腕時計の断捨離の判断基準を徹底解説!

引き出しに眠っている何本もの腕時計を見て、「本当に必要なのかな」「でも高かったし…」と迷ってしまう人は少なくありません。

この記事では、腕時計の断捨離を考える理由や、手放すかどうかの明確な判断基準を解説します。また、実際の処分方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

多くの人が腕時計の断捨離を考える理由

腕時計の断捨離を検討する背景には、現代のライフスタイルの変化や価値観の変化が深く関わっています。特に、使用頻度の変化や収納スペースの問題、そして物に対する考え方の変化が、腕時計の断捨離を検討するきっかけとなることが多いです。

使用頻度が減っている
断捨離を考える最も大きなきっかけは、使用頻度の低さです。以前はお気に入りだった腕時計も、ライフスタイルの変化や好みの変化により、引き出しにしまいっぱなしになってしまうことは珍しくありません。

特に近年では、スマートフォンで時間を確認する習慣が定着し、腕時計そのものを使わなくなった人も増えています。ファッションや趣味の変化により、以前はよく身につけていた腕時計も、今の自分のスタイルに合わなくなってしまうケースも多く見られます。

使わない腕時計が増えてくると、収納スペースを圧迫するだけでなく、管理の手間も増えてしまうため、断捨離を検討するようになるのです。

もらったけど使わない
記念日のプレゼントや就職祝い、誕生日ギフトなどでもらった腕時計は、特別な思い出があるために使わなくても捨てづらいという悩みがあります。特に高価だったものやブランド時計の場合は、「捨てるのはもったいない」「いつか使うかもしれない」という心理も強く働きます。

しかし、もらった腕時計が自分の好みやライフスタイルに合わない場合、結果的に収納スペースを圧迫してしまうだけになってしまいます。感情的な価値が実用性を上回ってしまい、手放すことができずに悩み続けることになります。

このような感情と実用性のギャップが、腕時計の断捨離における最も大きな悩みどころです。贈り物だからという理由だけで保管し続けることが、本当に意味のあることなのかを考える必要があります。

不要な持ち物を減らしたい
近年、物理的な片付けだけでなく、精神的なスッキリ感を求めて断捨離を検討する人が増えています。「物が多い=ストレス」だと感じ、毎日身につけるアイテムも厳選する傾向にあります。

腕時計でも、「数本あればいい」「1本で十分」という価値観が定着しつつあり、必要最小限のアイテムで生活することに魅力を感じる人が増えています。また、物を減らすことで掃除や管理の手間が減り、時間的な余裕も生まれるため、腕時計の断捨離を通じてより豊かな生活を実現したいと考える人も多いです。

腕時計の断捨離の判断基準
腕時計を手放すかどうかの判断に迷った時は、明確な基準を設けることが大切です。感情だけで決めるのではなく、客観的な視点から腕時計の必要性を評価することで、後悔のない断捨離ができるようになります。

1年以内に使ったか?
「1年間まったく使わなかった」という腕時計は、自分の生活スタイルに合っていない可能性を強く示しています。普段使っている腕時計が決まっているなら、それ以外の腕時計には出番がないという証拠でもあります。

また、使っていない理由を具体的に書き出してみると、不要だと気づけることも多くあります。「重くて疲れる」「文字盤が見にくい」「ベルトが肌に合わない」「デザインが古く感じる」など、使わない理由が明確になれば、手放すべき腕時計かどうかの判断もしやすくなります。

ただし、冠婚葬祭専用の腕時計など、特定の場面でのみ使用する腕時計は、年に数回しか使わなくても必要性があると考えられます。重要なのは、その腕時計に明確な役割があるかどうかです。

他の腕時計と役割がかぶっていないか?
同じようなデザインやカラー、用途の腕時計が複数ある場合は、自然とお気に入りしか使わなくなってしまいます。「仕事用」「アウトドア用」「フォーマル用」「カジュアル用」など、シーンごとの使い分けがはっきりしているなら問題ありませんが、似たような時計が何本もあるだけなら、1本に絞っても支障はありません。

機能面でも、同じような機能を持つ腕時計が複数ある場合は、最も使いやすい1本を残せば十分でしょう。重複している腕時計を手放すことで、収納スペースもすっきりと整理できます。

今の自分に本当に必要か?
過去に惹かれたデザインや機能が、今の自分の価値観やライフスタイルに合っているかという視点は非常に重要です。学生時代に購入した派手なデザインの腕時計が、社会人になった今の自分に似合うかどうか、客観的に判断してみる必要があります。

昔の自分ではなく、今の自分が心から使いたいと思えるかが最も大切な判断基準です。「なんでこれ持ってるんだろう?」と疑問に思うような腕時計があるなら、それは手放しどきのサインかもしれません。

また、ライフスタイルの変化も重要な要素です。デスクワーク中心の生活になったのに、アウトドア用の大型スポーツウォッチを持ち続ける必要があるのか、現在の生活に照らし合わせて考えてみましょう。

残す理由は「感情」か「実用」か?
金額やブランドに執着して持ち続けている場合は、本当に必要かを再確認することが大切です。「高かったから捨てられない」「有名ブランドだから」という理由だけで保管している腕時計は、実際にはスペースを取っているだけの可能性が高いです。

感情的な価値と実用的な価値を分けて考えることで、より冷静な判断ができるようになります。思い出があるからという理由で残すのも悪いことではありませんが、その思い出が現在の生活にどの程度の意味を持つのかを考えてみましょう。

一方で、毎日使っている、または特定の場面で必ず使うという実用的な理由があるなら、それは残すべき腕時計といえます。感情と実用性のバランスを取りながら、自分にとって本当に価値のある腕時計を見極めることが重要です。

売る・譲るなどの選択肢はあるか?
価値が落ちていない腕時計は、売却して他の形で有効活用する選択肢もあります。特にブランド時計や限定モデル、ヴィンテージ時計などは、高値で取引されることもあるため、処分前に査定を受けてみる価値があります。

また、家族や友人に譲ることで、その腕時計が再び活用される可能性もあります。自分には不要でも、他の人にとっては価値のあるアイテムかもしれません。譲る相手がいない場合でも、リサイクルショップやチャリティ団体を通じて、必要としている人の手に渡ることもあります。

単純に捨てるのではなく、腕時計の価値を最大限に活かす方法を検討することで、より満足度の高い断捨離ができるでしょう。

腕時計を断捨離する際の選択肢

断捨離すると決めた腕時計の処分方法は、腕時計の状態や価値によって最適な選択肢が異なります。それぞれのメリットとデメリットを理解して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

不用品として処分する
可燃ごみや不燃ごみとして自治体の回収に出すのが、最もシンプルな処分方法です。電池式の腕時計なら「不燃ごみ」または「小型家電リサイクル」に分類されるケースが多く、金属製のベルトや大きなサイズの場合は「粗大ごみ」扱いになることもあります。

処分前には、必ず自治体のゴミ分別ルールを確認することが大切です。地域によって分別方法が異なるため、間違った出し方をすると回収してもらえない可能性があります。また、電池が入っている場合は取り外してから処分するのが一般的です。

壊れていて使えない腕時計や、安価なファッションウォッチなど、リセールバリューがほとんどない腕時計は、不用品として処分する人が多く見られます。手間がかからず、すぐに片付けられるのがメリットです。

フリマアプリ・オークションで売る
メルカリやヤフオク、ラクマなどのフリマアプリやオークションサイトで売るのも人気の選択肢です。自分で価格を設定でき、ブランド時計や限定モデル、ヴィンテージウォッチであれば予想以上の高値がつくこともあります。

商品説明や写真撮影に少し手間がかかりますが、自分のペースで出品・やり取りができるのが魅力です。購入希望者とのコミュニケーションを通じて、腕時計を大切にしてくれる人に譲ることができれば、手放すときの満足感も高くなります。

ただし、梱包や発送の手間、購入者対応(質問やクレームなど)が必要になることも考慮しておく必要があります。また、思ったより高く売れない場合や、なかなか買い手がつかない場合もあるため、時間に余裕があるときに利用するのがおすすめです。

腕時計の買取専門店で売る
ブランド時計や高級モデルなら、腕時計の買取専門業者に査定してもらうのが最も安心で確実な方法です。プロの査定により、適正価格での買取が期待でき、腕時計の真贋(しんがん)判定や相場に基づいた正確な評価をしてもらえます。

店舗に直接持ち込む方法の他に、自宅で宅配キットを使って送る宅配買取、自宅まで査定員が来てくれる出張買取など、ライフスタイルに合わせて手段を選べるのも便利です。特に高価な腕時計の場合は、出張買取を利用すれば安全に取引できます。

業者によって買取額に差があるため、複数の業者から見積もりを取って比較検討するのがおすすめです。また、付属品(箱、保証書、取扱説明書など)が揃っていると、査定額がアップすることが多いので、できるだけ一緒に査定に出しましょう。

関連記事:時計買取のおすすめはどこ?高く売るためのコツと買取業者を紹介!

誰かに譲る・寄付する
家族や友人に譲るのも、腕時計を有効活用してもらえるよい方法です。特に就職祝いや記念日のプレゼントとして譲れば、相手にも喜んでもらえるでしょう。譲る相手の好みやライフスタイルに合いそうな腕時計があるなら、積極的に声をかけてみる価値があります。

また、NPOやチャリティ団体がリユース回収を実施していることもあります。使用可能な腕時計をリユースして、福祉施設での利用や海外支援に役立てる団体も存在します。寄付することで環境にも優しく、社会貢献にもつながります。

地域のリサイクルセンターや福祉団体でも、腕時計の寄付を受け付けている場合があります。事前に問い合わせて、受け入れ条件や手続き方法を確認してから寄付するようにしましょう。

レンタルならさまざまな腕時計を自由に楽しめる
腕時計は購入して所有すると、保管やメンテナンス、ライフスタイルの変化に応じた買い替えなどが必要になります。断捨離で悩む理由の多くは、「気に入っていたけど今は使っていない」「でも高かったし捨てるのはもったいない」という葛藤から生まれています。そんな悩みを解決する方法として、腕時計のレンタルサービスが注目されています。

高級時計を気軽に試せる
腕時計のレンタルサービスでは、ロレックスやオメガ、カルティエなど、普段は手が届きにくいブランドの腕時計を月額制で利用できます。購入すれば数十万円から数百万円する高級時計も、月額数万円から利用可能なサービスが増えています。

特別なイベントやビジネスシーンで着用したい時計を、その都度選んで利用できるのは大きなメリットです。結婚式や重要な商談、パーティーなど、シーンに応じて最適な腕時計を選択できます。

また、購入前にじっくりと試着できるため、実際に購入する際の失敗リスクも大幅に減らせます。気になっていたブランドや腕時計を実際に数週間使ってみることで、本当に自分に合うかどうかを確認してから購入を検討できるのです。

保管やメンテナンスが不要
腕時計を所有しないことで、収納スペースがいらず、部屋をすっきりと保てます。高級時計の場合、適切な保管環境を整える必要がありますが、レンタルならそうした心配は一切ありません。

定期的な電池交換やオーバーホール、ベルト交換などのメンテナンス費用も、レンタル料金に含まれているサービスが多く、突発的な出費を心配する必要がありません。特に機械式時計の場合は、数年に一度は数万円のオーバーホール費用がかかりますが、レンタルならそうした負担もありません。

また、多くのレンタルサービスでは、万が一の故障や破損も保険が適用されるため、安心して使用できます。

飽きたら交換できる
自分のスタイルや気分の変化に合わせて、気軽に別の腕時計に切り替えできるのがレンタルの最大の魅力です。季節や服装、気分に応じて腕時計を変えることで、毎日の生活にメリハリと楽しみが生まれます。

複数の腕時計を所有しなくても、レンタルなら多様なスタイルを楽しめます。スポーツウォッチやドレスウォッチ、カジュアルウォッチなど、シーンに応じて最適な腕時計を使い分けられるため、1本1本を購入するよりもコストパフォーマンスがよい場合も多いです。

また、新作や限定モデルもいち早く試せるため、常に最新のトレンドを取り入れたファッションを楽しめます。腕時計好きにとっては、さまざまなブランドや腕時計を体験できる絶好の機会でもあります。

複数の腕時計を自由に楽しむならカリトケがおすすめ
カリトケは、好きな腕時計を月額制でレンタルできるサービスです。6万人を超えるユーザーが登録し、多くの人が憧れの腕時計をシーンや気分に合わせてファッション感覚で利用しています。

50ブランド1,300種類の中から気になるブランド腕時計を、4,800円(税込5,280円)から自由に試すことが可能です。

カリトケでレンタルできる腕時計一覧

カリトケでは、商品が届いたその日から使用でき、返却期限はなく、メンテナンスも不要です。加えて、業界最安値水準の特別価格で、中古腕時計を提供しています。レンタルして気になった腕時計を、お求めやすい価格で購入できるのが特徴です。

まずはレンタルで大事なビジネスシーンや、結婚式のパーティー、購入前のお試しとして利用できるので、無料で会員登録してみてください。

新たに誕生したカラフルなオーシャノグラファートリオを紹介しよう。

ブローバがヘリテージアーカイブに眠る、1972年の“デビルダイバー”をGMTで復活させる。

1970年代初頭、アメリカならではの(そしてマーケティング戦略にも長けた)時計メーカーであるブローバは、ダイバーズのスイス規格である656フィートという数字を使って少し遊んでみたいと考え、文字盤に666フィートという深度、つまり“旧約聖書の獣(悪魔)の数字”を施したダイバーズウォッチ、“シュノーケル”を製作した。この挑戦は功を奏し、文字盤に666フィートの数字を刻んだこのダイバーズは、“デビルダイバー”の愛称で親しまれるようになった。近年、1970年代のアーカイブに手を伸ばし続けるブローバは、この度、1972年に登場したオーシャノグラファーのハンサムルックを復活させ、21世紀を頻繁に旅行する人々にアピールするべく、GMT要素を加えた、3つのユニークなカラーコンビネーションのトリオを発表した。

ブルーダイヤルのオーシャノグラファー GMT

モデルチェンジされたオーシャノグラファー GMTは、ブラックとブラウンの“ルートビア”GMTベゼルにローズゴールドPVDコーティングされたステンレススティールのスポーツブレスレット、超クラシックなブルーとレッドの“ペプシ”GMTベゼルにSSブレスレット、そして全面夜光ダイヤルのホワイトとブラックのカラーリングにラバーストラップをセットした計3本で展開している。このカラーバリエーションは、時計を現代的なものにすると同時にGMT機能を追加したことでちょっとした楽しさを提供している。自身で好きなものを選択しよう。

ホワイトダイヤルのオーシャノグラファー GMTのリストショット
米軍で使用するために考案されたオリジナルのオーシャノグラファーは、水中探査の際、着用者の手首にぴったり合うように設計された歴史的なモデルだ。アップデートされたオーシャノグラファー GMTシリーズの各モデルは、風変わりな1970年代風のケースデザインを踏襲しつつ、直径41mm、ラグからラグまでの長さが43mmというアプローチしやすいコンパクトなサイズへと改められた。文字盤を覆うダブルドーム型クリスタルの採用により厚さは14.6mmとなっているが、サファイア素材を採用したことで、よりスリムで装着しやすい印象になっている。またねじ込み式リューズのおかげで、デビルダイバーはそれぞれ666フィート(約200m)の防水性能を確保。このトリオでは針や時針、ベゼルの夜光ピップなど、スーパールミノバコーティングされたディテールが随所にあるため暗所でも読み取りやすくなっている。

オーシャノグラファー GMT、ブラウンダイヤル
このオーシャノグラファー GMTシリーズは、第2時間帯を独立した時針で単独操作できる、Miyota 9075自動巻きムーブメントを搭載。これは約42時間のパワーリザーブ、日差-10~+30秒の精度を実現している。新作はレトロで楽しい70年代のヘリテージスタイル、“デビルダイバー”という名の神秘性、ダイバーズウォッチとしての防水性、“フライヤー”型GMT機能を搭載し、さらにいくつかのカラーパレットから選べて、すべて2000ドル(日本円で約30万円)以下のレンジで手に入れることができる(編集注記:日本では未発売)。

我々の考え
オーシャノグラファー GMTのホワイトダイヤル
文字盤が全面的に発光しているのはいかが?

我々は今、ノスタルジックなマーケティング時代に身を置いているとあえて主張したい。ポケットサイズのテクノロジーが私たちの注意を引いたことで、大量生産の技術がデザインの多くに直接影響を与える以前、今では忘れ去られてしまったあの時代への温かくてファジーな憧れの感情を(時計関連であろうとなかろうと)企業が煽ろうとする試みが常に行われているのだ。何年も続くヴィンテージリバイバルウォッチというトレンドは、今起きているノスタルジーマーケティング現象の決定的な証拠だと私は思う。

ヘリテージ/ノスタルジー/ヴィンテージにインスパイアされたリブートウォッチの膨大な量を考えてみると、リバイバルウォッチのリリースに何かを感じさせるには、絶妙なバランスが必要だ。これにはユニークさ/奇抜さ、歴史的意義/正確さ、そして私が“今になってなぜ(Why Now)”と呼んでいるものが含まれているが、ただそれだけに限定されない。私にとって、このオーシャノグラファー GMTのリブートは、特にその要素の多くを満たしている。

ブルーダイヤルのオーシャノグラファーGMTのリストショット
ユニークな要素のひとつである、オリジナルから踏襲している妙に小さくて幅の広い針を私はとても気に入っている。これは円柱パーツを宝飾品のように爪で受けたインデックスと連動するよう、特別にデザインしたものだ。幅広の針だと正確な時刻がわかりづらいが、不思議なほど奇妙で機能的かつ今日の大量生産市場ではあまり見かけない。また、ミッドセンチュリーデザインのディテール(ファンキーな日付窓のことだ)の本質的な遊び心も気に入っている。このふたつのディテールは、歴史的な正確性の要素とも見事に一致していることに今気づいた。しかし歴史的な重要性についてはダイヤルにプリントされた666フィートという伝説がその条件を満たしている。ヴィンテージダイバーズや、その復刻はいくらでもあるかもしれないが、それらすべてがデビルダイバーの名を主張できるわけではない。

私がリフを奏でているあいだ、“今になってなぜ”と呼んでいるもの”は、“なぜオリジナルを買わないのか”とも呼べるのだがこれだと語呂があまりよくない。内部の仕組み上必要な調整はさておき、オーシャノグラファー GMTのリブートである、“今になってなぜ”と呼んでいる要項を満たしているのは、初代の機能を上回るGMT機能の追加と(2000ドル以下のフライヤーは本当にクールだ)、現代の時計着用者(私だ)の興味を高めるカラーバリエーションの拡大にあたる。個人的には最も驚かされた、ホワイトとブラックのモデルにとても引かれる。それはあの全面夜光ダイヤルと、何か関係があるに違いない(もうひとつの気まぐれポイント) 。

オーシャノグラファー GMTのブラウンダイヤル

ノスタルジックダイバーズ(しかもGMT機能も追加されている)を2000ドル以下のテリトリーで購入したいと考えているなら、ブローバの最新復刻モデルならきっと満足させてくれるはずだ。

基本情報
オーシャノグラファー GMTのブルーダイヤル
オーシャノグラファー GMTのブラウンダイヤル
ブランド: ブローバ(Bulova)
モデル名: オーシャノグラファー GMT(Oceanographer GMT)
型番: 96B405(ペプシ)、97B215(ルートビア)、98B407(ホワイト&ブラック)

直径: 41mm
厚さ: 14.6mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ブルー、ブラック、ホワイト
インデックス: 爪で留めた円柱パーツ
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 200m(666フィート)
ストラップ/ブレスレット: SS製ブレスレット(ペプシ)、ローズゴールドPVDコーティングのSS製ブレスレット(ルートビア)、グレーラバーストラップ(ホワイト&ブラック)

ムーブメント情報
ホワイトダイヤルのオーシャノグラファー GMT
キャリバー: Miyota 9075
機能: 時・分・センターセコンド、日付表示、GMT
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
石数: 24

価格 & 発売時期
価格: ラバーストラップタイプが1295ドル(日本円で約19万2000円)、SSブレスレットタイプが1350ドル(日本円で約20万円)。

超薄型時計の進化は、オーデマ ピゲの革命につながる。

ウォッチメイキングの歴史を考えれば驚くべきことではないが、時計製造における本当の意味での“初めて”は、正直なところそれほど多くはない。1750年に登場したレバー脱進機は基本的に現代のすべての時計に何らかの形で搭載されているし、ミニッツリピーターは基本的に18世紀末までに現在の形になっている。そして最初のパーペチュアルカレンダーウォッチは、おそらく1764年にトーマス・マッジが作ったものと言われている。時計製造の歴史は、非常に長い時間をかけて積み重ねられた小さな改良の歴史である。だからこそオーデマ ピゲの自動巻きトゥールビヨン、Cal.2870のような時計が興味深い存在として、語り継がれる価値のある物語としてあり続けている(これが搭載されたリファレンスナンバーの25643は、ムーブメントの名前よりも知名度が低い。この理由は後述する)。Cal.2870を忘れてはならないもうひとつの理由は(本質的な興味のほかに)、数少ない真のベンチマークウォッチのひとつであり、今に至るまでより現代的な時計を評価する際の基準となるからだ。

で、それは何なのか。これは自動巻きトゥールビヨンでありながら、シリーズ初の自動巻きトゥールビヨンウォッチでもあり、また“最も薄い”をどう定義するかにもよるが、間違いなく史上最も薄い自動巻きトゥールビヨンウォッチであるということだ(執筆当時)。それだけでなく、この時計はシリーズ初のトゥールビヨンウォッチであることを主張してもおかしくない。1986年4月に発表された、オーデマ ピゲのCal.2870/Ref.25643は、全体の厚さがわずか4.8mmしかない。これほどまでに薄いトゥールビヨンムーブメントを作った当時は、CADや放電加工機械、LIGA技術のようなものがトゥールビヨン(ほかの超薄型のものも)を製造するはるか前のことだった。さまざまなメーカーの手に届かない範囲にあり、ほとんど不可能な挑戦だった。

もちろん、非常に小さなトゥールビヨンは以前にも作られていた。ジェームス・ペラトンは1927年に、直径わずか23.6mmのムーブメントを作り、その後ル・ロックルで彼の弟子であったフリッツ=アンドレ・ロベール=シャルル(彼はペラトンの後任として、同地の時計学校の校長を務めている)が5年の歳月をかけて、直径わずか19.7mm、キャリッジが8mmという信じられないほど小さなトゥールビヨンムーブメントを製作している。直径に関しては、現在もこの記録は破られていない。ロベール=シャルルはそれをわずか23.8mmの時計に収め、1945年に時計を完成させた。

…しかし、これらのムーブメントはすべて、その希少性や独自性から注目されるのであり、またこれらのムーブメントに共通するのは、直接的に収益を上げるのではなく、製作者の信用を得るための手段として、極少数しか製造されなかったということである

腕時計に装着できるワンオフトゥールビヨンを製造することは、当時のメーカーの技術力の範囲内であったことは明らかだが、トゥールビヨンムーブメントを腕時計に搭載できるよう小さくすることのほうがはるかに大きな問題だった。2870が登場するまでは、一般で市販されるトゥールビヨンウォッチはほとんど存在していなかったのだ。パテック フィリップは1940年代から50年代にかけて、腕時計用のトゥールビヨンムーブメントを時折製造していたが、その数はごくわずかで、特別な顧客のためか、あるいはスイス天文台クロノメーターコンクール用に製造していた。1947年、オメガはトゥールビヨンムーブメントのCal.30Iを発表した。これはパテックのトゥールビヨンキャリバーと同様、天文台クロノメーターコンクール用であった。ご覧のように、これは視覚的な魅力を念頭に置いて設計されたのではなく、正確さと歩度の安定性を重視して設計されており、また市販もされていない。合計12個が製造され、1950年にはCal.30Iがスイス天文台クロノメーターコンクールで優勝した。現代の多くのトゥールビヨンとは異なり、Cal.30Iは7.5分で回転するキャリッジを備えていた。これらは、パテック製のごく少数の天文台トゥールビヨンとともに、腕時計用トゥールビヨンの第1世代であり、パテックもオメガのトゥールビヨンも、1980年代までケースに入れられることはなかった。第2次世界大戦前と大戦直後のトゥールビヨンウォッチには、ほかにも非常に珍しい例がある。フランスのリップが有名なトノー型Cal.T18をベースに、いくつかのトゥールビヨンムーブメントのプロトタイプを製作したほか、ラインハルト・マイスによると1930年、エドゥアール・ベランがブザンソンの時計学校でリップエボーシュから腕時計用トゥールビヨンを製作したという話もある。そして信じられないことに、ジラール・ペルゴは1890年にクロノメーターのデテント脱進機を使って30mm/13リーニュのトゥールビヨンムーブメントを製造している。しかし、これらのムーブメントはすべて、その希少性や独自性から注目されるのであり、またこれらのムーブメントに共通するのは、直接的に収益を上げるのではなく、製作者の信用を得るための手段として、極少数しか製造されなかったということである。

オーデマ ピゲのCal.2870がいかに画期的であったかを示すために、その背景を紹介しよう。まず第1に、それまで誰もが自動巻きトゥールビヨンを連続生産していなかったし、基本的に私が知る限り、連続生産の商業的な作品を意図したトゥールビヨンウォッチは、これまで誰も作ったことがなかった。市場にこれほど多くのトゥールビヨンが出回っている今では信じられないかもしれないが、1986年ごろは、トゥールビヨンを搭載した腕時計は極めて珍しく、ほんのひと握りしか存在しなかった。そのため2870は必然的に、技術的に画期的なムーブメントだった。直径7.2mm、厚さ約2.5mmという、非常に小さくて超軽量なチタン製トゥールビヨンキャリッジを備えており、トゥールビヨンの製造でこのような素材が使用されたのは初のことだった。その結果、キャリッジは非常に軽く(わずか0.134g)、キャリッジに必要なエネルギー量を削減することができ、このような非常にフラットな腕時計に、非常にフラットなゼンマイを搭載することを可能にしたのだ。

自動巻上げシステム用振動子のピボット(図式はオーデマ ピゲ アーカイブ提供)

自動巻きシステムも非常に珍しい。ムーブメント設計上の理由もあったが、時計を可能な限りフラットに保つという目標のために、ムーブメント直径いっぱいのローターを使用することはできなかった。代わりに、Cal.2870は“ハンマー”巻き上げシステムを採用していた。これは、プラチナとイリジウムでできたローターが完全に回転するのではなく、小さな弧を描いて揺れる仕組みだった。時計のダイヤル6時位置の開口部からはこのハンマーの動きが見える。巻き上げ式のリューズはなく、時計を軽く振ってゼンマイを充電し、針合わせは裏蓋にセットされた小さくて平らなリューズを使って手動でセットする。

しかし、Cal.2870の最も変わった特徴は、輪列のデザインだろう。従来のムーブメントには、“ボトムプレート(地板)”がある。地板とは、ムーブメントのダイヤルに面した側のこと。地板と呼ばれるのは、時計職人が時計を分解する際、一般的に時計の表側を下にして作業台に置くため、ムーブメントの一部が底になるからだ。対してトッププレートは時計職人から見て上にあるもので、ブリッジのムーブメントのなかのブリッジを意味することもあれば、実際のトッププレート(4分の3プレート、またはフルプレート)を意味することもある。輪列のピボット(軸)は通常、片側が地板に、もう片側がトッププレート(またはブリッジ)に取り付けられた石で動いており、全体がケース本体の内部に収まっている。しかし、オーデマ ピゲの2870には、ブリッジや従来の地板がまったくない。代わりに、自動巻きシステムと輪列のためのピボットは、ムーブメントのトッププレートとして機能するケースバックにはめ込まれた石のなかで作動する。同じ原理を採用した数少ない時計のひとつがピアジェのCal.900Pだ(さらに、針と文字盤を輪列と同じ高さに配置するなどの革新的な技術も導入された。もうひとつ、1979年に発表されたクォーツ式のコンコルド デリリウムは、ケース厚1.98mmと非常に薄いケースが採用されていた)。それもあって、2870はモデル名ではなく単にキャリバーナンバーで呼ばれることが多い。本当の意味で、ムーブメントが時計なのだ(ちなみに、Cal.2870の完全な技術的内訳に興味がある方は、いつものようにウォルト・オデッツが最初に解説している)。

文字盤構成の特徴は、50秒に1度、反時計回りに回転する可視トゥールビヨンである。トゥールビヨンはスタイリッシュな太陽として鎮座し、そこを始点に文字盤を斜めに横切る太陽光のような“光線”を施している。APによるとこのデザインは、ファラオのアクエンアテンとその妻ネフェルティティのエジプトのレリーフ彫刻に由来しているという。両者は、ツタンカーメン王の両親として、西洋文化で死後に(非常に)有名になった人物だ。(時計がリリースされた当時の)1986年は、史上最大かつ初の超大型博物巡回展である『The Treasures of Tutankhamun』が1981年に終わり、大衆文化のなかで非常に大きな話題となったあとのことだ。

今のCal.2870の評価はどうだろう? ここ数年、ブレゲのRef.5377(ペリフェラルローター式、全体の厚さは7mm)、ルミジャーニ・フルリエのトンダ 1950トゥールビヨン(マイクロローター式、全体の厚さは8.65mm)、アーノルド&サンの“極薄トゥールビヨン脱進機(UTTE)”(厚さは8.34mm)、ブルガリのオクト フィニッシモ フライングトゥールビヨン(厚さはわずか5mm)など、極めて薄い手巻きトゥールビヨンが存在しているが、それでも驚くべきことに、これは史上最も薄い自動巻きトゥールビヨンである。“最初のもの”という点において、最終的にこれらのトゥールビヨンを比較して勝者を決めるのは少し馬鹿げているかもしれない。なぜなら、それぞれのトゥールビヨンは、美学、エンジニアリングのソリューションといったユニークな提案をしているからだ。しかし、Cal.2870/Ref.25643は、いかに偉大なモデルであるかということを強調するものである。厚さ約9mm以下の自動巻きトゥールビヨンを作ることは素晴らしい成果だ。1986年に厚さ5mm以下のものを作ったという時点で信じられないことであり、現在でも5mm厚以下の自動巻きトゥールビヨン(あるいはトゥールビヨンすべて)はこれだけだ(編集注記:現在の世界最薄はブルガリ オクト フィニッシモ トゥールビヨン オートマティックの3.95mm厚)。2870はまた、ただひとりで秘匿するのでもなければ、天文台クロノメーターコンクール用に競合製品を打ち負かすためでもなく、裕福層に向けてとはいえ一般消費者のためにイチから製作された、最初のトゥールビヨンウォッチでもあった。スタイルとデザインに重点を置き、当時としては驚くほど先進的な技術を駆使したこの時計は、1986年のオーデマ ピゲにとって画期的なデザイン上の偉業であった1972年のロイヤル オークのように、まさに現代として初のトゥールビヨンウォッチだったのだ。

ショパール アルパイン イーグルに息づくジュエラーとしての豊かな色彩感覚。

スポーツシックなラグジュアリーウォッチを標榜するショパールのアルパイン イーグルが新たな領域を開いた。それは豊潤なカラー。ハイジュエラーとして培った美的感性やノウハウを注ぎ、文字盤やジェムセッティングで独自の世界観を展開する。マニュファクチュールのウォッチメイキングと結びつくとともに、次世代への責任も見据えた美しさは唯一無二の輝きを放つ。

もはや周知のことかもしれないが、アルパイン イーグルは2019年に登場した。その前身は1980年に発表されたサンモリッツである。これは現在、共同社長を務めるカール‐フリードリッヒ・ショイフレ氏が、父であり、当時の代表だったカール・ショイフレ3世を説き伏せ、メゾン初のステンレススティール製スポーティウォッチとしてデザインしたもので、この成功とともに自身の代表作となった。そして次世代を担う立場として、この伝説的アイコンウォッチに注目したのが息子のカール‐フリッツ氏だった。おもしろいことに、不安視する父に対して意外にも積極的に相談に乗ったのは祖父だったそうだ。かくしてオーナー家3代に渡るウォッチメイキングの情熱がここに結実したのである。

アルパイン イーグルはサンモリッツをモダンに解釈したデザインをベースとしつつ、文字盤にはイーグルの虹彩を思わせる繊細なパターンを施し、シャープな面取りで仕上げた一体型ブレスレットにはアルプスの岩盤を思わせる質感が与えられた。スイスの大自然への思いを宿し、そこには時計メーカーとしてだけではなく、ハイジュエラーとしての美に対するこだわりと洗練の技がいかんなく注がれている。2020年にはクロノグラフモデルを投入し、デビューから数年のあいだに高振動キャリバー、フライングトゥールビヨン、そしてスモールセコンド表示を備えた極薄型モデルとバリエーションを広げ、アルパイン イーグルはメゾンの新たなアイコンとして確立した。そして、その新境地を開くのはハイジュエラーとしての繊細な色彩感覚だ。

ショパールの歴史を改めて振り返ると、1860年に時計師ルイ-ユリス・ショパールがスイスのジュラ地方にあるソンヴィリエで創業した工房に遡る。その高い技術と品質からヨーロッパの王侯貴族に愛用され、1937年にジュネーブへ移転したのちも着実に名声を得ていくが、1960年代、ポール-アンドレ・ショパールの時代には後継者が途絶えたことで存続の危機に陥る。これに手を差し伸べ、ショパールの経営を引き継いだのがドイツの老舗ジュエラーとして名を馳せたカール・ショイフレだった。

カール・ショイフレは1904年にドイツのプフォルツハイムで会社を創業し、ジュエリーウォッチはじめ、ペンダント、メダル、ブレスレット、ブローチといったアクセサリーにアール・ヌーヴォーに着想を得たフローラルのモチーフで人気を博した(ちなみに彼はエスツェハ/Eszehaというブランド名で販売した)。戦後、家業を継いだ孫のカール・ショイフレ3世は、金細工職人であると同時に優秀な時計職人でもあり、本格的なウォッチメイキングの確立を模索していた。ポール-アンドレ・ショパール、そしてカール・ショイフレ3世との出会いは互いにとって好機であり、大きな転換点になったのである。

1976年にハッピーダイヤモンドを発表し、ムービングダイヤモンドはジュエリーウォッチの世界に革命をもたらし、ショパールの名は時計の世界に一躍広まった。それから2年後には自社内に独自の合金生産のできる鋳造工場をいち早く設立し、ジュエリーと時計の開発製造における垂直統合化を果たした。そして今では毎年カンヌ国際映画祭において、レッド カーペット コレクションの新作ハイジュエリーが世界の注目を集めるほど、ジュエラーとしてのショパールの名は世界的に知れ渡っている。そう、ショパールのアイデンティティを支える根幹には、時計メーカーとして、そしてジュエラーとしての歴史があり、このふたつの歴史を持つことがショパールのウォッチメイキングにも大きな影響を与えていることを忘れてはならない。

アルパイン イーグルには、自社で金を鋳造するゴールドファウンドリを持つ強みを生かしてフルゴールドモデルも豊富に揃う。だが、イエローゴールドモデルのラインナップはそれほど多くない。左:自動巻き(Cal.Chopard 01.01-C)。COSC認定クロノメーター。18KエシカルYGケース&ブレスレット。41mm径。厚さ9.75mm。100m防水。時計の詳細はこちら。右:自動巻き(Cal.Chopard 09.01-C)。COSC認定クロノメーター。18KエシカルRGケース&ブレスレット。36mm径。厚さ8.4mm。100m防水。時計の詳細はこちら。

ショパールのハイジュエラーとしての自負はモノづくりばかりでなく、素材そのものにも向けられた。2013年に責任ある調達を目指すフェアマインド認定のエシカルゴールドの採用に着手し、3年後にはすべての製品において100%エシカルゴールドの使用を宣言。さらに2019年に発表したアルパイン イーグルではリサイクルスティールを70%含有するルーセントスティール™を採用しているが、そのリサイクル率はすでに80%を超えており、2025年までに90%以上の達成を掲げている。また、2023年末までにアルパイン イーグル含むすべてのSS製ウォッチにルーセントスティール™の使用することが決定している。

さらにこの責任ある調達の精神はメゾンで使用されるダイヤモンド、プレシャススストーンにもおよぶ。たとえば、ショパールで使用するすべてのダイヤモンドは、いわゆる“紛争ダイヤモンド”ではないことが証明されたキンバリープロセス認証を受けたもの、加えて原産地が特定できないものや、認証制度の未実施国や地域からのダイヤモンドを売買しないことを義務付ける自主規制を敷き、調達先のトレーサビリティが可能なものだけが使用される。

こうした取り組みは、持続可能性のある社会の実現に向けたメゾンとしての使命であり、サステナブル・ラグジュアリーへの旅として長期的なプロジェクトに位置づける。ショパールにとって、それは時を超越する真のラグジュアリーの追求なのである。

ナチュラルな美しさを引き出す、洗練の美学と熟練の技の世界

ジュエラーとしてのショパールの存在を際立たせているのは、共同社長であり、ハイジュエリー部門を統括するアーティスティック・ディレクター、キャロライン・ショイフレ氏が提唱する“ナチュラルな美しさを引き出す”ことを主眼に置いたスタイルである。

「宝石には本来備わった美しさがあります。ジュエラーがすべきことは、過度に手を加えずそれを引き立てること。シンプルなデザインのなかでこそ、彼らの卓越したスキルが発揮されます」

ショパールのジュエリーは、この彼女の感性をもとにデザインされ、ジュネーブのメイランにある本社内に設けられたハイジュエリーアトリエから生み出される。このハイジュエリーアトリエは極めて秘匿性が高いため、どれほどの経験を持つ職人がここでの作業を担当できるのかは明かされないが、キャロライン・ショイフレ氏のアイデアとスケッチがデザイナーへと渡され、その後ワックス彫刻職人や鋳造職人、宝石職人、細工職人、ジェムセッター、研磨職人など、同アトリエが誇る多くのアルチザンたちの芸術的な技巧を経て徐々に形作られていく。

コンクエストなど、魅力的な時計を幅広く取り揃えた。

伝説的なパテック フィリップのリファレンス1518から、トロピカルな文字盤を持つロレックスの金無垢サブマリーナーまで、魅力的な時計を幅広く取り揃えた。またイエローゴールド(メッキではない!)ケースのブライトリング トップタイムや、パワーリザーブインジケーターを搭載したロンジン コンクエストなど、あまり見かけないモデルもある。

ロレックス サブマリーナー Ref.1680/8、トロピカルダイヤル
YGのロレックス サブマリーナーは、アメリカ発のテレビドラマ『マイアミ・バイス』らしさがある(番組内のドン・ジョンソンは、実際はデイデイトを着用していたが)。文字盤がトロピカルになっていて、ゴールドの輝きとよく合っている。当時の非ステンレススティール製サブマリーナーで見られるインデックスの特殊な形状にちなんで、こちらのRef.1680/8には“ニップル”ダイヤルを採用している。ケースは分厚く、オリジナルのブレスレットもしっかりとしていると説明があり、時計には元の購入レシートも付属している(当時の価格が気になるところだ)。裏蓋の刻印を見ると、もともとは軍人のロバート・シッソン(Robert Sisson)中佐が購入したもののようだった。Googleで検索をすると、シッソン中佐は2009年に亡くなり、ベトナムでの任務を含む22年間の勤務のあと、1985年に退役していた。

パテック フィリップ Ref.1518、パーペチュアルカレンダー ムーンフェイズ クロノグラフ
“パテック フィリップのパーペチュアルカレンダークロノグラフは、時計収集の世界でほかに類を見ないほどの王道的な遺産を築き上げている”。この言葉は、ベンがこの素晴らしいパテックについて書いたReference Points記事から引用したものだ。そしてこの系譜は、1941年に連続生産された初のパーペチュアルカレンダークロノグラフであるリファレンス1518から始まる。このリファレンスは10年あまりにわたって提供され、合計281本が販売された。いま見ているのは、文字盤からわかるように1950年代初頭の後期モデルである。というのも、1948年に“&Co”の表記がパテック フィリップによって外されており、いわゆる“ショートサイン”が表記されているのだ。とはいえ、1518の真に重要なのはその美しさである。すべての機能がエレガントな35mm径ケースに完璧に収められ、ムーンフェイズも素晴らしい。この時計は私にとって最高の逸品だし、これまでに製造された時計のなかで、最もエレガントなコンプリケーションウォッチだと思っている。特にアラビア数字が植字されたこのバージョンは素晴らしい。

ホイヤー オータヴィア “エキゾチック” Ref.1563
このオータヴィアのオレンジの配色は、このRef.1563が1970年代のものではないかと疑わせるかもしれないが、そのとおりである。これはホイヤーが1960年代の終わりに、オータヴィアに導入した自動巻きクロノグラフムーブメントからも推測することができる。しかし、このオータヴィアの文字盤はほかのホイヤーとは完全に一線を画している。このモデルは、ユニークな段差のあるハッシュマークを備えていることから“エキゾチック”というニックネームで呼ばれている。さらに今見ている個体はミュージアムに収蔵できるレベルのコンディションを保ち、トリチウムのインデックスには美しいパティーナがあり、この時代のホイヤーでは非常に見つけにくいカミソリのように鋭いケースを備えている。

ロンジン コンクエスト パワーリザーブ
このロンジン コンクエストの文字盤は魅力にあふれている。シルバーの仕上げもとても素晴らしいが、それ以上に重要なのは、非常にスマートな方法でふたつのコンプリケーションを表示しているところだ。まず、12時位置に日付があるが、これは通常の3時配置とは異なり、ダイヤルの対称性を乱すことはない。第2に、時計の針が完全に止まるのを防ぐために、時計を再び着用するタイミングを知らせてくれる、回転式のディスク型パワーリザーブインジケーターが中央に鎮座している。このコンクエストは自動巻きムーブメントを搭載しているため、注意していれば手で巻く必要はない。見たところローレット加工されたリューズはオリジナルではなく、ほかのコンクエストで見られるように、このフォーラムにあるものや、ここで見つけたほかのRef.9035に類似した、ロンジンのサイン入りリューズがオリジナルだと思われる。

ブライトリング トップタイム Ref.2004、ソリッドゴールドケース
ブライトリング トップタイムは私のお気に入りのクロノグラフのひとつで、ジェームズ・ボンドとのつながりがあるにもかかわらず、しばしば見過ごされている(『サンダーボール』でボンドが使っていたガイガーカウンターウォッチは、Qによって改良されたトップタイムだ)。トップタイムコレクションはキャッチーなデザインと、ロレックスとホイヤーが同時期に打ち出したモータースポーツ(タキメーターを含む)の世界を連想させる外観によって、ブライトリングをより若いユーザーにアピールすることを目的としていた。防水性を高めたモノブロックケースのリファレンスもあれば、裏蓋が取り外し可能なクラシックなケースもある。私が思うトップタイムの魅力はその特別な逆パンダ文字盤にある。インダイヤルはこの時期のホイヤー カレラに見られるオールホワイトではなく、シルバーになっている。とはいえRef.2000と2003を筆頭に、市場で見つけることができるトップタイムのほとんどはゴールドメッキだ。しかし、このRef.2004の裏蓋には、18Kゴールド製ケースだという表記が誇らしげに刻印されている。

伝説のCal.135を搭載した、ゼニス クロノメーター
このゼニスは間違いなく、これまでに生産されたなかで最高の手巻きモデルのひとつだ。大胆な発言? そう思うかもしれないが、このCal.135は1950年以降、ヌーシャテルのクロノメーター検定で5回連続で優勝したほど、非常に精度が高いと称賛されたものだ。このキャリバーを見ると困惑することだろう。明確な目的を持った、見事なまでのシンプルさを実現しているからだ。Cal.135は、最高精度を目指してつくられたキャリバーだ。このムーブメントは、非常に大きなテンプ、調整機構、ブレゲひげゼンマイを備えた、直径が大きいムーブメント(仕様では約30mm弱)である。これは、オメガの30T2RGクロノメーターキャリバーと、同じムーブメント設計哲学を反映している。この種のクロノメーター級のムーブメントは、連続生産された天文台用競技ムーブメントのなかで最高の進化形であり、一般的にはここで見られるように、非常に控えめではあるが超高品質なケースに収められる。

文字盤は驚くほどバランスがとれていて、大きなスモールセコンドレジスター(ムーブメントのクロノメーター性能を評価するのに適している)と鋭いインデックスのおかげで、ドーフィン針と驚くほどバランスが取れている。

このゼニス クロノメーターは、Dr.Crott Auctioneersによって提供される。こちらのリストに記載されているように、エスティメートは3300ユーロから5000ユーロ(当時の相場で約41万~62万円)であり、率直に言って、これほど素晴らしく傑出した時計としてはお買い得である(編注:結果5400ユーロ、当時の相場で約67万円にて落札)。