新型の自動巻きムーブメントを搭載した、よりハイスペックなダイバーズGMTの登場だ。

セイコー プロスペックスが、新たなGMTモデル(SBEJ009、SBEJ011、SBEJ013)を追加発表。

自分の誕生日を迎える3月に、新しい刺激的な時計が発売されると、そのどれかが自分の誕生日となにか関係しているのではないかと思って意識してしまう。少なくとも、セイコーのスポーティなプロスペックスコレクションに、ダイバーズGMTとしての機能を備えつつ、マリンマスター譲りのルックスを持つ新型GMTモデルの発表を知ったとき、僕はそう感じた。これはバースデーケーキの香りがしてこないか? 僕だけ?

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セイコー プロスペックス、左からSBEJ013、SBEJ011、SBEJ009。

セイコー プロスペックス 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン GMTと、セイコー腕時計110周年記念限定モデル Save the Oceanの2コレクションを構成する3つのリファレンスを、上の写真からご覧いただきたい。左がSBEJ013(海外版ではSPB385)で、次に真ん中の黒文字盤がSBEJ011(海外版ではSPB383)、緑の右側のモデルがSBEJ009(海外版ではSPB381)だ。3つのバージョンとも、直径42mm、厚さ12.9mm、ラグからラグまでのサイズが48.6mm。共通デザインとして、サファイアクリスタル風防、ドリルドラグ、セラミックベゼルインサート、4時位置と5時位置のあいだに挟まれた日付表示などを備えている。

この日付とそのほかの機能はすべて、セイコーの新ムーブメント6R54によって実現している。この自動巻きムーブメントは、約72時間という非常に優れたパワーリザーブだけでなく、SBEJ系譜のコアのひとつである、独立した24時間GMT機能も実現している。第2時間帯を表示するこのスタイルは、“caller”GMTと呼ばれ、ユーザーがリューズを使ってGMT針を独自に調整して、文字盤を囲む24時間スケールで表示することで、第2時間帯を把握するスタイルである。

Seiko Prospex GMT SPB381 SPB383 SPB385
レギュラーモデルのSBEJ009とSBEJ011は20万9000円(税込)で、4000本限定(うち国内流通は700本)のSBEJ013は23万1000円(税込)で発売される。3本ともダイヤシールドを施したスティールブレスレットを備え、発売は2023年6月9日に、一部の小売店(日本の展開はセイコーグローバルブランドコアショップ専用)での販売を予定している。

我々の考え
最近の僕は、GMTダイバーズの素晴らしさを誰彼構わず語っている。旅行中に使いたい時計(GMT)と、どこへ行くにも腕に巻いていたい時計(ダイバーズウォッチ)というふたつのよさが融合しているのは、大きな魅力のひとつだ。セイコーはこの新しい機械式GMTを、新機軸のソーラーGMTである“スモウ”(セイコーがつくったフライヤー型のダイバーズ GMT。大変優れた性能を発揮している)の発表からわずか数週間後に発表しており、ちょっとした盛り上がりを見せている。

spb383
この新しいSBEJシリーズに限っていえば、セイコーはホームランを打ったようなものだと思っている。サイジングがとても理に適っており(特にラグからラグまでのサイズが49mmアンダーである)、しかもスペックもしっかりと高い。そしてセイコーのダイバーズモデルでありながら、マリンマスターやグランドセイコーのデザイン要素を取り入れた、クラシカルなルックスを備えている。さらに色鮮やかな3つのカラーリングから選べる点、セラミックインサートのベゼルも採用しているのに、20万9000円からという価格設定も大変すばらしい。日常的に使えるハンサムなスポーツウォッチとして、とても高いコストパフォーマンスを実現していると思う。

新しいムーブメントにはローカルジャンピングGMT(通称“flyer”型GMT)の機能をつけてほしかったという、今後展開されるだろうコメントの一部に賛同しつつも、とはいえ、特にこの機能の主なニーズが、ホームにいるあいだに第2タイムゾーンを把握すること(というよりむしろ逆)であるのならば、なおさら“caller”GMTでも構わない。しかし、flyer型GMTの価格帯は、ここ数年でぐっと下がり、積極的にタイムゾーンを変更する人にとっては直接的な効果がある。SBEJダイバーズの平均小売価格より数万円高いだけで、GMTも手に入るのだから。

Seiko Prospex GMT SPB381 SPB383 SPB385
僕の誕生日にまつわるナルシシズムはさておき、この新しいダイバーズGMTは、セイコーが以前からつくりたいといっていたようなSS製の時計だと思うため、1本でも実機を見られたらと思うととても楽しみである。手に入り次第紹介するため、乞うご期待。

基本情報
ブランド: セイコー プロスペックス(Seiko Prospex)
モデル名: 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン GMT、セイコー腕時計110周年記念限定モデル Save the Ocean
型番: SBEJ009(グリーン、海外版ではSPB381)、 SBEJ011(ブラック、海外版ではSPB383)、SBEJ013(ライトブルーのリミテッドエディション、海外版ではSPB385)

直径: 42mm
厚さ: 12.9mm
ラグからラグまで: 48.6mm
ケース素材: ステンレススティール(ダイヤシールドコーティング)
文字盤: グリーン、ブラック、ライトブルー
インデックス: アプライド
夜光: あり。針とマーカーにルミブライト
防水性能: 200m潜水用防水
ストラップ/ブレスレット: スティールブレスレット、ワンプッシュダイバーエクステンダー方式クラスプ

ムーブメント情報
キャリバー: Cal.6R54
機能: 時・分・秒、日付表示、24時間針、GMT(独立した“caller”スタイル)
直径: 27.4mm
厚み: 5.3mm
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 24

価格 & 発売時期
価格: SBEJ009とSBEJ011は20万9000円(税込)、SBEJ013は23万1000円(税込)
発売時期: 2023年6月9日、日本ではセイコーグローバルブランドコアショップでのみ販売
限定: SBEJ013は4000本限定(うち国内700本)、SBEJ009とSBEJ011はなし

「ブルガリ 表参道」がグランドオープン

ローマンハイジュエラー ブルガリは、多様な輝きを放つ表参道に、新たにイタリアの優美なるエレガンスを吹き込みます。ファッションの中心である東京でももっともエネルギー溢れる街のひとつである表参道は、ラグジュアリー、イノベーション、そしてトレンドをリードしています。このたびオープンする「ブルガリ 表参道」は、歓びに満ちたイタリアンライフを体現する場であり、現代のローマへの賛美にあふれた空間とともにブルガリを愛する人たちをお迎えします。

ブティック コンセプト
「ブルガリ 表参道」のデザインコンセプトには、数々のアイコニックなコレクションへの敬意が込められており、それぞれが織りなす豊かなストーリーを壮麗に際立たせます。カラカラ浴場のフロアモザイクをオマージュした「ディーヴァ ドリーム」の美しいシェイプが細やかな幾何学模様を描き出し、外観をコンビネーションゴールドで美しく彩ります。エントランスはローマ・コンドッティ通りのフラッグシップストアと同様に、古代ローマ建築を体現する石材、トラバーチーノ・ナヴォーナにより縁どられています。

開放的で昂揚感を湛えた空間の1階に足を踏み入れると目に入る、彫刻的なトラバーチンの円形カウンターには、イタリアの熟練した職人技が息づいています。ヴェニーニによるムラーノガラスにより制作された美しいシャンデリアは、ブルガリのもう一つの象徴であるセルペンティ(イタリア語で蛇の意)を称えるものです。ブルガリの蛇をシグネチャーとしたスタイルの起源は、1940年代に遡ります。大理石の床は空間にナチュラルな美しさをもたらし、タイムレスな魅力を持つイタリアンデザイン、クラフツマンシップのクオリティ、卓越性を映し出しています。ブルガリを象徴するシグネチャーのひとつである8角形のショーケースの背景は、ローマを照らす夕暮れを想わせる色あいのシルクで彩られ、ディスプレイされるブルガリのクリエイションを鮮やかに際立たせます。

ブルガリ トゥボガス ネックレスとブルガリ トゥボガス ウォッチは、ブルガリを象徴する技法のエレガンスと現代的な解釈を体現しています。ブルガリのデザインと比類なきイタリアの芸術性とともに様々なスタイルを楽しめます。これらのエレメンツが一体となり、ブルガリの伝統とクラフツマンシップを称える、温かく視覚的に豊かな空間を創り出しています。

2階に備えられたVIPラウンジでは、ローマン ハイジュエラーとして卓越した技を誇るブルガリの壮麗さと、色彩を自在に操り喜びにあふれた新しい趣を生み出す手腕に満ちた「ディーヴァ ドリーム」の最も貴重なクリエイションが、長年ブルガリに感動を与えインスピレーションの源となってきたローマを包む魔法のような太陽の光が生んだ空間を称えています。やわらかなフォルムのイタリアンデザインの家具とシルク製クッションが配されたラウンジは、ブルガリならではのホスピタリティが存分に感じられる、心が満たされる空間となっています。

「ブルガリ 表参道」のために選び抜かれたアート作品も空間をさらに特別なものにしています。1970年代のヘリテージブローチにインスパイアされたパネルは、富士山の繊細な描写が、東洋の美意識への称賛を感じさせます。ブルガリならではの型に捉われないクリエイションと、日本文化が持つ洗練された芸術性との高い次元での共鳴が、時代を超えた東洋と西洋の融合を体現したアートを生み出しました。さらに、1950年代のアーカイブスケッチが、ユニークな当時のハイジュエリーピース、セブンワンダーズ ネックレスの創作プロセスを今に伝えています。

イタリアのクリエイションをご堪能いただける「ブルガリ 表参道」にて、ラグジュアリーかつ優雅な時間をお過ごしください。

「ブルガリ トゥボガス」
ネックレス
PG x ルベライト x DIA 
¥8,525,000(税込)
※ブルガリ 表参道限定発売

「ディーヴァ ドリーム」
ピアス
PG x DIA
¥951,500(税込)

「ディーヴァ ドリーム」
ネックレス
PG x DIA
¥605,000(税込)

「セルペンティ セドゥットーリ」
時計
YG x DIA
ケース径:34mm
¥5,863,000(税込)

「ルチェア ノッテ デ ルーチェ」
時計
PG x SS x DIA x 螺鈿細工を施した漆のダイアル
ケース径:33mm
¥3,498,000(税込)

「オクト フィニッシモ ゴールド」
時計
YG
ケース径:40mm
¥6,908,000(税込)

「セルペンティ」
バッグ
ナッパレザー x クリスタル
W19 x H11 x D5.5cm
¥1,078,000(税込)

【ショップ概要】
「ブルガリ 表参道」
2025年11月22日(土)グランドオープン
住所:東京都港区北青山3-6-1 オーク表参道
TEL.03-3409-0020
営業時間:午前11時00分~午後8時00分
※オープン日11月22日のみ午前10時~午後2時30分までの営業となります。

【お問い合わせ】
ブルガリ・ジャパン
TEL.0120-030-142

ミンが、29.01 ワールドタイマーを発表。

ミンが、29.01 ワールドタイマーを発表。

ミンの新コレクションとなる29最初のモデルは、19.02 ワールドタイマーをブラッシュアップしたものだ。

19.02 ワールドタイマーの発表から4年、ミンは29.01 ワールドタイマーを発表した。このモデルは、従来の19シリーズを進化させた新しいコレクション、29の最初のモデルであるとも発表している。今ではすっかり定着したミンの世界観に、さらにアップデートを加えたものだ。

ミン 29.01にはベゼルがなく、風防のクリスタルは40mmのチタン製ケースにぴったりと納められている。風防のなかにはサファイアでできたダイヤルの上に、同じくサファイアでできた針をセット。これらは昼と夜を表す絶妙なブルーとブラックのグラデーションがかかった、メタリックな24時間ディスクの上に位置している。ミンの時計のため、サファイア製の文字盤、その下のワールドタイムディスク、針といったいたるところに夜光(これはハイセラム セラミックス スーパールミノバX1だ。聞いてくれてどうもありがとう)が施されているのも特徴だ。ほかのミンウォッチと同様、実物を見てみないとわからないほど、立体感のある時計であることは間違いない。

ミン 29.01 ワールドタイマーの横置きイメージ
ミンのほかの作品(19.02 ワールドタイマーを含む)と同じく、ムーブメントはシュワルツ・エティエンヌ社製だ。タングステン製のマイクロローターを搭載しているが、さまざまな部品を一新しており、特にブリッジのデザインは再設計しているという。フルスケルトンの香箱も19.02と同仕様であり、さらに受け板とブリッジにはDLCコーティングを施し、ダイヤモンドカットの面取りでコントラストをなしている。

ミンを特徴づける中空加工が施された“フライングブレード”ラグは、新作の29.01では短く設計して着用感を損なわないように追求がなされている。ラグの上下ともポリッシュ仕上げで、ケースサイドのマットな質感とは対照的である。ミンについて話す上で必ずと言っていいほど話題になる、価格と入手方法についてお伝えしよう。このミン 29.01 ワールドタイマーは、世界限定100本の数量限定モデルだ。米国東部時間4月5日の午前9時(日本時間は4月5日の午後10時)より予約が開始された。価格は1万9500スイスフラン(日本円で約285万円)で、注文時に50%のデポジット(9750スイスフラン、日本円で約142万5000円)を支払う必要がある。2024年3月より、随時デリバリーが開始される予定だ。

我々の考え
ミン 29.01 ワールドタイマーの夜光
ミン 29.01 ワールドタイマーの文字盤
ミン 29.01 ワールドタイマーのリストショット
この記事を読んだりコメントをするころには、この時計はすでになくなっている可能性が高い。それはミンが過去6年のあいだにネット上で獲得して築き上げた、ブランドの熱狂的なファン層の賜物である反面、呪いでもある。セリタ製ムーブメントを積んだデザイン主体の価値提案から、スイスのハイエンドサプライヤーとの真の時計製造パートナーシップへシフトチェンジするよう、ミンは時間をかけて取り組んできた(まあはっきり言って前者もまだ展開しているのだが)。このモデルでミンは、シュワルツ・エティエンヌ社と共同でブランド独自のワールドタイマーキャリバーを設計・開発した。なお昨年発表した37.04 モノプッシャーでも、似たようなことをやっている。

ミン専用シュワルツ・エティエンヌ社製、Cal.ASE 222
創業者の名を冠したミンというウォッチカンパニーは、6年前に創業者であるミン・ティエン(Ming Thein)氏が設立して以来、ほかの誰にも真似できないほどの時計設計、製造、販売を続けている。29.01 ワールドタイマーは、そのことを示す一連のリリースの最新作に過ぎない。ミンがデザインしたシュワルツ・エティエンヌ社のムーブメント、ベゼルレスのケース構造、ブランドの特色である夜光とサファイアの処理、そして2万ドルの時計なのに即座にネットで購入されるであろう方法(加えて購入者は納品まで1年待たされることになる)など、ミンのやり方はほかに類を見ない。これらの方法を好むか好まざるかは別として、ミンがミンにしかできないことをやり続けることで、時計の世界はよりよい方向に向かう。29.01 ワールドタイマーは、ブランドにとって素晴らしい次のステップとなるのだ。

基本情報
ブランド: ミン
モデル名: 29.01 ワールドタイマー

型番: 40mm
直径: 11.9mm
ラグ幅: 22mm
ケース素材: グレード5チタン
文字盤: サファイア製文字盤、その下にブルーブラックグラデーションがかったメタリックの24時間ディスク
インデックス: サファイア、ハイセラム セラミックス スーパールミノバX1
夜光: ハイセラム セラミックス スーパールミノバX1
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ジャン・ルソーのストラップ(ダークブルー1本、ユーザーの好みの色1本の、計2本)

ミン専用シュワルツ・エティエンヌ社製、Cal.ASE 222
ムーブメント情報
キャリバー: ミン専用シュワルツ・エティエンヌ社製、ASE 222
機能: 時・分表示、ワールドタイマー
直径: 30mm
厚み: 5.6mm
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き(マイクロローター)
石数: 31
追加情報: DLCコーティングされたブリッジ、コントラストロジウム、ダイヤモンドカットの面取り

価格 & 発売時期
価格: 1万9500スイスフラン(日本円で約285万円)
発売時期: 4月5日、日本時間午後10時から予約受付開始。2024年3月以降にお届け。
限定: あり、世界限定100本

シンプルな伝統とブランドが誇る最先端の時計製造技術の違いを見事に表現したモデルたちだ。

JLCは以前にもレベルソ・クロノグラフをつくったことがある。1991年のレベルソ誕生60周年を機にJLCはレベルソに初めて複雑機構を搭載するようになった。最初は日付とパワーリザーブから始まり、トゥールビヨン、ミニッツリピーターと続いていく。そして1996年には新型のCal.829を搭載したレベルソ・クロノグラフを発表した。ブランド初のシェイプドクロノグラフムーブメントであると同時に、クォーツショック以降に初めて開発された手巻きの一体型クロノグラフでもある(当時のギュンター・ブリュームラインはJLC、ヴァシュロン、IWCが属するLMHグループを率いており、1999年にダトグラフで一体型キャリバーを発表したランゲの復活にも貢献した)。初代のレベルソ・クロノグラフは限定生産品であり、JLCは短命に終わった後続モデルのレベルソ・グランスポーツと、そのアップデート版であるCal.859も2000年代初頭まで生産した。

ジャガー・ルクルトスーパーコピー時計代引き レベルソ・トリビュート・クロノグラフ
新しいレベルソ・トリビュート・クロノグラフのサイズはラグからラグまでが49.4mm、幅が30mm、厚みが11mmとなっている。私はSSのバージョンとともにほとんどの時間を過ごしたが、驚くほどクールでスポーティな着こなしができた(レベルソはポロ選手の時計に端を発しているから当然といえば当然だ)。SS製クロノグラフの表面は洗練されたブルーグレーに似たダイヤルとなっており、JLCによると酸化チタンを薄く蒸着させるADLプロセス(原子層堆積法、数ナノメートルの超薄膜を平坦な面に正確に成型する)で実現したサンバースト仕上げを施したとのことだ。クロノグラフのプッシャーは細長いレクタンギュラー形で、時計の感触を邪魔することはない。もしこの時計を時間表示のみのモデルとして身につけるのであれば誰にも気づかれることはないだろう。シャープなドフィーヌ針が2本配置されているだけで、それ以上でもそれ以下でもない。

RGのほうのクロノグラフは、ピュアブラックのダイヤルがケースをさらに引き立てている印象で、SS製よりもドレスアップしている感じだ。刻まれた“Jaeger-LeCoultre”のサインは金箔のようなローズカラーでプリント。これも細部まで考え抜かれたディテールのひとつである。

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフの裏面
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフの反転中
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフ、裏面のアップ
もちろん、ここまでの話はまだ半分に過ぎない。ケースを反転させるとクロノグラフ側の文字盤が出現し、さらにスケルトンデザインがその新Cal.860をアピール。旧型のCal.859と構造的には酷似しているが、新ムーブメントはクロノグラフ機能とともに時刻を第2ダイヤルに表示している。中央のクロノグラフ秒針は60秒計を中心に回転し、6時位置にはレトログラード式のミニッツカウンターを配している。またムーブメントに施されたコート・ド・ジュネーブ仕上げのブリッジをスケルトン文字盤からはっきりと堪能できるのもポイントだ。SSケースの場合、クールでまとまりのあるモノトーンルックに仕上げているが、一方のRGケースでは色調のメリハリがなくなり、文字盤が少し騒がしいように感じる。

7時位置のコラムホイール(水平クラッチでもある)を見ていると充足感が得られる。目の錯覚だとは思うが、クロノグラフにかかわる機構の感覚を、より体感できるのだ。ムーブメントのブルースクリューと青焼き針もマッチしていて、デザイン全体にまとまりを持たせている。Cal.860は2万8800振動/時で振動し、約52時間のパワーリザーブを確保している。

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフ、ローズゴールドモデル
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフ、ローズゴールドモデルの反転中
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフ、ローズゴールドモデルの裏面
レベルソ・トリビュート・クロノグラフは私の頼りない手首にもよくなじんでくれて、この薄さが大きなケースの形状をカバーしていた。なんだかキットカットのバーを何本もつけているような気分だ。SS、RGのバージョンともにアルゼンチンの伝統的なポロブーツメーカーであるカーサ・ファリアーノ社(チャールズ王が身に着けるようなブランド)製の、キャンバスとレザーのコンビネーションとオールレザーの2本のストラップで提供。JLCは今回、SSとゴールドの両方にキャンバスレザーのストラップをセットして発表している。SSクロノグラフでは効果的だったし、このような形で身につけたいと思ったのだが、RGのほうはドレスアップした時計をドレスダウンさせようとするあまり、スーツに白いスニーカーを履くオヤジのように少し頑張りすぎているように感じた。

ここまで読んでいただけたらおわかりかと思うが、見た目だけでなく価格も含めて、私はSS製のほうがずっと気に入った。SS製のレベルソ・トリビュート・クロノグラフは321万2000円、RGモデルは563万2000円(ともに税込)となっている。高値ではあるが、高級な自社製クロノグラフの水準からは大きく外れてはいないため比較対象が思い浮かばない。またブティックのみの展開となり、発売当初から入手が困難なようだ。私にとってSS製クロノグラフとは真のスポーツウォッチ(ダイバーズやフィールドウォッチ、ジェンタデザインの時計)とオールドスクールなドレスウォッチの境界線を完璧に超えており、両者のあいだに位置するドレススポーツウォッチというジャンルを定義、または再定義している(新しいショパールのL.U.C 1860などもこれにあたる)。

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフのリストショット
私はレベルソ・トリビュート・クロノグラフを、Watches & Wondersで真に驚かされたものと呼んでいる。レベルソ・クロノグラフ自体が驚きなのではなく(以前にも存在していたから)、JLCとレベルソが持つ両面のよさ、つまりシンプルで時間表示だけの歴史と、JLCを真の時計メーカーとして際立たせる超複雑な時計製造(ジャイロトゥールビヨンやクアドリプティック)のバランスがとれていて、それがうまく表現されているからだ。レベルソ・トリビュート・クロノグラフは、JLCが誇る時計製造のすべてを美しくも身につけられるパッケージへ凝縮している(もしくは、あったとしても人に気付かれないくらい目立たないものにしている)。クラシックなドレスウォッチをモダンにアレンジしたモデルでありながら、もう一方で素晴らしい新型クロノグラフキャリバーを披露しているのだ。

JLCの両面を見せる、それこそがレベルソを完璧に使いこなすことなのだという風に。

ブライトリング アビエーター クロノグラフのまったく新しいコレクション、クラシック アヴィ クロノグラフ 42の新作が発表。

2021年に発売された兄弟分であるスーパー アヴィ 46mmと同様、これらの新しいリリースも4機の伝説的な航空機に敬意を表している。デザインを気に入っていながらもやや小振りな時計を好む人のために、より一般的に着用できるサイズが提供されたのだ。

新作はそれぞれの航空機にちなんで、数種類のカラーバリエーションを用意している。F4U コルセアはブルーダイヤルとスティールベゼルモデル、P-51 マスタングはブラックダイヤルにSSベゼル、ブラックダイヤルにローズゴールドケースの2種類、カーチス ウォーホークはグリーンダイヤルにSSベゼル、そしてデ・ハビランド社のモスキートはブラックダイヤルにホワイトのカウンター、ポリッシュとサテン仕上げのブラックセラミックベゼルを組み合わせている。いずれもラチェット式の双方向回転ベゼルを備え、フォールディングバックル付きのカーフスキンレザーストラップ(ラグ幅は22mm)、またはバタフライクラスプ付きのSS製5連ブレスレットが付属する。

新作はすべて約48時間のパワーリザーブを持つ、自動巻きのブライトリング Cal.23を搭載。4分の1秒クロノグラフ、30分積算計、12時間積算計を有している。これらのムーブメントはSS(または18KRG)のケースに納められており、サイズは直径が42mm、厚みが14.7mm、ラグからラグまでの長さは48mmとなっている。また100mの防水性、ソリッドな裏蓋、そして各モデルとリンクした航空機のエングレービングを施している。
スーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイター。

これらの商品(42mm)に心打たれなかった人のために、ブライトリングはスーパー アヴィとコ・パイロットシリーズ(編集注記:新作のモデル名は初代と同じREF.765 アヴィとなっている)のふたつの新しい時計も登場している。まずひとつ目はブラックセラミック製のスーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイターで、46mm×15.9mmという存在感を放つ大きさに。COSC認定のブライトリング マニュファクチュール Cal.B04を搭載し、約70時間のパワーリザーブ、コラムホイール/垂直クラッチ式クロノグラフ、時・分・秒、デイト、そして第2タイムゾーンを備えている。またチタンとサファイアでできたシースルーバックを採用している。

最後のニューモデルは、シンプルでクラシックな41mmの逆パンダクロノグラフ、アヴィ REF.765 1964 リ・エディションだ。アモルファスダイヤモンドライクカーボン(ADLC)コーティングされたSSベゼルを備えている。この時計は手巻きのコラムホイール、垂直クラッチのブライトリング・マニュファクチュール Cal.B09を搭載し、約70時間のパワーリザーブを実現し、より現代的で信頼性の高いムーブメントでありながら、ヴィンテージスタイルの1本を手に入れることができる。なお裏蓋はスナップ式のSS製ソリッドケースバックを採用し、防水性は30mだ。

価格はクラシック アヴィモデルが66万円から、F4U コルセアモデル(SSブレス)が69万8500円、スーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイターが151万2500円で、そしてアヴィ REF.765 1964 リ・エディションが164本の限定生産で105万500円(すべて税込)となっている。

ああ、これらの新作には解き明かすべきことがたくさんある。まずは新しいものから始めたからそれについて取り掛かろう。

背の高い私は友人から 、大きな時計をつけた方がいいとよく言われるのだが、ブライトリングのスーパー アヴィ クロノグラフは、私の個人的な好み(それと7.25インチ/約18.4cmの手首)的に大きすぎるといつも思っていた。そんななかこの新しいクラシック アヴィ クロノグラフ 42は、頑丈なツールのアビエータークロノグラフのような伝統的なサイジングには合わないかもしれないが、しかしすべてがクラシカルな完全再現であることはなく、現代の市場や好みに合わせる必要があるのだ。また業界ではしばらくのあいだ、腕時計のサイズを大きくしてきた経緯があったが、このつけ心地のいい選択肢が増えたことは単純にうれしいことだ。

私は普段ブレスレット派だが、クラシックなスタイルの時計においては、上の写真のウォーホークやモスキートのようなストラップに引かれる可能性が高い。どれも美観的には素晴らしいパッケージのように思える。つけたときの感触が楽しみだ。小振りなクラシック アヴィモデルがおよそ70万円というのは、(ユーザーが)ブライトリングに期待しているとおりの価格だと思うし、しかもこのサイジングによってより多くの人の手首に合うようになるだろう。

最後の2モデルについては、ブライトリングが表と裏の正面2枚ずつしか写真を提供していないため判断を下すのが難しい。今はブラックセラミック(またはどんなセラミックでも)が大流行しているようだし、新しいスーパー アヴィの需要は間違いなくあると思う。個人的にはあの時代のパイロットクロノグラフが大好きだから、アヴィ REF.765 1964 リ・エディションのほうに興味がある。ただ164本だけしか製造されないため、きっと私が実機を目にする前に売り切れてしまうのだろう。

基本情報
ブランド: ブライトリング(Breitling)
モデル名: クラシック アヴィ クロノグラフ 42/P-51 マスタング/トリビュート トゥ ヴォート F4U コルセア/カーチス ウォーホーク/モスキート(Classic Avi Chronograph 42/P-51 Mustang/Tribute To Vought F4U Corsair/Curtiss Warhawk/Mosquito)、スーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイター(Super Avi B04 Chronograph GMT 46 Mosquito Night Fighter)、アヴィ REF.765 1964 リ・エディション(Avi REF. 765 1964 Re-Edition)
型番: P-51 マスタング…A233803A1B1A1、A233803A1B1X1、R233801A1B1R1、R233801A1B1X1、トリビュート トゥ ヴォート F4U コルセア…A233801A1C1A1、A233801A1C1X1、カーチス ウォーホーク…A233801A1C1A1、A233801A1C1X1、モスキート…Y233801A1B1A1、Y233801A1B1X1、スーパー アヴィ…SB04451A1B1X1、アヴィ REF.765 1964…AB09451A1B1X1

直径: 42mm(クラシック アヴィ)、46mm(スーパー アヴィ)、41mm(アヴィ REF.765 1964)。
厚さ: 14.7mm(クラシック アヴィ)、15.9mm(スーパー アヴィ)、14.05mm(アヴィ REF.765 1964)。
ケース素材: ステンレススティールまたはローズゴールド(クラシック アヴィ)、セラミック(スーパー アヴィ)、ステンレススティール(アヴィ REF.765 1964)
文字盤: ブルー、ブラック、逆パンダ、グリーン(クラシック アヴィ)、ブラック、コントラストカラーのアンスラサイトのクロノグラフカウンター(スーパー アヴィ)、逆パンダ(アヴィ REF.765 1964)。
インデックス: アラビア数字またはバーインデックス
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 100m(クラシック アヴィとスーパー アヴィ)30m(アヴィ REF.765 1964)
ストラップ/ブレスレット: レザーストラップまたはブレスレットオプション(クラシック アヴィ)、ラグ幅24mmのブラックミリタリーカーフスキンレザーストラップにチタン製フォールディングクラスプ(スーパー アヴィ)、ブラックのヴィンテージ風レザーストラップにピンバックル(アヴィ REF.765 1964)

The Classic AVI P-51 Mustang
ムーブメント情報
キャリバー: ブライトリング 23(クラシック アヴィ)、ブライトリング マニュファクチュール B04(スーパー アヴィ)、ブライトリング マニュファクチュール B09(アヴィ REF.765 1964)
機能: クラシック アヴィ…時・分・秒、振動ピニオン、4分の1秒クロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、スーパー アヴィ…時・分・秒、日付、セカンドタイムゾーン、コラムホイール、垂直クラッチ、4分の1秒クロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、アヴィ REF.765 1964…時・分・秒、コラムホイール、垂直クラッチ、4分の1秒クロノグラフ(15分積算計、12時間積算計)
直径: 30mm(すべて)
厚み: 7.9mm(クラシック アヴィ)、8.33mm(スーパー アヴィ)、6.73mm(アヴィ REF.765 1964)
パワーリザーブ: 約48時間(クラシック アヴィ)、約70時間(スーパー アヴィとアヴィ REF.765 1964)
巻き上げ方式: 片方向巻き上げ式の自動巻き(クラシック アヴィ)、ボールベアリングによる両方向回転式自動巻き(スーパー アヴィ)、手巻き(アヴィ REF.765 1964)
振動数: 2万8800振動/時(すべて)
クロノメーター: あり、COSC認定済み(すべて)

価格 & 発売時期
価格: クラシック アヴィ クロノグラフ 42…P-51マスタングはSSモデルが66万円(レザーストラップ)と69万8500円(SSブレス)、RGモデルが249万1500円(レザーストラップ)と486万2000円(RGブレス)/トリビュート トゥ ヴォート F4U コルセアは66万円(レザーストラップ)と69万8500円(SSブレス)/カーチス ウォーホークは66万円(レザーストラップ)と69万8500円(SSブレス)/モスキートは68万2000円(レザーストラップ)と71万5000円(SSブレス)、スーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイターは151万2500円、アヴィ REF.765 1964 リ・エディションは105万500円(すべて税込)
発売時期: 発売中
限定: アヴィ REF.765 1964のみ164本限定