情報: サファイアでできた3つのブリッジ、22Kホワイトゴールド製のマイクロローター、スイス式レバー脱進機

価格 & 発売時期
価格: 3164万7000円(税込)
限定: あり、世界限定18本