スポーツ計時分野におけるオメガの地位は、もはや説明不要でしょう。1932年のロサンゼルスオリンピック以来、その信頼性を世界に示し続けてきたオメガは、2024年に「アメリカズカップ(America’s Cup)」の公式計時として選ばれました。
このコラボレーションは、単なるスポーツタイアップではなく、1957年に誕生したプロフェッショナル・ダイバー「シーマスター 300」と、水上スポーツ全般へのオメガの長年の関わりを象徴するものです。
今回ご紹介するのは、第37回アメリカズカップ開催を記念して発表された「シーマスター 300M アメリカズカップ エディション」。潜水用の機能性を維持しつつ、セーリング競技に特化したユニークなディスクを備えた、まさに「両世界のエッセンス」を兼ね備えた1本です。
デザイン:海を連想させるカラーリングとディテール
一見すると、シーマスター 300M のクラシックなプロポーションを踏襲していますが、細部に至るまでセーリングへのオマージュが込められています。
ケースとサイズ:
42mmのステンレススチールケースは、伝統的なシーマスター 300M と同じく、ラバーコート加工を施したセラミックス製の単方向回転ベゼルを備えています。
文字盤のアート:
文字盤にはホワイトセラミックを採用。レーザーエングレービング技術により、まるで波紋のような浮彫りの模様が施されています。これは、海のうねりを象徴するだけでなく、光の当たり方でさまざまな表情を見せてくれます。
カラーリング:
オメガのロゴやインデックス、セラミックベゼルの刻み目には、アメリカズカップのイメージカラーであるブルーがアクセントとして使用されています。また、日付窓は省かれ、視認性と美観のバランスが取れたシンメトリーなデザインになっています。
機能:セーリングに特化した回転ベゼル
この時計の最大の特徴は、通常の潜水用測速計ではなく、セーリングレース用のカウントダウンタイマーがベゼルに刻まれている点です。
レースの流れ:
ベゼルには、レース開始前の2つの5分間の準備期間(「5分」と「4分」のマーク)が刻まれています。
スタートライン:
10分の位置には、帆船の旗をモチーフにした「START」(スタート)のマークが配置されています。これは、選手がレース開始のタイミングを正確に把握するために設計された、実用性の高いツールです。
パフォーマンス:至臻天文台ムーブメント
この時計は見た目だけでなく、中身もオメガの最新技術で武装されています。
ムーブメント:
内部にはキャリバー 8806 を搭載。これは、スイス連邦計量研究所(METAS)による至臻天文台(Master Chronometer)認定を取得したムーブメントです。
耐磁性能:
約15,000ガウスもの強力な磁場に耐えることができ、実際のセーリングシーンや現代の生活環境における磁気干渉から機械式時計を守ります。
パワーリザーブ:
振動数は25,200振動/時間(3.5Hz)で、約55時間の動力貯蔵を備えています。
🔭 裏蓋:アメリカズカップの象徴
裏蓋には、スクリューバック方式を採用し、中央にはサファイアクリスタルガラスを配しています。
エッチング:
ガラスには、アメリカズカップの象徴である「オールド・マグ(Auld Mug)」(銀の水差し)のエンブレムと、開催地であるバルセロナを示す「B」の文字がエッチングされています。
NAIADロックシステム:
オメガ独自の「NAIADロック」技術により、裏蓋を締める際にエンブレムの位置がずれないよう精密に調整されています。
独創的な針デザイン
文字盤上の針にも、こだわり抜かれたデザインが施されています。
分針:
太く空洞のあいた分針は、ブルーからレッドへのグラデーションを帯びており、アメリカズカップのトリカラー(白・赤・青)を表現しています。
秒針:
秒針の先端には、控えめにアメリカズカップのトロフィー(帆船)のモチーフが彫刻されています。
夜光性能:
時針、分針、インデックスには、白色のSuper-LumiNovaがたっぷりと充填されています。特に分針は太いため、暗所でも視認性が高く、セーリング時の安全性を高めています。