潜水性能とセーリングの融合:シーマスター 300M アメリカズカップ エディション

スポーツ計時分野におけるオメガの地位は、もはや説明不要でしょう。1932年のロサンゼルスオリンピック以来、その信頼性を世界に示し続けてきたオメガは、2024年に「アメリカズカップ(America’s Cup)」の公式計時として選ばれました。
このコラボレーションは、単なるスポーツタイアップではなく、1957年に誕生したプロフェッショナル・ダイバー「シーマスター 300」と、水上スポーツ全般へのオメガの長年の関わりを象徴するものです。
今回ご紹介するのは、第37回アメリカズカップ開催を記念して発表された「シーマスター 300M アメリカズカップ エディション」。潜水用の機能性を維持しつつ、セーリング競技に特化したユニークなディスクを備えた、まさに「両世界のエッセンス」を兼ね備えた1本です。
デザイン:海を連想させるカラーリングとディテール
一見すると、シーマスター 300M のクラシックなプロポーションを踏襲していますが、細部に至るまでセーリングへのオマージュが込められています。
ケースとサイズ:
42mmのステンレススチールケースは、伝統的なシーマスター 300M と同じく、ラバーコート加工を施したセラミックス製の単方向回転ベゼルを備えています。
文字盤のアート:
文字盤にはホワイトセラミックを採用。レーザーエングレービング技術により、まるで波紋のような浮彫りの模様が施されています。これは、海のうねりを象徴するだけでなく、光の当たり方でさまざまな表情を見せてくれます。
カラーリング:
オメガのロゴやインデックス、セラミックベゼルの刻み目には、アメリカズカップのイメージカラーであるブルーがアクセントとして使用されています。また、日付窓は省かれ、視認性と美観のバランスが取れたシンメトリーなデザインになっています。
機能:セーリングに特化した回転ベゼル
この時計の最大の特徴は、通常の潜水用測速計ではなく、セーリングレース用のカウントダウンタイマーがベゼルに刻まれている点です。
レースの流れ:
ベゼルには、レース開始前の2つの5分間の準備期間(「5分」と「4分」のマーク)が刻まれています。
スタートライン:
10分の位置には、帆船の旗をモチーフにした「START」(スタート)のマークが配置されています。これは、選手がレース開始のタイミングを正確に把握するために設計された、実用性の高いツールです。
パフォーマンス:至臻天文台ムーブメント
この時計は見た目だけでなく、中身もオメガの最新技術で武装されています。
ムーブメント:
内部にはキャリバー 8806 を搭載。これは、スイス連邦計量研究所(METAS)による至臻天文台(Master Chronometer)認定を取得したムーブメントです。
耐磁性能:
約15,000ガウスもの強力な磁場に耐えることができ、実際のセーリングシーンや現代の生活環境における磁気干渉から機械式時計を守ります。
パワーリザーブ:
振動数は25,200振動/時間(3.5Hz)で、約55時間の動力貯蔵を備えています。
🔭 裏蓋:アメリカズカップの象徴
裏蓋には、スクリューバック方式を採用し、中央にはサファイアクリスタルガラスを配しています。
エッチング:
ガラスには、アメリカズカップの象徴である「オールド・マグ(Auld Mug)」(銀の水差し)のエンブレムと、開催地であるバルセロナを示す「B」の文字がエッチングされています。
NAIADロックシステム:
オメガ独自の「NAIADロック」技術により、裏蓋を締める際にエンブレムの位置がずれないよう精密に調整されています。
独創的な針デザイン
文字盤上の針にも、こだわり抜かれたデザインが施されています。
分針:
太く空洞のあいた分針は、ブルーからレッドへのグラデーションを帯びており、アメリカズカップのトリカラー(白・赤・青)を表現しています。
秒針:
秒針の先端には、控えめにアメリカズカップのトロフィー(帆船)のモチーフが彫刻されています。
夜光性能:
時針、分針、インデックスには、白色のSuper-LumiNovaがたっぷりと充填されています。特に分針は太いため、暗所でも視認性が高く、セーリング時の安全性を高めています。

機芯を逆さにすることで、グラスキュッテが都市を彫り上げる

ドレスデン。これはドイツ第二の都市であるだけでなく、ヨーロッパを代表する美しき文化の都です。聖母教会(Frauenkirche)やツヴィンガー宮殿(Zwinger)に代表されるように、その数々の象徴的な建築物は「バロックの街」そして「エルベ川上のフィレンツェ」と呼ばれる所以です。
19世紀初頭、ドレスデンの芸術と科学が花開く中、数多くの時計師たちがこの街を離れ、わずか35分の距離にあるグラスキュッテの町へと向かいました。そこが、ドイツ製時計業界の輝かしき歴史の始まりでした。
この「ドレスデン」という街に敬意を表し、グラスキュッテ・オリジナル(Glashütte Original)は限定25本の「アンダージー(逆さ)」モデルを発表しました。
グラスキュッテ美学の頂点:偏心と逆さ構造
偏心シリーズは同ブランドを語る上での看板シリーズですが、そこに「機芯逆さ(Durchsehen)」構造を加えたモデルは、まさにドイツ製時計美学の頂点といえるでしょう。
このモデルは、伝統的な正装時計の対称レイアウトを打ち破り、非対称な文字盤構成を採用。そして何より大胆なのは、機芯構造を裏返し、本来裏蓋側に隠れている3/4夹板(スリーフォース)、ダブル・スワンネック(鵞頸微調)、テンプなどを文字盤側にそのまま露出させている点です。これこそが、現在の時計界で最も識別性の高いデザインの一つです。
手彫刻で綴るドレスデンの風景
本作の最大の見どころは、その文字盤と裏蓋に施された手彫刻(Hand Engraving)です。
文字盤側(表): 42mmのプラチナケースに収められた文字盤。文字盤左上に位置する3/4夹板は、まるでキャンバスのようにドレスデンの街並みに変貌を遂げています。美術アカデミーの屋根や「ファマ女神像(Fama)」、そして聖母教会の有名な「鐘型石造ドーム」などが精巧に彫り出されています。さらに、飛翔する鳥や雲、熱気球といった日常の風景も織り交ぜられ、息をのむような緻密さです。
装飾の細部: 3時から6時位置に位置するスワンネック微調装置には、バロック様式の装飾彫刻が施され、その芸術性をさらに引き立てます。
時を計るディスクは「宙」に浮かべて
この手彫刻による景観の驚異的な一体感を損なわないため、時間表示はあえて「宙」に浮かせる設計とされています。
表示方式: クラシックな小三針。時・分・秒は文字盤よりも上の層に位置するディスクで表示されます。
レイアウト: 時分盤と小秒盤が重なり合い、文字盤左上に配置。これを3本のブルースチール(青焼き)ネジが支えています。
ビッグデイト: 2時位置には、エッジに面取り装飾が施されたビッグデイト・ウインドウを配置。
裏蓋もまた「表」である
この時計の魅力は、裏蓋側にも負けていません。
裏蓋の彫刻: 裏蓋の基板もまた完全に手彫刻されており、エルベ川沿いのプロムナードや他の象徴的な街並みを描いています。
パーツの装飾: 手彫刻されたロジウムメッキフレーム、磨き上げられた鋼製パーツ、面取りエッジ、ブルースチールネジは、グラスキュッテの伝統技術の粋を尽くしています。
镂空(ロータ): 自動車(ローター)は透かし彫り加工されており、その形状は聖母教会のシンボルを模しており、文字盤正面のドレスデンを象徴するランドマークと呼応しています。
技術的裏付け:Cal.91-03
本作を支えるのは、ブランド自社製のCal.91-03型自動巻きムーブメントです。これは、定評のあるCal.91-02をベースに特注開発されたモデルです。
性能: 45時間の動力貯蔵。
振動数: 時速28,800回(4Hz)。
精度: ダブル・スワンネック微調装置により、より細かくかつ正確な時刻調整が可能となり、優れた精度を保証しています。
総括
プラチナケース、文字盤・裏蓋両面に施された手彫刻、そしてグラスキュッテを代表する「偏心」と「機芯逆さ」構造。
ここまで芸術性が高く、限定25本という希少性を持つモデルは、現在のスイス時計界や世界の製表業界の中でも、最も誠実でコスパの高いブランドと言えるでしょう。これはまさに、手の届く範囲の「芸術品」です。

ブローバが150 周年を記念して「マリンスター」日本限定モデルを発売~

ブローバ <マリンスター>、150 周年を記念し、人気の自動巻きモデルから待望の日本限定モデルが登場~11 月6 日発売予定

2025 年、アメリカ時計ブランド“BULOVA(ブローバ)”は、創業150 周年を迎えます。この秋冬は、150 周年記念し、日本で人気のマリンスターから待望の日本限定モデルが登場。1970 年代に誕生し、上品なスポーツテイストでファッション性の高いデザインと20 気圧防水の高韴能性をあわせ持つ人気コレクション「マリンスター」から、黒く着色したマザーオブパールを文字盤全面に使用した自動巻きモデルが発売します。

文字盤のマザーオブパールはブラックに染め上げることにより、落ち着いた大人の雰囲気の中に華やぎを持たせました。天然素材のため、一つ一つ異なる表情を楽しめます。文字盤に合わせ、全体をシルバーとブラックの落ち着いたツートンの雰囲気でありながら、ダイヤルの4 時位置にある赤いスモールセコンドがアクセントとなり、華やかさも加わりました。

そして、文字盤7 時位置をオープンハート仕様とすることで、韴械式ならではのてんぷの動きを見て楽しむことができ、大人の遊び心を刺激します。

ケースは多層構造で、ベゼルは6つのビス止め、その下には全体のトーンに合わせ、ダークグレーPVDを施したパーツも使用し、細部にこだわりました。
デザイン面のみならず韴能面でも、20 気圧防水を備えており、またラバーストラップは裏側に溝のある波模様を入れることにより汗を逃がす工夫を施した、実用性の高い時計です。

実用性の高さと品のある文字盤やケースデザインを実現し、都会的な印象を持つこの時計は、カジュアルシーンからオフィシャルな場まで、オン/オフを問わずお愉しみいただけます。

【仕様】
マリンスター
品番:98A332
税込価格:82,500 円
150 周年記念 日本限定モデル

ムーブメント:自動巻き
ケース:ステンレススチール
・ケースサイズ:径45mm /厚13.45mm
・防水 20 気圧防水
ストラップ:ラバーストラップ

【お問い合わせ】
ブローバ相談室
TEL: 0570-03-1390
受付時間: 9:30~17:30 (祝日を除く月~金)

[BULOVA]
BULOVA(ブローバ)は、1875 年にジョセフ・ブローバがニューヨークで創業し、150 年の歴史を持つ老舗アメリカ時計ブランドです。数々の先進的な技術をもとに時計市場を牽引し、1960 年の世界初の音叉式腕時計”アキュトロン”、2016 年のカーブしたクロノグラフムーブメント搭載の”カーブ”など、数々の「世界初」を発表してきました。これまでの伝統を守りつつ、これからも独自のデザインとテクノロジー、そして優れた品質を合わせ持つ時計を世界中へ届けていきます。

エドックスがクロノラリー スポーツマン クロノグラフの新作を1月12日発売~

EDOX( エドックス)が、伝説のカーレーシングドライバーであるファン・マヌエル・ファンジオの栄光を称え、クロノラリー スポーツマン クロノグラフ オートマティックの限定モデルを、11月12日に全国の正規販売店およびエドックス オンラインストアで発売します。

エドックスとファン・マヌエル・ファンジオ
1884年の創業以来、エドックスはスポーツシーンと深く結びつき、とりわけモーターレースとの関係において独自の存在感を放ってきました。耐久性、防水性、精密性を追求する姿勢は、極限の状況下で勝負が決するレースの世界と共鳴し、世界ラリー選手権(2009年)、(ダカール・ラリー 2012年)、FIA世界ラリークロス選手権 (2019年)といった最高峰の競技大会で公式計時を担当、「ザウバーF1チーム」のプレミアムパートナーに就任( 2016年)した実績も持っています。2021年には、「BMW M モータースポーツ」とのスポンサーシップを締結し、発売した記念モデルが大きな話題を呼びました。

この度、アルゼンチンにあるファンジオ博物館の協力により、1950年代のF1で5度の世界チャンピオン[※1]に輝き、「エル・マエストロ(巨匠)」と称えられた伝説のレーサーであるファン・マヌエル・ファンジオ(1911~1995年)の栄光を称える限定モデルを発売いたします。

ファンジオは、冷静な判断力と的確なマシンコントロールによって、命に関わる深刻な事故が多発していた1950年代のF1で生涯無傷。アルファロメオ、メルセデス・ベンツ、フェラーリ、マセラティという4つの異なるチームで戦い、圧倒的な勝率を誇りました。アイルトン・セナやミハエル・シューマッハらと並び、史上最も完成度の高いドライバーの1人と評価され、母国アルゼンチンでは国民的英雄として尊敬されています。ドライバーとしてのファンジオの圧倒的な技術と万能性は、エドックスが体現してきた精度と信頼性の精神と重なります。本作は、クラシックレーシングの精神を現代に蘇らせるとともに、ファンジオの不滅の遺産を永遠に伝えるタイムピースです。

[※1]2003年にミハエル・シューマッハに破られるまで、46年もの間、史上最多記録を誇っていました。

≪特徴≫
ネオ・ヴィンテージウォッチ
1972年に発売したスポーツマン クロノグラフ 手巻き、(直径37mm)に着想を得て開発した、クロノラリー スポーツマン クロノグラフ オートマティックの、新作モデル。

1972年と今回の最新作

1970年代に流行したレトロフューチャーデザインのトノー型ケースやドーム型風防、レーシングの世界を彷彿とさせるクロノグラフ機構やタキメーターなどはベースモデルを踏襲しつつ、信頼性の高いスイス製機械式クロノグラフムーブメントを現代的な直径41mmのケースに収めています。ダイバーズウォッチの先駆者として培ってきた技術を発揮し、ベースモデルの4気圧/40m防水から30気圧/300m防水へスペックアップしました。

ファンジオの栄光を称えるレーシング仕様
モータースポーツのドライバーがレースシーンで着用することを想定し、視認性の高いダイアルにストップウォッチ機能であるクロノグラフ、フランジに平均時速を測定できるタキメーターを搭載。クロノグラフはスポーティーな印象の縦3つ目デザイン。レースの激しさを意味するレッドのクロノグラフ秒針・積算針により、ひと目で経過時間を判読可能。ダイアル4時位置にファンジオのサインをプリントしています。

レーシンググローブを着用したままでも操作しやすいよう、プッシュボタンを大きめに設計。穴から熱を逃がし通気性を高めるパンチング仕様のブラウンレザーストラップも付属します。

ケースバックは、精緻なムーブメントの鼓動を間近に楽しむことができるシースルー仕様。レーシングカーのボンネットを開け、エンジンを覗き込む瞬間に通じています。

レースの世界でパワーユニットが勝敗を左右するように、時計の心臓部であるムーブメントの精度を追い求めるエドックスの哲学をご体感いただけます。ファンジオの栄光を称える限定モデルの証明として、“TRIBUTE TO FANGIO” “LIMITED EDITION”の文言とシリアルナンバーが刻印されます。

【仕様】
クロノラリー スポーツマン クロノグラフ オートマティック
ファンジオ リミテッド エディション
品番(画像左より) :01132-3G-BEAN(オフホワイト)/01132-3BU-BUGN(ネイビーブルー)
税込み価格 :715,000円
限定本数 :各世界限定115本

ムーブメント:キャリバー EDOX011S(SW500・自動巻き)
・機能 :時・分・秒 (スモールセコンド)
・表示、日付・曜日表示、クロノグラフ
・30分積算計、12時間積算計
・タキメーター
・石数 :25石
・振動数 :28,800振動/時
・パワーリザーブ :約48時間
ケース:316Lステンレススティール
・ケースサイズ :直径41mm、厚さ16.8mm
・風防 :ドーム型サファイアクリスタル(無反射コーティング)
・ケースバック :シースルーバック
・防水性 :30気圧/300m
・ラグ幅 :20mm
・その他 :ねじ込み式リューズ
ストラップ:316Lステンレススティール (メッシュブレスレット)
・バックル種類 :片開き Dバックル
・バックル素材 :316Lステンレススティール
・付属 :レーシング仕様のブラウンレザーストラップ

[エドックス]~THE WATER CHAMPION
優秀な時計職人クリスチャン・リュフリ=フルーリーが、妻の誕生日を祝うため自身でデザインして作った懐中時計。この贈り物の美しさに感動した妻から、時計ブランドを立ち上げることを勧められ、1884年にスイスのビール/ビエンヌでエドックスを創業しました。ブランド名は、(「時間」を意味する古代ギリシャ語に由来しており、ブランドエンブレムである砂時計のマークは「不朽」を象徴しています。2024年に、創業140周年を迎えました。
創業当時は懐中時計で名を成していましたが、1950年代から腕時計の製造にシフト。世界初の特許を取得した防水機構を開発するなど、過酷な環境下でも計時機能を維持できる高性能な時計づくりを追求してきました。1961年に発表したブランド初の防水時計デルフィンに始まり、現在のフラッグシップコレクションであるクロノオフショア1、海の神を象ったネプチュニアンに至るまで、50年以上にわたってダイバーズウォッチ開発の先駆者として最前線を走り続けています。国際的なラグジュアリースポーツの大会オフィシャルタイムキーパーを務めるなど、スポーツシーンとのパートナーシップを数多く締結しています。耐衝撃性や防水性などのタフネスに優れたエドックスウォッチは、一流アスリートからも厚い信頼を得ています。

オーデマ ピゲ、41MM パーペチュアルカレンダーウォッチのための革新的な設定デバイスを発表

オーデマ ピゲは、ドバイ未来財団(DFF)とのパートナーシップ開始から 2 年を経て、最新の 41mm のパーペチュアルカレンダーウォッチを自動で調整、巻き上げる画期的なウォッチボックスを発表します。このプロジェクトは、DFF のロボティクスおよび応用研究イニシアティブである Dubai Future Labs(ドバイ フューチャー ラボ)との共同開発によるもので、異分野の協業が伝統的な時計製作の枠を超え、業界全体に新たな革新の可能性をもたらすことを示しています。この革新的なツールは、機械的精度、ロボティクス、人工知能、洗練されたデザインをシームレスに融合させており、複雑機構をより使いやすく、より身近なものにするというブランドの取り組みの新たな一歩となります。このデバイスはドバイ ウォッチウィークで初めて公開されます。

マニュファクチュールの 41mm パーペチュアルカレンダーウォッチの調整をシンプルにするウォッチボックス。オーデマピゲコピーN級品とドバイ未来財団は時計製作のイノベーションに新たなページを開いた。© Courtesy of Audemars Piguet

イノベーションへの 目的を明確にしたアプローチ
この調整ボックスは、「複雑機構の調整方法を再考し、ユーザーを体験の中心に据える」という明確な目的のもと開発されました。オーデマ ピゲが長年掲げてきた、常識への挑戦とさらなる高みを目指す姿勢に沿って、このデバイスは技術革新と美しいデザインを融合させ、複雑な機構との関わりをよりシンプルに、より直感的なものにしています。

パーペチュアルカレンダーはその複雑性ゆえに高く評価されてきましたが、これを使いこなすには時計に関する高い知識と特殊なツールを必要とします。2025年に登場したキャリバー7138とキャリバー7136の導入は一つの転機となり、人間工学に基づき、全ての修正をリューズで行えるようにし、操作性が向上しました。オーデマ ピゲのこの新しいデバイスはこの画期的な技術をさらに発展させ、永久カレンダー機構の時刻合わせと巻き上げを自動で行うソリューションを提供します。これまで専門的な知識を要した操作を、直感的かつ明快な体験へと変えることで、ユーザーにとっての利便性を大きく向上させています。

ユーザーにとって複雑機構機構をより使いやすいものにすることで、ブランドはオートオルロジュリーの世界への扉をより幅広い層に向けて開きます。今回発表されたインテリジェントなウォッチボックスは、まさにその姿勢を体現するものであり、時計製作の卓越した技術と最先端のテクノロジー、人工知能をつなぐ、シンプルかつ機能的なソリューションです。

エンジニアリング、ロボット工学、AIを融合させた自動ツール
機械工学、ロボット工学、コンピューティング、AI を組み合わせたこの設定デバイスは、キャリバー7138 を搭載したマニュファクチュール最新の 41mm パーペチュアルカレンダーウォッチを自動で調整するよう設計されています。伝統と革新の間にある絶え間ない緊張感を受け入れつつ、クラフツマンシップへの情熱を継承しながら、オートオルロジュリーを定義する新たな技術的可能性への扉を開きます。 時計をボックスに収めると蓋が締まり、完全自動の設定プロセスが始まります。約5分間で、システムが調整を必要とするカレンダー表示を識別し、ユーザーの操作なしで修正を行います。この操作は、複数の技術が調和して連携することで可能となっています。

まず、機械式のモジュールが人の手の精密さと動作を再現し、時計の“オールインワン”リューズで全ての調整を安全かつ正確に行います。電子モジュールが機械部分とコンピュータビジョンシステムの間の通信を制御します。コンパクトな構造により、限られたスペース内でデータの流れと操作コマンドを効率的に管理し、ツールのエレガンスを保ちながら技術的な複雑さを支えています。
カバーの中に目立たないよう取り付けられた視覚モジュールが、ダイヤルのパーペチュアルカレンダーの表示と針の位置を認識します。この視覚データは、さまざまな文字盤に対応できるよう訓練された AI の機械学習アルゴリズムによってリアルタイムで解析され、デバイスがそれぞれの時計に個別に適応できるようにします。最後に、専用ソフトウェアが全体のオペレーションを統括し、カメラから取得したデータをもとに機械モジュールを制御。Bluetooth 接続、エラー検知、フィードバックの伝達までを一元的に管理します。

「パーペチュアルカレンダーの設定デバイスを作ることはオーデマ ピゲの数年来のビジョンでした。 キャリバー7138の革新的な“オールインワン”リューズがこの夢を実現させました。これはドバイ未来財団と行なってきた異分野協働の成果です」 ルカス・ラッジ(オーデマ ピゲ チーフ インダストリアル オフィサー)

APとDFF:伝統の時計製作と テクノロジーの融合
オーデマ ピゲは時計製作の伝統という境界を押し広げ、時計産業を新たな高みへと導くべく、テクノロジー開発に関する世界最先端プラットフォームの一つであるドバイ未来財団(DFF)とパートナーシップを結びました。 このコラボレーションは、マニュファクチュールの顧客体験を向上させるために設計された革新を実現するうえで重要な役割を果たしました。DFFの専門知識と、業界を超えた強固な関係構築への共通のコミットメントによって、この野心が可能となったのです。
2023 年にスタートしたこのプロジェクトは緊密な業種横断的パートナーシップとなり、伝統的な時計製作と最先端のエンジニアリング、デザインとを結びつけることになりました。オーデマ ピゲは時計製作における専門知識とビジョンを提供し、財団のRDI機関であるドバイ フューチャー ラボがプロトタイプの開発を主導し、技術的なアーキテクチャ全体の設計と統合を担いました。両者が緊密に連携することで、マニュファクチュールの高い品質と精度の基準を、DFFならではの革新アプローチと融合させることが可能となったのです。

このビジョンの実現に向けて、オーデマ ピゲは信頼できるパートナーのネットワークを活用し、開発の各段階でそれぞれが専門的な貢献を行いました。DFL はプロトタイピングと技術の統合を進め、 全体のデザインとデザインコードはマックス・テリオ(Eight Inc.)[註※]が担当しました。ブランドのビジョンを尊重した創造的なクリエーション力が評価されたものです。

[註※マックス・テリオ]
デザイン分野で20年以上のキャリアを持つマックスは、レッド ドット アワードを受賞したクリエイティブなデザイナーで、革新への境界を常に押し進めるパワーで知られます。世界の著名なブランドを顧客に持ち、航空業界から福祉モビリティ、ホスピタリティ、ラグジュアリー アクセサリーまで、人間を中心に据えた体験と視点で変革をもたらします。マックスは真の世界市民として産業、パッケージング、内装、ブランドアイデンティティ、ジュエリーなど、多様な分野でデザイン活動を行なっています。伝統的なデザインを超越する彼の仕事は常に未来のかたちを求めて進化し、ビジネスに大きな発展をもたらします。ディテールと優れたクォリティに最大の注力を傾けるマックスのデザインは、インスピレーションを与えるだけでなく成果と実績をもたらします。
— https://www.linkedin.com/in/max-terio/

「オーデマ ピゲとのコラボレーションではスイス第一線の時計製作を実際に体験することができ、当社のエンジニアリング技術を世界で最も由緒ある洗練された産業の一つと融合させることができました。我々のチームにとって、これまでやったことのない先駆的なプロジェクトであり、胸躍る挑戦でもありました。当社のロボット工学、自動システムに関するR&Dの力を発揮することができたのは嬉しいことです。時計製作は精度と伝統の上に成り立っています。ドバイ フューチャー ラボも同じ価値観を共有し活動しています」
カリファ・アル・カマ(ドバイ フューチャー ラボ、DFF エグゼクティブディレクター)

未来的なデザインの中に息づく 造形言語の伝統
この革新的なアシスタントデバイスは、伝統に深く根ざしつつブランドのデザイン言語を腕元からさらに広げる、新しいカテゴリーのオブジェを時計市場に提供します。この設定ボックスはマニュファクチュールの社内デザインチームとの対話を通じて生み出され、ブランドの美学コードを忠実に反映し、卓越した品質基準を満たすよう設計されています。
ボックスのシルエットはオーデマ ピゲの故郷に根差した豊かなレガシーを表現し、その文化と環境を感じさせます。耐久性に優れ、調和的で優雅な感性を集約したライン。触感と視覚の両面で上質さを最大に表現する優れた素材が選ばれました。温かみと洗練を感じさせる柔らかな触り心地の表面の仕上げに加え、コントラストと信頼性を感じさせるポリッシュメタルのアクセントが施されています。

「全てのプロポーションは直感的な理解につながり、どのディテールもバランスのとれたビジュアル、エルゴノミクス、快適なタッチ操作を実現しています。このデバイスは、マニュファクチュールの形態は機能に従う(form follows function)というデザイン哲学の延長線上にあり、クラフツマンシップが精緻なかたちで表現されています。この前例のないデバイスは、テクノロジー機器、芸術作品、そして機械工具の境界を曖昧にします。
形状と伝統の時を超えた調和。デザインとは単に外観だけではありません。心や感情への深いコネクションをもたらします。イノベーションが感動、伝統、テクノロジーを結びつけるのです」
マックス・テリオ(デザイナー)

“THE BEAT GOES ON”
«時を刻み、胸に刻まれる»

カバーを開けた設定ボックスの側面 © Courtesy of Audemars Piguet

【仕様】
ウォッチボックス

機能:パーペチュアルカレンダーの自動設定とムーブメント巻き上げ
ケースの素材 :ソフトタッチ仕様の側面、ポリッシュメタルのディテールとボタン
・全長 :20 cm
・全幅:12 cm
・全高:15 cm
・全重量:約 2 kg
・作動時間: 約 5分

【お問い合わせ】
オーデマ ピゲ ジャパン
03-6830-0000

[オーデマ ピゲ]
オーデマ ピゲは、今なお創業者一族(オーデマ家、ピゲ家)によって経営される最も歴史あるウォッチブランドです。1875 年以来ル・ブラッシュを拠点に、型破りなトレンドを生み出そうと新たなスキルや技術の開発、そして職人技の向上を続ける才能ある職人たちを、何世代にもわたり育んできました。スイス・ジュラ山脈に抱かれたジュウ渓谷で、マニュファクチュールが受け継いできた職人技と先進的なスピリットが込められた、デザインや技術の粋を極めた数々の厳選されたマスターピースが制作されています。実現可能な境界を押し進め、創造的な世界の間に橋を架けるオーデマ ピゲは常に新たな地平に向かって進み、その精神にインスパイアされたコミュニティを作り出してきました。