シンプルな伝統とブランドが誇る最先端の時計製造技術の違いを見事に表現したモデルたちだ。

JLCは以前にもレベルソ・クロノグラフをつくったことがある。1991年のレベルソ誕生60周年を機にJLCはレベルソに初めて複雑機構を搭載するようになった。最初は日付とパワーリザーブから始まり、トゥールビヨン、ミニッツリピーターと続いていく。そして1996年には新型のCal.829を搭載したレベルソ・クロノグラフを発表した。ブランド初のシェイプドクロノグラフムーブメントであると同時に、クォーツショック以降に初めて開発された手巻きの一体型クロノグラフでもある(当時のギュンター・ブリュームラインはJLC、ヴァシュロン、IWCが属するLMHグループを率いており、1999年にダトグラフで一体型キャリバーを発表したランゲの復活にも貢献した)。初代のレベルソ・クロノグラフは限定生産品であり、JLCは短命に終わった後続モデルのレベルソ・グランスポーツと、そのアップデート版であるCal.859も2000年代初頭まで生産した。

ジャガー・ルクルトスーパーコピー時計代引き レベルソ・トリビュート・クロノグラフ
新しいレベルソ・トリビュート・クロノグラフのサイズはラグからラグまでが49.4mm、幅が30mm、厚みが11mmとなっている。私はSSのバージョンとともにほとんどの時間を過ごしたが、驚くほどクールでスポーティな着こなしができた(レベルソはポロ選手の時計に端を発しているから当然といえば当然だ)。SS製クロノグラフの表面は洗練されたブルーグレーに似たダイヤルとなっており、JLCによると酸化チタンを薄く蒸着させるADLプロセス(原子層堆積法、数ナノメートルの超薄膜を平坦な面に正確に成型する)で実現したサンバースト仕上げを施したとのことだ。クロノグラフのプッシャーは細長いレクタンギュラー形で、時計の感触を邪魔することはない。もしこの時計を時間表示のみのモデルとして身につけるのであれば誰にも気づかれることはないだろう。シャープなドフィーヌ針が2本配置されているだけで、それ以上でもそれ以下でもない。

RGのほうのクロノグラフは、ピュアブラックのダイヤルがケースをさらに引き立てている印象で、SS製よりもドレスアップしている感じだ。刻まれた“Jaeger-LeCoultre”のサインは金箔のようなローズカラーでプリント。これも細部まで考え抜かれたディテールのひとつである。

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフの裏面
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフの反転中
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフ、裏面のアップ
もちろん、ここまでの話はまだ半分に過ぎない。ケースを反転させるとクロノグラフ側の文字盤が出現し、さらにスケルトンデザインがその新Cal.860をアピール。旧型のCal.859と構造的には酷似しているが、新ムーブメントはクロノグラフ機能とともに時刻を第2ダイヤルに表示している。中央のクロノグラフ秒針は60秒計を中心に回転し、6時位置にはレトログラード式のミニッツカウンターを配している。またムーブメントに施されたコート・ド・ジュネーブ仕上げのブリッジをスケルトン文字盤からはっきりと堪能できるのもポイントだ。SSケースの場合、クールでまとまりのあるモノトーンルックに仕上げているが、一方のRGケースでは色調のメリハリがなくなり、文字盤が少し騒がしいように感じる。

7時位置のコラムホイール(水平クラッチでもある)を見ていると充足感が得られる。目の錯覚だとは思うが、クロノグラフにかかわる機構の感覚を、より体感できるのだ。ムーブメントのブルースクリューと青焼き針もマッチしていて、デザイン全体にまとまりを持たせている。Cal.860は2万8800振動/時で振動し、約52時間のパワーリザーブを確保している。

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフ、ローズゴールドモデル
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフ、ローズゴールドモデルの反転中
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフ、ローズゴールドモデルの裏面
レベルソ・トリビュート・クロノグラフは私の頼りない手首にもよくなじんでくれて、この薄さが大きなケースの形状をカバーしていた。なんだかキットカットのバーを何本もつけているような気分だ。SS、RGのバージョンともにアルゼンチンの伝統的なポロブーツメーカーであるカーサ・ファリアーノ社(チャールズ王が身に着けるようなブランド)製の、キャンバスとレザーのコンビネーションとオールレザーの2本のストラップで提供。JLCは今回、SSとゴールドの両方にキャンバスレザーのストラップをセットして発表している。SSクロノグラフでは効果的だったし、このような形で身につけたいと思ったのだが、RGのほうはドレスアップした時計をドレスダウンさせようとするあまり、スーツに白いスニーカーを履くオヤジのように少し頑張りすぎているように感じた。

ここまで読んでいただけたらおわかりかと思うが、見た目だけでなく価格も含めて、私はSS製のほうがずっと気に入った。SS製のレベルソ・トリビュート・クロノグラフは321万2000円、RGモデルは563万2000円(ともに税込)となっている。高値ではあるが、高級な自社製クロノグラフの水準からは大きく外れてはいないため比較対象が思い浮かばない。またブティックのみの展開となり、発売当初から入手が困難なようだ。私にとってSS製クロノグラフとは真のスポーツウォッチ(ダイバーズやフィールドウォッチ、ジェンタデザインの時計)とオールドスクールなドレスウォッチの境界線を完璧に超えており、両者のあいだに位置するドレススポーツウォッチというジャンルを定義、または再定義している(新しいショパールのL.U.C 1860などもこれにあたる)。

ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート・クロノグラフのリストショット
私はレベルソ・トリビュート・クロノグラフを、Watches & Wondersで真に驚かされたものと呼んでいる。レベルソ・クロノグラフ自体が驚きなのではなく(以前にも存在していたから)、JLCとレベルソが持つ両面のよさ、つまりシンプルで時間表示だけの歴史と、JLCを真の時計メーカーとして際立たせる超複雑な時計製造(ジャイロトゥールビヨンやクアドリプティック)のバランスがとれていて、それがうまく表現されているからだ。レベルソ・トリビュート・クロノグラフは、JLCが誇る時計製造のすべてを美しくも身につけられるパッケージへ凝縮している(もしくは、あったとしても人に気付かれないくらい目立たないものにしている)。クラシックなドレスウォッチをモダンにアレンジしたモデルでありながら、もう一方で素晴らしい新型クロノグラフキャリバーを披露しているのだ。

JLCの両面を見せる、それこそがレベルソを完璧に使いこなすことなのだという風に。

ブライトリング アビエーター クロノグラフのまったく新しいコレクション、クラシック アヴィ クロノグラフ 42の新作が発表。

2021年に発売された兄弟分であるスーパー アヴィ 46mmと同様、これらの新しいリリースも4機の伝説的な航空機に敬意を表している。デザインを気に入っていながらもやや小振りな時計を好む人のために、より一般的に着用できるサイズが提供されたのだ。

新作はそれぞれの航空機にちなんで、数種類のカラーバリエーションを用意している。F4U コルセアはブルーダイヤルとスティールベゼルモデル、P-51 マスタングはブラックダイヤルにSSベゼル、ブラックダイヤルにローズゴールドケースの2種類、カーチス ウォーホークはグリーンダイヤルにSSベゼル、そしてデ・ハビランド社のモスキートはブラックダイヤルにホワイトのカウンター、ポリッシュとサテン仕上げのブラックセラミックベゼルを組み合わせている。いずれもラチェット式の双方向回転ベゼルを備え、フォールディングバックル付きのカーフスキンレザーストラップ(ラグ幅は22mm)、またはバタフライクラスプ付きのSS製5連ブレスレットが付属する。

新作はすべて約48時間のパワーリザーブを持つ、自動巻きのブライトリング Cal.23を搭載。4分の1秒クロノグラフ、30分積算計、12時間積算計を有している。これらのムーブメントはSS(または18KRG)のケースに納められており、サイズは直径が42mm、厚みが14.7mm、ラグからラグまでの長さは48mmとなっている。また100mの防水性、ソリッドな裏蓋、そして各モデルとリンクした航空機のエングレービングを施している。
スーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイター。

これらの商品(42mm)に心打たれなかった人のために、ブライトリングはスーパー アヴィとコ・パイロットシリーズ(編集注記:新作のモデル名は初代と同じREF.765 アヴィとなっている)のふたつの新しい時計も登場している。まずひとつ目はブラックセラミック製のスーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイターで、46mm×15.9mmという存在感を放つ大きさに。COSC認定のブライトリング マニュファクチュール Cal.B04を搭載し、約70時間のパワーリザーブ、コラムホイール/垂直クラッチ式クロノグラフ、時・分・秒、デイト、そして第2タイムゾーンを備えている。またチタンとサファイアでできたシースルーバックを採用している。

最後のニューモデルは、シンプルでクラシックな41mmの逆パンダクロノグラフ、アヴィ REF.765 1964 リ・エディションだ。アモルファスダイヤモンドライクカーボン(ADLC)コーティングされたSSベゼルを備えている。この時計は手巻きのコラムホイール、垂直クラッチのブライトリング・マニュファクチュール Cal.B09を搭載し、約70時間のパワーリザーブを実現し、より現代的で信頼性の高いムーブメントでありながら、ヴィンテージスタイルの1本を手に入れることができる。なお裏蓋はスナップ式のSS製ソリッドケースバックを採用し、防水性は30mだ。

価格はクラシック アヴィモデルが66万円から、F4U コルセアモデル(SSブレス)が69万8500円、スーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイターが151万2500円で、そしてアヴィ REF.765 1964 リ・エディションが164本の限定生産で105万500円(すべて税込)となっている。

ああ、これらの新作には解き明かすべきことがたくさんある。まずは新しいものから始めたからそれについて取り掛かろう。

背の高い私は友人から 、大きな時計をつけた方がいいとよく言われるのだが、ブライトリングのスーパー アヴィ クロノグラフは、私の個人的な好み(それと7.25インチ/約18.4cmの手首)的に大きすぎるといつも思っていた。そんななかこの新しいクラシック アヴィ クロノグラフ 42は、頑丈なツールのアビエータークロノグラフのような伝統的なサイジングには合わないかもしれないが、しかしすべてがクラシカルな完全再現であることはなく、現代の市場や好みに合わせる必要があるのだ。また業界ではしばらくのあいだ、腕時計のサイズを大きくしてきた経緯があったが、このつけ心地のいい選択肢が増えたことは単純にうれしいことだ。

私は普段ブレスレット派だが、クラシックなスタイルの時計においては、上の写真のウォーホークやモスキートのようなストラップに引かれる可能性が高い。どれも美観的には素晴らしいパッケージのように思える。つけたときの感触が楽しみだ。小振りなクラシック アヴィモデルがおよそ70万円というのは、(ユーザーが)ブライトリングに期待しているとおりの価格だと思うし、しかもこのサイジングによってより多くの人の手首に合うようになるだろう。

最後の2モデルについては、ブライトリングが表と裏の正面2枚ずつしか写真を提供していないため判断を下すのが難しい。今はブラックセラミック(またはどんなセラミックでも)が大流行しているようだし、新しいスーパー アヴィの需要は間違いなくあると思う。個人的にはあの時代のパイロットクロノグラフが大好きだから、アヴィ REF.765 1964 リ・エディションのほうに興味がある。ただ164本だけしか製造されないため、きっと私が実機を目にする前に売り切れてしまうのだろう。

基本情報
ブランド: ブライトリング(Breitling)
モデル名: クラシック アヴィ クロノグラフ 42/P-51 マスタング/トリビュート トゥ ヴォート F4U コルセア/カーチス ウォーホーク/モスキート(Classic Avi Chronograph 42/P-51 Mustang/Tribute To Vought F4U Corsair/Curtiss Warhawk/Mosquito)、スーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイター(Super Avi B04 Chronograph GMT 46 Mosquito Night Fighter)、アヴィ REF.765 1964 リ・エディション(Avi REF. 765 1964 Re-Edition)
型番: P-51 マスタング…A233803A1B1A1、A233803A1B1X1、R233801A1B1R1、R233801A1B1X1、トリビュート トゥ ヴォート F4U コルセア…A233801A1C1A1、A233801A1C1X1、カーチス ウォーホーク…A233801A1C1A1、A233801A1C1X1、モスキート…Y233801A1B1A1、Y233801A1B1X1、スーパー アヴィ…SB04451A1B1X1、アヴィ REF.765 1964…AB09451A1B1X1

直径: 42mm(クラシック アヴィ)、46mm(スーパー アヴィ)、41mm(アヴィ REF.765 1964)。
厚さ: 14.7mm(クラシック アヴィ)、15.9mm(スーパー アヴィ)、14.05mm(アヴィ REF.765 1964)。
ケース素材: ステンレススティールまたはローズゴールド(クラシック アヴィ)、セラミック(スーパー アヴィ)、ステンレススティール(アヴィ REF.765 1964)
文字盤: ブルー、ブラック、逆パンダ、グリーン(クラシック アヴィ)、ブラック、コントラストカラーのアンスラサイトのクロノグラフカウンター(スーパー アヴィ)、逆パンダ(アヴィ REF.765 1964)。
インデックス: アラビア数字またはバーインデックス
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 100m(クラシック アヴィとスーパー アヴィ)30m(アヴィ REF.765 1964)
ストラップ/ブレスレット: レザーストラップまたはブレスレットオプション(クラシック アヴィ)、ラグ幅24mmのブラックミリタリーカーフスキンレザーストラップにチタン製フォールディングクラスプ(スーパー アヴィ)、ブラックのヴィンテージ風レザーストラップにピンバックル(アヴィ REF.765 1964)

The Classic AVI P-51 Mustang
ムーブメント情報
キャリバー: ブライトリング 23(クラシック アヴィ)、ブライトリング マニュファクチュール B04(スーパー アヴィ)、ブライトリング マニュファクチュール B09(アヴィ REF.765 1964)
機能: クラシック アヴィ…時・分・秒、振動ピニオン、4分の1秒クロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、スーパー アヴィ…時・分・秒、日付、セカンドタイムゾーン、コラムホイール、垂直クラッチ、4分の1秒クロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、アヴィ REF.765 1964…時・分・秒、コラムホイール、垂直クラッチ、4分の1秒クロノグラフ(15分積算計、12時間積算計)
直径: 30mm(すべて)
厚み: 7.9mm(クラシック アヴィ)、8.33mm(スーパー アヴィ)、6.73mm(アヴィ REF.765 1964)
パワーリザーブ: 約48時間(クラシック アヴィ)、約70時間(スーパー アヴィとアヴィ REF.765 1964)
巻き上げ方式: 片方向巻き上げ式の自動巻き(クラシック アヴィ)、ボールベアリングによる両方向回転式自動巻き(スーパー アヴィ)、手巻き(アヴィ REF.765 1964)
振動数: 2万8800振動/時(すべて)
クロノメーター: あり、COSC認定済み(すべて)

価格 & 発売時期
価格: クラシック アヴィ クロノグラフ 42…P-51マスタングはSSモデルが66万円(レザーストラップ)と69万8500円(SSブレス)、RGモデルが249万1500円(レザーストラップ)と486万2000円(RGブレス)/トリビュート トゥ ヴォート F4U コルセアは66万円(レザーストラップ)と69万8500円(SSブレス)/カーチス ウォーホークは66万円(レザーストラップ)と69万8500円(SSブレス)/モスキートは68万2000円(レザーストラップ)と71万5000円(SSブレス)、スーパー アヴィ B04 クロノグラフ GMT 46 モスキート ナイトファイターは151万2500円、アヴィ REF.765 1964 リ・エディションは105万500円(すべて税込)
発売時期: 発売中
限定: アヴィ REF.765 1964のみ164本限定

セイコー プロスペックス 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン GMT SBEJ009が登場。

旅行にも便利な機能性を備えた、どこでも使えるダイバーズウォッチの決定版が登場。

コーラー式/フライヤー式GMTからデュアルタイムまで、ここ数年トラベルウォッチの人気がにわかに高まっている。チューダー ブラックベイGMTが2018年に発表されたのを機に、トラベルウォッチファンは中堅層で数多くの新作が投入されるのを目の当たりにしてきた。新型ムーブメントが新たな時計を生み出し、この分野での競争が激化したことで、サイズ、機能性、用途において信じられないほどの多様性を提供する買い手市場に変貌を遂げた。2023年初め、セイコーはプロスペックスから派生した高級機械式ダイバーズGMTの3モデルを発表したが、そのなかには緑色をしたSBEJ009(海外版はSPB381)も含まれている。

正式名称をセイコー プロスペックス 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン GMTとするSBEJ009は、ブラックダイヤルのSBEJ011(海外版はSPB383)、ライトブルーダイヤルの限定モデルSBEJ013(海外版はSPB385)とともに、セイコーダイバーズにおいて長きにわたり愛され続ける歴史からインスピレーションを得ている。マリーンマスターのルックス、角張ったラグ、潜水経過時間計測ベゼルなど、遠くから見れば、これは日本発のハンサムなダイバーズウォッチに過ぎないと思うかもしれない。しかしセイコーはSBEJ系モデルでこの方式をさらに進化させ、第2タイムゾーンを容易に把握できる24時間針を備えた新型ムーブメントを搭載したのだ。

SBEJ009のサイズは、直径42mm、厚さ13.3mm、ラグからラグまでの全長が48.6mmで、スティール製ブレスレットが付属する。ケース、ブレスレットともにセイコーのダイヤシールド加工が施され、無反射サファイアクリスタル、SS製クローズドケースバック、貫通ラグ、200m防水、そしてセイコーのダイバーズウォッチとしては珍しいセラミック製ベゼルインサートを備えている。

グリーンベゼルとグリーンダイヤルという配色にゴールドのアクセントを効かせたSBEJ009のダイヤルは、サンバースト仕上げのメタリックグリーンを採用。対照的にセラミック製ベゼルインサートは、ブラウンイエローの混ざったようなグリーンが特徴だ。明るい場所では、この2種類のグリーンは簡単に見分けがつくが、暗い場所ではダークグリーン(あるいはブラック)に近くなる。

白銀色のアプライドマーカーと同色の針、ゴールドのアクセントがこの時計のGMT機能を際立たせ、ダイヤルのGMT表記と24時間針はイエローゴールド仕上げとなっている。24時間針は、ダイヤルを囲む見返し(リハート:立体的なインナーリング)に固定された24時間目盛りを指す。最後に、4時30分位置に黒地に白文字のデイト表示を配した。この配置や色合わせされていない日付ディスクは個人的に好みではないが、かなり落ちついていて読みやすい。

SBEJ009 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン GMT

個人的にグリーンダイヤルの時計はあまり好きではないという偏見もありつつ、ダイヤル、ベゼル、日付ディスクのカラーリングをよりモノトーンに近づけるため、僕なら間違いなくブラックダイヤルのSBEJ011を選ぶだろう。つまらない奴という批判は甘んじて受けよう。セイコーのダイバーズウォッチはブラックダイヤルが大好きなのだ。そうだ、僕たちのHODINKEE Shopでは全色取り揃えているので、自由に選んで欲しい。

SBEJ009の内部には、セイコーの新型ムーブメント 6R54が搭載される。このムーブメントは2万1600振動/時の自動巻きで、ハック(秒針停止)機能と手巻きの両方を備え、約72時間という驚異的なパワーリザーブを誇る。プロスペックスのダイバーズウォッチに搭載された初の機械式GMTムーブメントで、トラベル機能には独立設定可能な24時間針が採用されているため、SBEJ009(およびその兄弟機)はコーラーGMTの呼称となった。

このため、SBEJ009は自宅から別のタイムゾーンを追跡するのには非常に便利だが、実際に旅行して新しい現地のタイムゾーンに時刻を合わせることを考えると、あまり便利ではない。コーラー対フライヤーの論争に興じるのもよいが、僕は両方の時計を所有して愛用しているし、コーラー式のGMT機能が理想的なオプションといえる好例もたくさんある。6R54の場合、24時間針はリューズを一段引き出した位置で調整する。一方向に回転させると日付ディスクが進み、もう一方に逆回転させるとGMT針が進む。

SBEJ009は実際のGMTウォッチ(24時間ベゼルを備えた時計)のような時刻調整はできないが、簡単に第2タイムゾーンを追跡することができる。ダイバーズウォッチと第2タイムゾーン機能の組み合わせは、日常的なスポーツウォッチとして僕が間違いなく好きなレイアウトのひとつだ。僕はブレモン S302のダイバーズGMTフォーマットを気に入って購入したので、このようなハンサムでかなり手ごろなセイコーを愛するのは当然のことである。

セイコーのムーブメントの精度を不安に思う読者のため、6R54は日差-15秒から+25秒だと注記しておこう。試しにセイコーから貸与されたこのムーブメントをWeishi1900(タイムグラファー)にセットし、6姿勢で計測したところ、平均日差は+3.5秒/日だった。これは特定の個体のデータに過ぎないが、僕は感動した。

操作感に関して、リューズは素晴らしく操作は堅牢に感じられ、しっかりとしたねじ込みが特徴だ。ベゼルは軽く、ほぼ無音でスムーズな120回クリックの動作は緩みがないが、もっと重い(またはもっと手応えのある)クリック感のほうが恩恵はあるかもしれない。

SBEJ009 1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン GMT

ブレスレットは全面サテン仕上げのスティール製で、しっかりとしたエンドリンクとフォールディング式のセーフティクラスプを備えている。クラスプは4段階の微調整機能を備え、折りたたみ式のウェットスーツ用エクステンション機構も備えている。結局のところ、セイコーのブレスレットは全体的によくできており、装着感に優れるが、リンクはプッシュピン式で留められているため、片ネジを採用した場合よりもサイズ調整がやや複雑になる点には注意したい。

着用感
数日間着用した結果、ケースとブレスレットの組み合わせは絶妙であり、セイコーはプロスペックスのプレミアムな視点を取り入れ、実に堅実なダイバーズGMTを作り上げたと思う。重さは165g(僕の手首のサイズに調整後)で、ポリッシュ仕上げのミドルケース、アプライドマーカー、光沢のあるセラミックベゼルなど、よりラグジュアリーな外観とマッチして、重厚な存在感を放っている。

夜光のおかげで視認性に優れている。SBEJ009はカーブしたラグ形状が手首にケースを固定し、ベゼルが時計の最も広いエッジ(3時から9時まで)を形成しているため、僕の手首には大きすぎたり厚すぎたりすることはなかった。SBEJ009は、SKX007の軌跡をよりソリッドに表現しているといえるだろう。つまり小さい時計ではないが、オーバーサイズでもないということだ。

最初にSBEJ009をボックスから取り出したとき、僕はこの時計がGMTを搭載した高級版SKX(多くの人が求めていたものが、昨年のSSK GMTマスターの登場によって、そのほとんどが叶えられた)のようなものなのか、あるいはセイコーのフラッグシップダイバーズをお手ごろなプロスペックスで再現したものなのか確信が持てなかった。数週間試した結果、高級感があり、より高価なセイコー(あるいはグランドセイコー)のダイバーズから多くの要素を借りた、後者の立ち位置にしっかりと着地したと考えている。

もし僕と同じく、グランドセイコーのダイバーズウォッチは大きすぎると嘆いているなら、SBEJ009(とその兄弟モデル)は美学とプロポーションの組み合わせだけでも一見の価値がある。いや、SBEJ009はGSを装っているわけではないが、SKXのようなもの、あるいはSBDC101のような工業的な仕上げのものから大きくステップアップしている。

競合モデル
これまでSKXをずっと愛用していて、セイコーの雰囲気はそのままに、あらゆるカテゴリーでより優れたものを求めるのであれば、SBEJ系GMTの3本の新しい選択肢はアリだ。

しかし、もうひとつ触れていない要素がある。冒頭で中堅メーカー間のGMT競争は過熱している(そしてますます勢いづいている)と述べた。それは多くの買い手が、価格の敏感性やニッチな要求に対して余裕を持っていることを意味している。セイコーはSBEJ009とSBEJ011(それぞれグリーンとブラック)を20万9000円(税込)で提供しているが、僕は、特にコーラー式のGMT機能を考えると、高価すぎると主張するフィードバックを見たことがある(そして個人的にそういった連絡を受けている)。

過去5年間で、フライヤー、コーラー、その他を問わず、トラベル機能付き機械式時計に関して僕たちが身銭を切って何が得られるかについて、進歩的な再考が見られたので、これは競合他社をより詳細に検査する必要があると僕は信じている。

1968 メカニカルダイバーズ 現代デザイン GMT

では、このセイコーのダイバーズGMTが20万9000円(税込)ということで、14万から28万円(1000ドルから2000ドル)の価格帯の同種の競合モデルとの比較を見てみよう。200m防水で、できればダイバーズGMTレイアウトのフライヤーまたはコーラーGMTを考えてみることにする。

順不同だが、200m防水の人気GMT(わかりやすくするためにGMTダイバーズ)をいくつか挙げてみた。そうでなければ、非常に短いリストになってしまう。また、リストの作成を手伝ってくれた最高のSlackクルーにこの場を借りて特別なエールを送りたい。

リスタートから2年が経ってからの完全新作。

880 メカニカルは、国産のファースト“フライヤー”GMTとして価値のあるモデルだ(少なくとも僕にとっては)。

イベントで、GMTウォッチを検討しているという男性と話をした。すでにダイバーズ、クロノグラフ、パイロットとほかのカテゴリでは意中の時計に出合っているものの、GMTウォッチにおいてはそもそもまだ手にしたことがなく、ファーストGMTとして何を選ぶか迷っているのだという。僕自身も(旅行需要の回復を見越してか)各ブランドからリリースが続いているなかで関心が高まっていたところだったので、このテーマでしばし盛り上がった。GMTウォッチを特に機械式時計で探す場合、その入り口のハードルはまだまだ高いように感じている。クロノグラフやダイバーズなどほかのカテゴリと比べてそもそもの選択肢が少ないうえに、トゥルーGMT……、

GMT針だけ独立して調整可能なタイプのGMTウォッチ。詳しくはこちらから)を求めるなら予算に多少の余裕も必要になる。だからこそみんな、出来のいいフライヤーGMTウォッチが30万円以下で発表されると聞けば我先にと飛びつくし、同じプライスレンジにあるモデルと積極的に比較をしたがるのだ。

ゆえに、2021年に再始動してからまもなく2年が経とうとしているシチズンのシリーズエイト(Series 8)から、フライヤーGMTがリリースされると聞いたときは胸が躍った。過去のモデルを見ている限り30万円以下で提供される可能性は高かったし、何より870メカニカルなどでも見られた工業プロダクト的なある種そっけないデザインは僕の大好物だ。おそらく「880メカニカル」は僕のファーストGMTウォッチになるぞと期待をしながら、対面の日を指折り数えていた。

ブラック文字盤に黒×青のツートンベゼルを備えたRef.NB6031-56E。

すでにジェームズによるIntroducingもあるが、簡単に紹介しておく。880 メカニカルはシリーズエイト(Series 8)再始動から実に2年越しの完全新作だ。ブラック文字盤とブルー文字盤の通常モデル2型(ともに税込22万円)と、ゴールドカラーの限定モデル(税込24万2000円)の計3型でこの秋に展開される。いずれもモダン&スポーティな機械式時計ブランドを標榜するシリーズエイトのコンセプトにのっとり、エッジの立った金属感の強いSSケース&ブレスを備え、シチズンによる自動巻きムーブメント9054を搭載している。ケース径は41mmで、厚さは13.5mm。870 メカニカル(10.9mm)や831 メカニカル(10.1mm)と比較すると若干厚みが出ているものの、GMT機構や両方向回転ベゼルが追加されていることを考えれば許容できる範囲だ。

さて、具体的な掘り下げを行う前に告白しておきたい。880メカニカルの実物を初めて目にしたとき、実は素直に飲み込むことができなかった。というのも、880 メカニカルはこれまでのシリーズエイトの文脈から少し外れたところにあるように見えたのだ。僕はシリーズエイトのGMTモデルと聞いて、フラットな文字盤にワントーンのメタルベゼルを備えた(それこそエクスプローラー IIのような)ソリッドなモデルを想像していたし、それに近しいものが提供されると勝手に思い込んでいた。だが、今回の880 メカニカルがシリーズエイトのGMTウォッチとしてどこを目指したモデルなのか、一度冷静になって思案を巡らせていると自分なりの答えが少しずつ見えてきた。結論から言うと、これはまさにシリーズエイト、ひいてはシチズンらしさを詰め込んだ、国産機械式フライヤーGMTのエントリーモデルだ。

SS素材にゴールドIPを使用した世界1300本限定モデル。

GMTウォッチ入門者を狙い撃ったデザイン
880メカニカルは特に通常モデルに関して、ベゼルに実に潔い配色がなされている。いわゆる“ペプシ”であり、“バットマン”だ(限定モデルのゴールドを“ルートビア”とする声もある)。思わずニンマリとした人も多いことだろう。僕は改めて880 メカニカルと向き合ったとき、これは実にシチズンらしい手法だと思った。

そもそもシリーズエイトのリブランディングにあたり、シチズンが掲げたキーワードは“モダン・スポーティ”だった。企画当時に興っていたファッションのカジュアル化、スポーツウォッチ需要の高まりを受けて導き出されたもので、830・831・870メカニカルに共通するブレスレット一体型の構造やエッジを立てたケース形状に色濃く現れている。これは2020年ごろに引き続きトレンドの中心であったラグジュアリースポーツ的な時計作りをわかりやすく(2体構造のベゼル、白蝶貝ダイヤルなどの味付けがあったとしても)表現しており、8年の時を経てのシリーズエイト再始動にあたって、時計愛好家と機械式時計入門者の別を問わず人々の耳目を集めるのに十分な役割を果たしていたと思う。

そう考えると、2年ぶりの完全新作であり、GMTウォッチトレンドのさなかに発表される880 メカニカルがそのエントリーモデルとなるにあたり、この配色をとったことにも納得がいく。これはGMTウォッチのアイコンとして万人がひと目で理解できるデザインだ。今後、異なるベゼルのバリエーションが登場する可能性があったとしても、初手としては間違いない選択だろう。

ベゼルのカラーリング以外にも、880 メカニカルに込めた意図が読み取れるディテールがある。例えば、シースルーバックの採用だ。これは、よっぽど緻密なあしらいを施したムーブメントを搭載した場合か、もしくは何かしらのカテゴリでエントリーモデルとしてリリースされるときに多く見られる、機械式時計に対する所有欲をわかりやすく刺激する手法である。過去のシリーズエイトでは、時計本体の厚みやそこから派生するつけ心地を考慮してソリッドバックが装備されていた。今作はムーブメントとして新開発のCal.9054を搭載してはいるが、美観のうえでの大きなアップデートは見られない。それにもかかわらず今作でシースルーバックを採用した点には、機械式時計入門者にも改めてアピールしたいという意図が感じられる。ソリッドバックを採用することで、この価格帯でのライバル、ミドー オーシャンスター GMTの厚さ13.3〜13.4mmに肉薄することができたかもしれない(880メカニカルは13.5mm)。しかし事実、機械式時計入門者ではないものの、GMT初心者の僕は少なからずワクワクした。

また、ブレスレットにも注目したい。880 メカニカルのブレスは、テーパーが入ったことで既存のシリーズエイトのそれとは性格が異なるものとなった。ぱっと見では小さな変化だが、これによりさりげないドレス感が生まれている。ひとコマひとコマに施された丁寧な研磨が醸し出す高級感も手伝い、同機を大人の仕事着にもマッチする1本に引き上げている。

880 メカニカルでは、限定モデル以外のシリーズエイトでは初めてシースルーバックが採用された。

なお、やはり880 メカニカルがシリーズエイトの流れにあるのだと強く実感するポイントもあった。それが、2体構造なども利用した繊細かつ立体的な磨き分けだ。例えば870 メカニカルでも、ベゼルを2体構造としてそれぞれに異なる処理を行うことで、正面の顔に奥行きが出るように配慮されていた。下の写真を見てもらえばわかるが、880 メカニカルにもその効果は如実に現れている。880 メカニカルではケースそのものを2体構造とし、ヘアラインの“キメ”や向きを変え、エッジにポリッシュを施すことで、サイドにも立体的で見応えのある美観を獲得した。個人的には、リューズに目立つロゴや刻印を刻まなかったことも賞賛したい。このビューの主役はあくまで緻密な磨き分けにある。

そして、シリーズエイトらしい工業製品感を強調するブレスのエッジの立て方、粗くかけられたヘアラインも同様だ。880 メカニカルがちゃんとシリーズエイトの文脈にあると再認識させてくれる。

ピッチが異なるヘアラインの繊細な使い分けは、2体構造のなせるワザだ。

あえて今項を最後に持ってきた。880 メカニカルにおいてもっとも象徴的なディテールである、ダイヤルのあしらいについてだ。ブランドいわく、日本的な紋様である市松模様に東京の夜景、立ち並ぶビル群を掛け合わせた柄だという。なるほど、確かに中心から左右対称にランダムな凹凸が広がっている。シチズンが施した都市型チェッカーは、強化ガラスをインサートしたベゼルの存在を考慮したものだろう。ベゼルが鮮やかに光を反射する分、ダイヤルは場所に応じてやや控えめに主張をする。このバランスを狙ってどれだけの調整を行なったかはわからないが、実際に手に取ってみて、素直に素晴らしいと思った。

これはいわばシチズンがシリーズエイトで表現しようとしているモダンさの一環であり、エントリーフライヤーGMTというだけではない存在に880 メカニカルを位置づけようとする“らしさ”だ。東京発、世界基準のフライヤーGMT。そのポジションを狙い撃たんとする、シチズン シリーズエイトの意図が感じられるように思う。

光の当たり方により、この新しい市松模様は、ベゼルのきらめきと調和する独特の陰影を見せる。

繰り返すが、880 メカニカルはシリーズエイトの完全新作である。リスタートから2年の沈黙を経て(そのあいだに周年モデルとしてカラーバリエーションがあったとしても)、ブランドとして次のステップに向かおうという気持ちが込められている。その答えがトレンドとなりつつあるGMTウォッチの入り口としての提案であり、現代人に必須となるディテールの結集だ。そのスペックに対しては(第2種の耐磁性能や防水性能を含め)信頼しているし、価格に対しても文句はない。あとは、そのなかに垣間見える個性を含めて気に入ったならば完璧だ。僕はひと足先に人生初のフライヤーGMTのポジションを880 メカニカルに託そうと思う。たとえこの先、僕が当初想定していたようなワントーンベゼルでフラットな文字盤のGMTウォッチがシリーズエイトから出たとしても、こんなにブランドの意図がありありと表現されたフライヤーGMTにはならないだろうから。

ティソはパワーマティック80ムーブメント(ETA2824-2の改良機だ)を搭載した初の35mm径PRXをリリースした。

ティソ PRX パワーマティック80にゴールドPVDケースとアイスブルーダイヤルの35mmモデルを追加。
約2カ月前、ティソはパワーマティック80ムーブメント(ETA2824-2の改良機だ)を搭載した初の35mm径PRXをリリースした。そして今回、ティソはふたつの新モデルを発表することで、ミドルサイズの自動巻きPRXコレクションを拡充した。ひとつはアイスブルーの文字盤で、もうひとつはゴールドPVD加工のケースとブレスレットを備えている。既存の40mm径モデルを知っている人にとって、これらのモデルは驚くべきものではないだろう(特にアイスブルーはすでに好評を博している)。しかし少し小さめのスポーツウォッチを好む人や、大型のPRXが手に馴染まない人にとってはうれしい追加オプションだ。

tissot prx powermatic 80 35mm
ティソが6月に35mmサイズのPRX パワーマティック 80を発表したとき、ダイヤルカラーはブルー、ブラック、グリーン、ホワイトのMOP(マザーオブパール)の4色だった。そして今回、ミドルサイズのPRXにファンの多いアイスブルーが加わった。ティソが40mm径のラインナップにアイスブルーの文字盤を追加してから数カ月が経過した今、ミドルサイズコレクションにも追加されたのは自然な流れである。それ以外は従来と変わらず、型押しのタピスリーダイヤルにスーパールミノバの針とインデックス、そして3時位置にはデイト窓が配されている。内部にはもちろん、ティソ独自の改良を加え、低振動でより長いパワーリザーブを実現したETA製ムーブメント、パワーマティック80が搭載されている

アイスブルーのPRX 35mmに加え、ティソはタピスリーダイヤルにもゴールドを組み合わせたゴールドPVD加工モデルも用意した。コーティングなしのSS製バージョンと同様、このゴールドPVDバージョンもケースとブレスレットの大部分がサテン仕上げとなっており、面取り部と細かい箇所にはポリッシュ仕上げが施されている。

PRX パワーマティックの35mmコレクションに加わったアイスブルーモデルは10万3400円(税込)、ゴールドバージョンは11万8800円(税込)である。

我々の考え
tissot prx powermatic 80 gold case
私はティソ PRXの35mm径モデルに大きな期待を寄せている。オリジナルの40mm径は私の手首には少し大きく、ラグからラグまでの寸法は実質的に一体型ブレスレットの動かない最初のリンクまでとなっており、約51mm(公式では39.5mmと記載されている)である。私はこの新しいミドルサイズをまだ試していないが、直径35mmでラグからラグまでの長さが45mmというのは魅力的だ。心配なのは厚みで、PRXの40mmに比べて厚くなってしまっている(前者は10.9mm、後者は11.3mm)。このためにケースのバランスが悪くなっている可能性もあるが、実際のところは詳細なHands-Onレビューを楽しみにしていて欲しい。いずれにせよ、1000ドルを大きく割り込むファンウォッチで0.4mm程度の差に文句を言うつもりはない。

この夏、シカゴを歩いていると、ティソのPRXをよく目にした(そして少なくとも、数人の時計関係ではない友人にもすすめた)。PRXの美点は、マニアにもノーマル層にも支持されやすいことだ。一体型のSS製スポーツウォッチは、いまだにこの界隈で特に人気のあるデザインだ。そしてPRXはおそらく70年代にインスパイアされた正統派のスポーツウォッチを手に入れるためのもっとも安価な方法であり、とても素晴らしいものなのだ。

ice blue prx powermatic 80 35mm
特にゴールドのバージョンは両親のいるシニアタウンで見かけるような雰囲気で、いかにもイカした祖父母を思わせる。その一方、アイスブルーの文字盤も35mmのSS製PRXの従来の選択肢を補う素晴らしい提案だ。これによりラインナップに(ホワイトのMOPと並ぶ)、明るい色のオプションがもう一色加わったことになる。多くの手首にフィットするミドルサイズのスポーツウォッチとしては、歓迎すべき追加要素だろう。

基本情報
ブランド: ティソ(Tissot)
モデル名: ティソ PRX
型番: T137.207.11.351.00(アイスブルー)、T137.207.33.021.00(ゴールドPVD)

直径: 35mm (公式の数値ではラグからラグまでが35mm、最初のブレスレットリンクまでの長さは45mm)
厚さ: 11.3mm
ケース素材: ステンレススティール(アイスブルー)、ゴールドPVD加工ステンレススティール(ゴールドPVD)
文字盤色: アイスブルーまたはゴールドの型押しタピスリーパターン
インデックス: アプライド
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: トリプルフォールディングクラスプを備えたステンレススティール製(またはPVDコーティング)

tissot powermatic 80 caliber
ムーブメント情報
キャリバー: パワーマティック80(ETA2824-2の改良機)
機能: 時・分・秒、デイト
直径: 25.6mm
パワーリザーブ: 80時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 23
クロノメーター認定: なし
追加情報: ニヴァクロン製ヒゲゼンマイ

価格 & 発売時期
価格: 10万3400円(税込、アイスブルー)、11万8800円(税込、ゴールドPVD)