パテック フィリップ アクアノート・トラベルタイム 5164G ホワイトゴールドで復活

パテック フィリップは、ファンに人気のアクアノート・トラベルタイムの新バージョンを発表し、Watches & Wondersの幕を切った。今回はホワイトゴールドモデルだ。文字盤はブルーグレーでありストラップもそれに合わせたものになっているので、人々が期待していたカーキグリーンではないかもしれないが、現在のカタログで最も長く愛されているパテックのリファレンスのひとつとしてはおもしろいバリエーションである。

Aquanaut Travel Time White Gold
新しい5164Gは40.8mm径×10.2mm厚のケースに、パテックフィリップコピー 代金引換優良サイト5164Rや旧モデルの5164A(残念ながら生産終了)に搭載されたのと同じ、Cal.26-330 S C FUSムーブメントを搭載している。同キャリバーはシースルーバックから見ることができる。オパラインブルーグレーにエンボス加工を施したアクアノートパターンダイヤルは、本日発表された5980Gと同じカラーだが、こちらは同じブルーの素晴らしいラバーストラップにディプロワイヤントクラスプが付属している。価格は5164Rと同様、本日の超特価である998万円(税込)となる。

我々の考え
国王は崩御した。新国王万歳。私の友人たちは、Ref.5164A(アクアノート・トラベルタイムのスティールバージョン)が私のお気に入りの時計だったことを知っている。第2時間帯を追跡するためのそのデザインは、市場で最もエレガントな解決策のひとつである。私がロレックス GMTマスター IIの熱狂的なファンであることから言っても間違いない。

Aquanaut Travel Time
パテックが最終的に何かでそのギャップを埋めるとは確信していたが、来年まで待たなければならないと思っていた。また、私は5164が5811のような扱いを受けてWGバージョンにならないことを願ってもいた。結果は、パテックがSSから脱却したことで、ブランドにとって諸刃の剣となったハイプが市場にやってきた。今週のWatches & Wondersで実物を見るのが非常に楽しみだが、スポーティな時計はスポーティなライフスタイルに合った素材のままであるべきだと思う自分もいる。ダイバーズウォッチではないが、アクアノート・トラベルタイムは究極の“カジュアルフレックス”トラベルウォッチとなった。WG製で、SSモデルよりも約2万ドル(日本円で約300万円)高い。誰が冗談を言っているのか…理屈はともかく私はこの時計のファンなのだ。

基本情報
ブランド: パテック フィリップ(Patek Philippe)
モデル名: アクアノート・トラベルタイム(Aquanaut Travel Time)
型番: 5164G

直径: 40.8mm
厚さ: 10.2mm
ケース素材: ホワイトゴールド
文字盤: オパラインブルーグレー、アクアノート柄エンボス加工
インデックス: アプライド
夜光: あり、ホワイト夜光
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: コンポジット素材のブルーグレーラバーストラップ、 WG製折り畳み式バックル(特許取得)

Aquanaut Travel Time White Gold
ムーブメント情報
キャリバー: 26-330 S C FUS
機能: 時・分・センターセコンド、2タイムゾーン(ローカルタイムとホームタイムの表示)、ローカルタイムとホームタイムのデイ/ナイト表示(開口部)、日付とローカルタイムの連動(針)、スイープセコンド
直径: 31mm
厚さ: 4.82mm
パワーリザーブ: 約35~45時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 29

価格 & 発売時期
価格: 998万円(税込)
発売時期: すぐに
限定: なし

時計界の主役を張るロレックス デイトナのオーナー視点のレビューをお届けしよう

こういうのが欲しかったんでしょう? できましたよ(編注:70年代の米国トヨタ カローラのCMより)。ロレックス デイトナ “ル・マン” Ref.126529LNについて、オーナーである私からお届けしよう。この記事を執筆しながら、本メディアで私が実際に所有している時計を個人的にレビューしたのはいつ以来か思い出せないでいる。久しぶりなだけに、ちょっぴり楽しんでいる。そして、もしかしたら本記事がきっかけで“A Week On (An Owner’s) Wrist(オーナーの手首で1週間)”にシリーズ名が変わるかもしれない。それはとにかく、さっそく本題に入ろう。

先日、我々のチームの誰かが、ロレックススーパーコピー 代引き新しい時計で純粋に興奮したのはいつ以来かと尋ねてきた(HODINKEE限定モデルは除く)。 最近の記憶では、オーデマ ピゲのRef.15202 BC、パテック フィリップのRef.5270P、A.ランゲ&ゾーネの1815ラトラパンテ、カルティエのノルマルだろうか。それぞれ審美面、系譜、技術面など、あらゆる面で私に語りかけてくる、まさにキラーウォッチの数々だ。

Rolex Daytona on the wrist
ル・マンのような時計は、筆者にとってそうそう巡ってくるものではない。

 しかし、最近の歴史のなかで、私に邪悪な考えを抱かせた2本の時計がある。私のような時計沼にハマった人なら、どんなタイプかご存じだろう。“この時計のためなら何でもする。何でもだ”と言わしめるような時計だ。そのうちのひとつは、こんな感じの小さな貴金属製の時刻表示のみの時計だ。もうひとつは? ロレックス デイトナ ル・マン Ref.126529LNである。

ロレックス デイトナ ル・マン Ref.126529LNとは何か?
 世の中で起こった重要な出来事は、忘れ得ぬ爪痕を残すという。この時計のニュースが流れた瞬間、私はどこにいたかをよく覚えている。美しい初夏の土曜日、私はここで友人たちとクレー射撃をしていた。日付まではっきりと覚えている。なぜなら、この時計はほかのロレックスの新作のようにWatches&Wonders 2023で発表されたわけではないからだ。いや、ル・マン第100回大会でひっそり(かどうかは分からないが)発表されたのだ。

Rolex Daytona with a Paul Newman dial
「これがロレックスの新しいクロノグラフだ。その名も “ル・マン”」 1963年頃、そして2023年。

Photo Report: 世界最高峰の耐久レース、ル・マン 24時間レース 第100回大会の現場から

HODINKEEのフォトグラファー、ジョナサン・マクウォーターは、2023年夏に開催されたル・マン100回記念大会に実際に参加した。この時計がお披露目された歴史的なイベントの舞台裏をこの記事で見ることができる。

 そして、これがこの時計の本質、世界でもっとも重要な耐久レースであるル・マンの1世紀にわたる軌跡を表している。そして、実はちょっとした数字遊びが隠されている。昨年の2023年は100周年にあたり、上の画像のRef.6239が発表された1963年は40周年だった。そのためか、ロレックスは現在我々がデイトナとして認識している時計を当初ル・マンと名付けていた(上の私の蔵書内の元の広告を参照してほしい)。しかし、見方によってはル・マンはレースとしてより歴史が長いといえ、ロレックスは何世代にもわたってその一翼を担ってきた。だから、実はデイトナでありながらル・マンでもあるこのクロノグラフが、100回目のレースにあたりお披露目されるのは理にかなっているのだ。

 では、この時計はいったい何なのだろうか? 基本的には最新世代のデイトナ(Watches&Wonders 2023で初公開されたメタリックな質感のベゼルリングで簡単に識別できる)だが、ある人は“エキゾチック”ダイヤルと呼ぶ、平たく言えば“ポール・ニューマン”ダイヤルを備えているモデルということだ。さらに、2023年新作のプラチナモデルと同じオープンケースバック仕様、そして最も重要なのは、12時間積算計の代わりに24時間積算計を備えたクロノグラフという、まったく異なるムーブメント(Cal.4132)を搭載していることだろう。シンプルだが、重要な意味を持つ仕様変更であり、ロレックスが決してその地位に安住することはないことの証明でもある。

Close up on the dial
ル・マンに対する唯一の批判は、入手不可能であること以上に、ダイヤルのみならずベゼルの100のマーカにまでレッドの差し色が使われていることだ。何ヵ月も着用していると、そのことはすっかり忘れてしまう。

 この時計について語りたいことは山ほどある。だからこそ20分延々と続く動画が出来上がったわけだ。しかし、いくつかの重要なポイントを簡単に説明しよう。まずオープンケースバックは、私が持つほかのデイトナより少し厚く感じる。しかし、私が“感じる”と書いたのは、実際に時計の厚さを測ってみると、それほど厚くなかったからだ。つまり“サファイアバック=厚みが嵩む”というのは少し的外れであり、私の感覚はあくまで感覚であって、事実ではない。

Rolex Caliber 4132
Cal.4132は、“オートオルロジュリー(超高級時計)”と呼ぶような水準ではないが、実に素晴らしく見える!

 ケースバックとゴールド製ローターについて特筆すべきは、このムーブメントが実に素敵に見えるということだ。パテックやランゲの手巻きクロノグラフムーブメントと仕上げの点で比肩するだろうか? 確かに及ばないが、それが目的ではないし、価格帯も異なる。ロレックスのムーブメントが工業品のように見えるのは、実際そのように製造されているからだという思い込みがあろう。しかし10年近く前にロレックスの社内に潜入したときに紹介したように、これらのムーブメントがどれだけ手作業の工程が多いか知るとショックを受けるだろう。そしてCal.4132は、ここでご覧いただけるように、実に見栄えがする。地板には深いジュネーブストライプが施され、イエローゴールド製ローターも精巧に仕上げられている。

 ムーブメントについて触れておくと、4132は新しいキャリバー番号で、ほかのデイトナに搭載されているCal.4131とは異なり、12時間ではなく24時間積算機能を持つ。ロレックスによると、これを実現するために7つの部品を追加する必要があったという。つまり、それほど多くはないのだが、いくつかの理由からこの逸脱は大きい。ロレックスのムーブメントが刷新されることは滅多にあることではないし、必要に駆られたものでもなかった。確かに、積算計を12時間から24時間に増量させるのに、たった7つの部品しか使わなかったが、それは称賛されるべきことである。ロレックスは効率性を追求する社風があり、丸1日分の経過時間をカウントする唯一の機械式クロノグラフではないにしても(ただし、この事実については、どなたかに検証いただきたい)、そのひとつを作り上げることができるのは、ロレックスのムーブメントの高い品質と創意工夫があってこそ、なのだ。

 24時間積算計なんてたいしたものではないと思われるかもしれないし、12時間積算計と人間の頭脳を組み合わせればちゃんとした24時間積算計になるから誰も作ったことがないと主張する人も多いだろう。しかし煎じ詰めれば、高級時計製造のほとんどすべてに同じことが言えてしまう。そしてロレックスは、ル・マン24時間耐久レースとの本格的な連携という真の目的を持って、それを成し遂げたのである。また、24時間積算計を時計製造への些細な貢献と見なすのは簡単だが、クロノグラフを作るのがいかに難しいかを考えると、少し考えが変わるかもしれない。例えば、パテック フィリップのカタログを見るといい。アワーレジスター(時積算計)を備えたクロノグラフは見当たらない。Ref.5172/5270は、間違いなく世界で最も優れたクロノグラフのひとつだが、計測できるのは30分までである。パテックのより実用的なキャリバーであるRef.5905でも60分積算計を搭載するのみである。ダトグラフは? 同じく30分だ。これでお分かりいただけたのではないだろうか?

 また、私はバーゼルワールド2018で、多くの人がレインボーベゼルは時計製造における宝石セッティングへの些細な貢献だと言っていたことを思い出している(カーラは違った、彼女は逆の評価を下していた)、そして今の世界を見て欲しい。私の言葉を覚えておいて欲しい。我々は今後数年のうちに、さらにいくつかの24時間積算クロノグラフを目にすることになるだろう。しかし、ほかのレインボー同様、このデイトナのオリジナル性に匹敵するものはないだろう。

24時間積算計の12のすぐ下を見ると、ダイヤルがレンダリング画像で見るようなピュアでリッチなブラックではないメタリックグレーであることがわかる。

 もうひとつ注目すべきは、このダイヤルがステンレススティール製デイトナに見られるようなリッチで艶感のあるブラックではなく、メタリックグレーに近いという点だ。まったく予想していなかった光沢感がある。よし悪しではなく、手首につけたときにしか見られないディテールであり、ウェブ上の画像ではあまりわからない。また、ダイヤルについては、ポール・ニューマンスタイルが採用されており、各積算計のハッシュマークの端の小さな四角いマーカーの意匠は、誰も予想していなかったのではないだろうか。

Reference Points: ロレックス ポール・ニューマン デイトナの全て

オリジナルの “ポール・ニューマン デイトナ “について知りたい? 2014年にさかのぼるこのReference Pointsの動画をご覧いただきたい。

 さて、“ポール・ニューマン”スタイルのダイヤルのロレックスコレクターの伝説における立ち位置を知ることは重要だ。まず、誰もが言うように、これらの特別なダイヤルは曲者が多いのだが、紛れもなくクールな要素が潜んでいる。時計収集が主流になってから何年も経った今日でさえ、非エキゾチックダイヤルの通常のデイトナよりもかなりのプレミアムがつくほどだ。特に理解し難いことは、どの時計がどのダイヤルと組み合わされて製造されたかを知る術がないことだ。しかしロレックスの世界では、価値の多くはダイヤルに左右され、出自はほとんど問題にされない。世界で最も高価なデイトナは、ほぼ間違いなくこのスタイルのダイヤルを持つものであり、あの1800万ドルのポール・ニューマン デイトナに限った話ではないのだ。だからロレックスがついにこのスタイルのダイヤルを備えた現代版のコスモグラフを発表したとき、世界が特に注目するのは当然といえよう。もちろん、この時計はSS製ではなく18Kホワイトゴールド製だ。これは、(ロレックスの時計が依然として享受している著しい需要に対して)すでに困難に陥っている供給問題を悪化させないように、おそらく価格帯を入手可能な範囲から大幅に引き上げることを期待してのことだろう。

デイトナ ル・マンはデイトナ愛好家のコレクションのどこに位置するのか?

ここでの違いは微妙だが、重要である。

私がデイトナを愛していることは隠すつもりのない、公然の事実だ。先代のSS製(Ref.116500LN)のホワイト/ブラックダイヤルの両方と、オイスターフレックスのWG仕様を含め、何本か所有している。ブラックダイヤルのSS仕様は現在、ニューヨーク州ロチェスターに住む母のもとで過ごしている(彼女の手首からこの時計を買い取ろうとした地元のスーパーマーケットの変人たちに拍手を!)。しかし、この時計は長いあいだ、私のコレクションの定番だった…ル・マンがそれを変えてしまうのだろうか? もちろん、そんなことはない。しかし、そもそも現代のデイトナの何がそんなに素晴らしいのかを再考するきっかけとなった。私にとっては、伝統、デザイン、機能性、そして率直に言って、2016年に初めて新型デイトナを手にしたとき、あるいはその何年も前に初めてヴィンテージデイトナを手にしたときに感じた特別な感覚を保ちながら、デイトナをつけてやっていけないことはないという事実だ。先代までのデイトナに取って代わるものでないし、率直に言って、ロレックスの販売店では、この時計が誰かの最初のデイトナになる確率はゼロに等しい。

Rolex Daytona Le Mans
これは? これはいい時計だ。

 ル・マンは誰かが唯一持つモダンなデイトナになる可能性はあるだろうか? もちろん、その重量と、WGはロレックス独自のSSよりも傷がつきやすいという事実に慣れることができれば、そうなる可能性はある。ここに見られるポリッシュ仕上げのセンターリンクや、現行デイトナすべてに見られるポリッシュ仕上げのミドルケースは、深刻な形で傷が付きやすい。しかし、それはロレックスにとって目新しいことではないし、もしそれが本当に問題であれば、ロレックスはそれについて何かしら対処するはずだ。そうしないということは、ロレックスはこの時計が本来の性能を発揮していると感じているのだろう。それだけで私にとって十分だ。

他のデイトナ同様、オイスターブレスレットにはポリッシュ仕上げのセンターリンクが施されている。

ミドルケースもまた、プッシャーのキャップとともに美しくポリッシュされている。

ル・マンの競合モデルはあるのだろうか? あるとは思えないが、強いて挙げるならば…

2本の3レジスター、オープンケースバック、WG製の時計が、クロノグラフの2大ファミリーを代表する。

 ル・マンとの競合モデルを考慮せずして、“A Week On The Wrist”を語ることはできないだろう。この時計に匹敵するようなものは、入手が不可能なだけに、なかなかないのだ。WGのロイヤル オーク クロノグラフ? だが、それはちょっとしっくりこない。私が思いつく最高のものは(市場で手に入れることがいかに難しいかという話ではないとして)カノープスゴールド™のオメガ スピードマスター プロフェッショナルだ。この2本の時計は、一方が自動巻き、もう一方が手巻きだが、それ以外はほとんど同じであり、時計製造の歴史において最も重要な2本のクロノグラフシリーズを代表するものだ。また、どちらも現実ではめったにお目にかかれない点も共通している。

 さて、ここで興味深いのは、カノープス™仕様のスピードマスターのほうがル・マンよりも小売価格が高く(カノープス™は純粋なWGではなく、プラチナ、ロジウム、パラジウムを含む合金であるため、強烈な白色を持つ)、さらにほかの要素があるため、腕につけたときの重量がさらに重くなるということである。正直なところ、カノープス™仕様の3861はとんでもなく重いのだが、しばらくつけていると、その重さを愛おしく感じないわけにはいかなくなる。どちらのムーブメントの仕上げが優れているか? もちろん一方にはローターがあって、もう一方にはないものの、同等レベルだ。

オメガの手巻きムーブメント、Cal.3861。
ロレックスの自動巻きムーブメント、Cal.4132。
 この2本は、いくつかの点で似た特徴を持つヘビー級チャンピオンである。というのも、私が上の動画を収録した時点では、ル・マンの2次流通市場での平均取引価格は約23万5000ドル(日本円で約3562万円)だったからだ(年のため、希望小売価格は日本円で税込740万7400円)。これは、ル・マンとカノープス™仕様の3861、あるいは率直に言って地球上のほかのクロノグラフを比較することがまったく意味をなさないもうひとつの理由である。

ロレックス デイトナ ル・マン Ref.126529LNの今後
Daytona Le Mans on the wrist
何本製造されるのか? ホワイトダイヤルやYG仕様は登場するのだろうか? 読者と同様、私にもわからない。

 私は上の動画でこのことについて数分間話したが、いまだ文章がお好きな方のためにお伝えすると、ル・マンの見通しは依然として不透明だ。2024年は約2400本、来年はホワイトダイヤル仕様が2400本製造されるという報道とは裏腹に、公式には何も発表されていない。すでに生産終了しているという噂もあったが、私は先週納品されたばかりの1本を知っているので、そうではないと確信している。ル・マンはまさに、私(そして我々)が夢見るモダンデイトナなのだが、もしそうでないのなら、ロレックスがこの時計を永久に作り続けるのなら、この時計への欲望を再考することをお勧めする。なぜなら、“エキゾチック”ダイヤルは、当時のようにカタログで通常仕様のダイヤルと並んで生きるに値するからだ。

 私はそれが“今”実現すると言っているわけではない(私はこの件に関して、あるいはロレックス社の計画に関して、内部情報をまったく持っていない)。私はここで、一介のファンの妄想を話しているだけだ。ロレックスがこのダイヤルをこの先何年も作り続け、欲しい人が誰でも手に入れられるようになるのが私の夢だ。それは実現するだろうか? おそらく無理だろう。しかし、時が経てば、多くの人が驚くかもしれない。昔、SS製のデイトナを手に入れるのがどれほど不可能だったか覚えているだろうか。いま、あなたの#watchnerdの友人のうち、何人が持っているか考えてみて欲しい。まだ多くはないが、何人かは持っているはずだ! ル・マンも同じだろう。純粋に入手不可な存在であろうとも、ロレックス デイトナ ル・マンは、ロレックスとモータースポーツの歴史において特別な存在なのである。というのも、ル・マン・デイトナは、時計コレクターの心をも熱くさせる特別な存在でありながら、日常的に着用できるほど使い勝手のいい、実に優れた時計だからだ。換言すれば、デイトナ ル・マンはロレックス時計コピーNランク 代金引換を激安の最高峰モデルなのだ。だから私はこの時計が大好きなのだ。

 それにしても、2013年にル・マンという名の時計について延々と綴った人間がほかに何を言えるというのだろう。私にとって、ル・マンと呼ばれるロレックスの新しいクロノグラフほどクールなものはない。

※編注;本稿で取り上げたホワイトゴールド製のデイトナ ル・マン Ref.126529LNは、先日の Watches&Wonders期間中に生産終了となるとのニュースが飛び込んできた。詳しくは、記事「Breaking News:ロレックス ホワイトゴールド製の“ル・マン” デイトナが生産終了」をご覧いただきたい。

オーデマ ピゲは本日、新しい23mmの“ミニ オーク”コレクションを発表した。

イエロー、ピンク、ホワイトの3本のバリエーションがあり、すべてフロステッドゴールド仕上げが施されている。古代フィレンツェのジュエリーテクニックにインスパイアされたこの仕上げは、ジュエリーデザイナーのキャロリーナ・ブッチ(Carolina Bucci)氏によって初めて実現され、2016年にオーデマ ピゲが彼女とのコラボレーションでロイヤル オークに取り入れたものである。

Royal Oak Mini trio
新しいミニ オークモデルは23mmという小さなサイズに多くのデザインを詰め込んでいる。フロステッドゴールドのダイヤモンドダスト効果は、八角形のベゼルやテーパーブレスレットの個々のリンクを縁取る、ポリッシュ仕上げの斜面と対照的だ。ケースとブレスレットの側面にはサテン仕上げが施されており、この小さなピースにさらにテクスチャーを加えるほか、ソリッドな裏蓋はサンドブラスト、サテン、ポリッシュの仕上げを組み合わせてケースデザインと呼応させている。時計には色を重ねたプチ タペストリーダイヤルを採用し、夜光塗料が塗布されたゴールドの時刻表示インデックスがケースの色にマッチしている。針はやや太めで、APのオフショアダイバーズをほうふつとさせるデザインであり、オーデマピゲ スーパーコピー代引きこれは視認性とバランスを考慮していると思われる。12時位置のオーデマ ピゲのサインはカルトゥーシュ(楕円形の装飾的な枠)の上にブラックでプリントされ、日付表示とセコンド機能は省略。これもまた視認性を高めつつ、ダイヤルをできるだけシンプルに保つためである。

1997 20mm Royal Oak
1997年製、20mmのミニ ロイヤル オーク 67075BA。RO史上最小のサイズだ。Image: Courtesy of AP.

ロイヤル オークミニウォッチのトリオは、Cal.2730によって駆動する。これは7年以上のバッテリー寿命を持つクォーツムーブメントだ。さらにCal.2730には“スイッチ”が装備されており、リューズを引くだけでバッテリーを一時的に無効にできる。またこのミニウォッチは50mまでの防水性を備えている。

理論上、ロイヤル オークを“縮小”することはそれほど革新的に見えないかもしれないが、このミニは単なる縮小版ジャンボではなく、また20世紀の20~29mmの先代モデルを再現したものでもない。小型化の仕様は、現在の消費者の需要に直接応えたものであり、デザインも現代のコンテクストに合わせて更新されている。APは、最も成功した現代の“女性用”リリースのひとつ(自動巻きの限定モデルである、キャロリーナ・ブッチの37mm ロイヤル オーク フロステッドゴールド)の要素を取り入れ、同じフロステッドゴールド仕上げを実現している。これはダイヤモンドチップを使用してゴールドの表面に微小な凹みを作ることで、貴石のような輝きを生み出す効果を持つ。さらに、宝石は一切使われておらず、これらの時計は徹底的に現代的な手法で製作されている。

Royal Oak Minis
我々の考え
スモールウォッチがトレンドになっている。このことは、時計愛好家のあいだでは驚くべきことではないだろう。そして、明らかにブランドも消費者の要望に耳を傾けている。女性と時計に特化したプラットフォーム、ダイムピースの創設者であるブリン・ウォルナー(Brynn Wallner)氏は、小型時計の革命に大きく貢献した。ウォルナー氏はスモールウォッチ復活の大きな進展に対して、大いに称賛されるべきである。彼女のアプローチは遊び心に満ちており、“TTRO(ティーニー・タイニー・ロイヤル オーク)”という略語も定着した。しかし彼女は、若くてファッション志向の強い層が着用したいと望むサイズの時計市場にギャップがあることを鋭く見抜いていた。

この時計は誰のためのものか? と問うならば、それは非常に時代遅れの性別二元論と現代の流動的なファッション用語とのあいだにある、無意味な押し問答に過ぎない。率直に言って、誰でも好きなものを身につけるべきであり、そのような考えを推奨したとして非難されるべきではない。“すべての時計はユニセックスであるべき”という議論に対するコメント欄の疲労感にもかかわらず、ジュエリーや装飾品は広範な文化的規範を深く反映している。それが2024年の現実であり、ファッション業界においてサイズと流動性の問題はより大きなスケールで存在している…単にトリクルダウン効果を見ているに過ぎない。そして率直に言えば、これこそ私たちが求めていたものであり、そのためこの議論は依然として重要である。

Royal Oak Mini and 37mm
おそらく、性別の層を離して考えれば、真の問題は時計デザインの均質性にあるだろう。同じように見えるブランドが多すぎるのだ。それゆえ、ポップスターや俳優が、目立つために小さめの“レディス”デザイン重視の時計に目を向けるのも無理はない。小さな時計をつけるのは手軽であり、精神的にはジュエリーに近い。ここで重要なのはケースの内部に焦点を当てることではなく、時計をもっと軽やかで装飾的なものとして楽しむことである。最終的に、この時計(そしてどの時計も)はアクセサリーなのだ。それを認めるのはまったく問題ない。伝統や技術的な複雑さを愛し尊重することも、小さなクォーツ駆動のデザインウォッチを評価することもできる。私たちは一方を選ぶ必要はないのだ。

Royal Oak Mini on wrist
ロイヤル オークの信奉者たちは、ミニサイズの導入を間違いなく歓迎するだろう。ロイヤル オークはジェンタデザインの永続的なシンボルであるだけでなく、時計愛好家コミュニティ外の人々にも広く認識されているデザインだ。時計の世界から遠く離れた友人たちが、購入を検討している時計の写真を送ってくることがあるのだが、その約75%がミニサイズのヴィンテージロイヤル オークだと言っても過言ではない。このミニサイズは単なる楽しいリリースではなく、賢明なビジネス上の決断でもある。今後もスモールウォッチの火を絶やさないようにしたいと思う。

基本情報
ブランド: オーデマ ピゲ(Audemars Piguet)
モデル名: ロイヤル オークミニ フロステッドゴールド クォーツ(Royal Oak Mini Frosted Gold Quartz)
型番: 67630BA.GG.1312BA.01(イエローゴールド)、67630OR.GG.1312OR.01(ピンクゴールド)、67630BC.GG.1312BC.01(ホワイトゴールド)

直径: 23mm
厚さ: 6.6mm
ケース素材: 鍛金加工による18Kイエローゴールド、18Kピンクゴールド、18Kホワイトゴールド
文字盤: プチ タペストリー
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: 鍛金加工による18Kゴールド製一体型ブレスレット、APフォールディングバックル

ムーブメント情報
キャリバー: 2730
機能: 時・分
直径: 15.7mm
厚さ: 2.2mm
パワーリザーブ: 約94カ月
巻き上げ方式: クォーツ
振動数: 3万2768振動/秒
石数: 4

価格 & 発売時期
価格: 473万円(税込)
発売時期: 2024年6月1日

チューダーのダイバーズクロノグラフにふさわしい、クラシックなカラーウェイだ。

スペックや技術的な詳細は、既存のブラックベイ クロノから変更されていない。つまり、41mmのスティールケースで厚さは14.4mm、ラグからラグまでの長さは49.8mmである。ベゼルはアルミニウム製インサートを備えた固定式で、防水性能は200m。そして“ブルーブティック”には、チューダー独自のT-Fitを搭載したSS製の5連ブレスレットが装着されている。

内部には、過去のブラックベイ クロノでも採用されていたMT 5813ムーブメントが引き続き搭載されている。これはブライトリング B01をベースにした2万8800振動/時(4Hz)の、コラムホイール式垂直クラッチ自動巻きムーブメントだ。また約70時間のパワーリザーブ、6時位置の日付表示、そして45分積算計のクロノグラフも備えている。

人気のチューダー スーパーコピー代引き専門店!ブラックベイ クロノ ブルー ブティックエディションの定価は79万2000円(税込)で、世界各地のチューダーブティックで販売される予定である。

我々の考え
誤解を恐れずに言えば、もし“ブルーのブラックベイ クロノは存在するか?”と聞かれたら、答えを確信するのに5秒もかからなかっただろう。それほどクラシックなカラーであり、チューダーが新作を発表する際に早い段階でよく使用する色だからだ(ヘリテージ クロノ ブルー、ブラックベイ ブルー、ペラゴス FXD MN21など)。それほどまでにチューダーのラインナップでは定番のカラーだが、今回ブラックベイ クロノのブルーバージョンが登場するのは初めてである。そしてとても素晴らしい仕上がりだと僕は思う。ブラックよりも落ち着いていて、ホワイトダイヤルよりも控えめであると感じる。

要するに今回の話はこうだ。ブラックベイ クロノは基本的に同じだが、今回はブルーバージョンが登場したということ。色合いはミディアムダークでサンレイ仕上げ、シルバーのインダイヤル、そしていくつかの小さな赤いアクセントが特徴だ。全体として、BBクロノの外観は予想どおりとはいえ素晴らしいもので、スティールとブルーの組み合わせを引き締めるテーパードされた5連ブレスレット(T-Fit付き)が特に気に入っている。

なお(ジュネーブ・ウォッチ・デイズ開催中の)今週は、これが数日間のうち発表される唯一の新作ではないので、引き続き注目して欲しい。

基本情報
ブランド: チューダー(Tudor)
モデル名: ブラックベイ クロノ “ブルー” ブティックエディション(Black Bay Chrono “Blue” Boutique Edition)
型番: M79360B-0002

直径: 41mm
厚さ: 14.4mm
ラグからラグまで: 49.8mm
ケース素材: 316Lステンレススティール
文字盤: ブルー
夜光: あり、針とインデックス
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: “T-fit”クイックアジャストクラスプ機能付きの5連SSブレスレット

tudor chrono blue
ムーブメント情報
キャリバー: チューダーマニュファクチュールMT5813
機能: 時・分・スモールセコンド、日付表示、クロノグラフ(45分積算計)
直径: 30.4mm
厚さ: 7.23mm
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 41
クロノメーター: あり、COSC認定(さらにチューダーが日差-2~+4秒の精度を保証)
追加情報: 非磁性シリコン製ヒゲゼンマイ

価格 & 発売時期
価格: 79万2000円(税込)
発売時期: 全国各地のチューダーブティックにて販売
限定: なし

市場に新たに登場したロレックス “キング・サブ”、

ひとつ目はクラーズに出品されたカルティエ ロンドン デカゴンだが、こちらは4万ドル(日本円で約570万円)で落札された。サービスダイヤルにもかかわらず意外にも高額な結果となった。ふたつ目はeBayに登場したギュベリンのホワイトゴールド製ドレスウォッチで、これは2425ドル(日本円で約35万円)に到達した。なおボーゲル製ケースを持つユニバーサル・ジュネーブは、出品者が紛失または破損などを理由に販売を取り下げたが、個人間で取引を成立させた可能性が高い。

では、ピックアップを見ていこう。

ロレックス サブマリーナー Ref.6200 “エクスプローラーダイヤル”、1954年製
今週最初に紹介するのは大物だ。Ref.6200のサブマリーナーは“キング・サブ”の愛称で知られており、それには十分な理由がある。8mmという初の“ビッグクラウン”を備え、やや大きめで厚みのあるケースにより、初めて200mの防水性を実現したサブマリーナーである。重要な点を少しあと回しにしよう。ケースとリューズのディテールだが、この“キング・サブ”という愛称は主にダイヤルに由来している。ロレックス時計コピー 代金引換優良サイト!エクスプローラーダイヤルのサブマリーナーは誰もが魅了されるものだ。

このRef.6200は約300本製造されたと考えられている。さらに掘り下げると、6200には大きなロゴと小さなロゴの2種類のダイヤルが存在し、市場では大きなロゴが多く、小さなロゴは“SUBMARINER”の表記がないものがほとんどだ。今回のように6時位置に“SUBMARINER”が入った小さなロゴはきわめて希少である。最後にこのダイヤル付きの“キング・サブ”が公に販売されたのは2007年(!)のクリスティーズで、エスティメートの倍以上である17万6200スイスフラン(当時の相場で約1730万円)で落札された。

この“キング・サブ”のオリジナルオーナー。

販売元であるサブダイアル(Subdial)の人々が、この時計をいち早く教えてくれた。つまりBring A Loupe読者の先行アクセスというわけだ。このモデルは希少なダイヤルバリエーションという以上に特別な存在である。市場に初めて登場したのは、故イギリス海軍士官の遺族から譲り受けたもので、ダイヤルと針はすべてオリジナルだ。ダイヤルと針の夜光もオリジナルですべて一致している。ベゼルとブレスレットはロレックスのサービス交換品だが、ケースはしっかりとしているように見える。

このロレックス サブマリーナー Ref.6200は、ロンドンのサブダイアルで販売中だ。価格は応相談となっており、詳細を知りたい場合はsupport@subdial.comに問い合わせを。

カルティエ シャッターパースウォッチ、1930年代製

時計探しの神々は不思議な働きをすることがある。希少なジェムセットのパテック ノーチラスが政府の差し押さえ資産オークションで出たり、カリフォルニアの小さなオークションハウスでカルティエ ロンドンの時計が見つかったりする。ボナムスという名は時計オークション界で知られているが、まさか1930年代のカルティエ パースウォッチがオンラインセールに紛れ込んでいるとは思わなかった。それでもこうして見つかったわけだ。

これらシャッター、または“エクリプス”とも呼ばれるパースウォッチは、市場に出ることが少ない。オブジェとしてはかなり楽しい。遊び心に富んでいて、以前紹介したカルティエサイン付きのモバード エルメトと同様に、バッグに入れて持ち運ぶことを想定している。バッグのなかでほかの持ち物とぶつかったとしても、時計の文字盤と風防はバネ式のシャッターで保護されている。時間を確認したいときはバッグから取り出し、両端のボタンを中央に押し込むとシャッターが魔法のように開き、クラシックなカルティエのダイヤルが現れる。そしてまたバッグに戻して出かけられる。

ヴィンテージカルティエへの高まる需要、特にユニークな時計に対する市場の関心を考えると、このパースウォッチはオンラインセールでも十分に注目を集めるだろう。ただ全体的に見ると、こうしたユニークなパースウォッチは、ヴィンテージカルティエを手に入れる最良の方法のひとつだ。特にこの時計は1930年代に手作りされたものなのだ。

カルティエ シャッターパースウォッチは、ボナムスのWeekly Watches New Yorkセールのロット2071として出品されており、オークションは9月25日(水)の正午(アメリカ東部標準時)に終了する予定だ。公開時点での入札額は420ドル(日本円で約6万円)で、推定価格は1000ドルから2000ドル(日本円で約14万5000~29万円)となっている。

ヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク Ref.48100/000R-3 “トゥール・ド・リル”、1990年代製

オンラインオークションからもうひとつ、隠れた逸品を紹介しよう。これはクリスティーズ・香港に出品された、非常に魅力的なネオヴィンテージのヴァシュロンである。ヴァシュロンヒストリークのラインナップ、特に1990年代のモデルにはいつも感心させられる。昨年のイベントでヴァシュロンのスタイル&ヘリテージディレクター、クリスチャン・セルモニ(Christian Selmoni)氏とこの時代のブランドの歴史について話をした際、多くのリファレンスがつくられたものの、各モデルの生産量は非常に少なかったことが確認され、私の予感が裏付けられたようだ。

このネオヴィンテージのヒストリークコレクションは、Ref.48100/000R-3 “トゥール・ド・リル”である。少し説明すると、このモデル名は1219年に建てられた城の、唯一残った部分であるジュネーブの塔に由来している。ヴァシュロンは1842年から1875年までこの塔を工房として使用していた。すごい話だろう? なおこの塔は現在も見学することができる。

さて、この時計は直径31.5mmのローズゴールド製ドレスウォッチで、特徴的なコルヌ・ドゥ・ヴァッシュラグを備えている。ダイヤルはきわめてシンプルでありながら、パワーリザーブインジケーターと日付表示機能が小さなスペースへと巧みに配置されている。これらの機能を示すインダイヤルにはギヨシェ装飾が施されており、ちょっとしたアクセントになっている。

このネオヴィンテージヴァシュロンは、クリスティーズ香港のWatches Online: Featuring ‘The Collectibles’ Part 1セールのロット159だ。オークションは9月24日(火)午前4時(アメリカ東部標準時)に終了する予定である。現在の入札額は3万5000香港ドル(日本円で約65万円)で、エスティメートは3万2000香港ドルから6万5000香港ドル(日本円で約59万~120万円)となっている。

アバクロンビー&フィッチ ツインタイム バイ ホイヤー、1950年代製

先週のコラムに関連して、アバクロンビー ツインタイムは本当に希少な時計だ。この時代のアバクロンビーモデルを注意深く追っているのだが、これまでに確認しているのは2本だけだ(こちらとこちら)。だからこそ、最新のジョーンズ&ホーランオークションのカタログを見て、この時計、つまり私が知る3本目の個体をすぐに認識したときの驚きと興奮は想像に難くない。

潮の動きを追跡するシーファーラークロノグラフと同様、ツインタイムはデイヴィッド・アバクロンビー(David Abercrombie)とホイヤーの共同開発によるものだと考えられる。アバクロンビーという人物は、アウトドア好きなアメリカの顧客に最高の製品を届けることにとても熱心で、スイスに定期的に足を運び、ホイヤーなどのブランドに顧客が求める機能のほか、役立つと思われる機能を時計に搭載するよう依頼していた。ツインタイムのインナー回転ベゼルは、ヴィンテージワールドタイマーと同じような方法で第2時間帯を把握することができる。

ジョーンズ&ホーランで出品されているこのツインタイムは完璧ではないものの、全体的にいい外観を保っている。実物で見たほかの例と比較すると、ダイヤルのパティーナ(ここで見るほどではないが)は似ているが、こちらのほうがやや強い印象だ。それでもその風合いは非常に魅力的である。希少な時計においては、状態が完璧でなくてもそれが大きな問題とはならない場合がある。

このA&F ツインタイムは、2024年10月10日(木)午前11時(アメリカ東部標準時)に開催されジョーンズ&ホーランのFeatured Auction w/LIVE CLOSE: Horology, Jewelry, & Coinsセールのロット146として出品。公開時点での事前入札は2000ドル(日本円で約29万円)で、推定価格は3000ドルから6000ドル(日本円で約43万~86万円)となっている。

ベンラス ウルトラディープ Ref.6086、1960年代製

私はヴィンテージウォッチコレクターのなかでも、shopgoodwill.com(アメリカを中心に展開する非営利団体のリサイクルショップ)をくまなく探す人たちに特別な思い入れを感じる。リサイクルショップ、特にGoodwillからは、ヴィンテージウォッチ収集史上最高の発見が生まれてきた。ルクルトのディープ シー アラームやブランパンのフィフティ ファゾムスがその好例だ。こうした話に影響されてか、Goodwillは寄付されたヴィンテージウォッチをオンラインオークションに出品するようになった。今日のGoodwillでの発見は、これほど伝説的ではないものの、それでも予想外の場所で見つかった素晴らしい時計である。

ベンラス ウルトラディープは、1960年代半ばから後半にかけて製造された、一般大衆向けの純粋なツールダイバーズウォッチである。同時期にベンラスがアメリカ軍にタイプ1ダイバーを供給していた一方で、ウルトラディープは商業用に販売されていた。この時計はエルヴィン・ピケレ(EPSA)社製のスーパーコンプレッサーケースに収められるなど、きわめて技術的に優れている。EPSAケースは当時としては最先端技術であり、多くのブランドが採用していた。ホイヤー、エニカ、そして数週間前のBring A Loupeで取り上げたランコもその例だ。同ケースは時計が深く潜水するほど、防水性が高まる設計になっている。潜水中に外部圧力が増すと、バネ仕掛けの裏蓋が内部のガスケットを押し、より強固な密閉状態をつくりだすという仕組みだ。

オレゴン州のGoodwillストアが、このベンラス ウルトラディープをオークションに出品しており、終了は9月21日(土)の午後9時3分(アメリカ東部標準時)だ。公開時点での入札額は802ドル(日本円で約11万5000円)となっている。詳細はGoodwillの親しみやすいウェブサイトでご確認を。

ミモ ヘルマン・ホルマンが販売した“クラムシェル”、1930年代製
eBayで何気なくスクロールしていたときにこの時計と出合った。初期の“防水”ケースと素敵に経年変化したダイヤルが目に留まったが、さらに深く調べていくうちに本当の魅力に気づいた。まず注目すべきはそのコンディションだ。これこそ1930年代の“新古品”の時計が持つべき外観だろう。ヴィンテージウォッチの状態を学ぶにはこのような例を見るのがいいし、可能であれば実物を手に取ることが理想だ。ケースのシャープさとさまざまな仕上げは、ポリッシュはおろか、未使用の時計に求められるものである。この状態の素晴らしさをさらに際立たせているのは、オリジナルの商品タグが付いていることだ。タグにはケース内部のシリアルナンバーが刻印されており、まさにコレクターにとって魅力的なポイントとなっている。

これだけでも入札する理由としては十分であり、オークションの最後まで見守る価値があるが、まだその時計の製造元やダイヤルの名前には触れていない。まず、時計を製造したのはミモだ。このケース構造は“クラムシェル”と呼ばれる。ムーブメントを保持する裏蓋が上部ケース内で圧力をかけて固定され、ラグの裏側にある4本の斜めに配置されたネジでしっかりと固定されている。いくつかのブランド(タバン、ギャレットなど)は、このスタイルの“防水”ケースを採用した時計を製造しており、ケースはスクエアやラウンドがあった。今日ではミモはあまり知られていないブランドだが、当時の時計業界では非常に重要な存在であった。特にミモメーターは、1930年に初めて3時位置に日付窓を持つ時計として登場し、その革新性で注目された。

ではダイヤルの名前はなにかというと、ヘルマン・ホルマンは20世紀初頭にドイツのライプツィヒで創業した時計小売店である。ホルマンはさまざまなブランドの壁掛け時計や腕時計を販売しており、多くはダイヤルに小売業者のサインのみが刻まれていた。ホルマンのサインが入った時計は、1945年以降だとほとんど見つからない。この調査を進めるうちに、ホルマンの子孫が情報や家族写真を共有しているドイツの時計フォーラムにたどり着いた。

ともかく、この時計は素晴らしいコンディションで、その背景にはとても興味を引かれるストーリーがある。“新古品”の時計という観点から見ると、これまでの歴史がたくさん詰まっている一品だ。